ホンダ VFR800X(2017-) 試乗インプレ・レビュー

ホンダ VFR800X(2017-)

VFR800X(2017-)
HONDA

ホンダ VFR800X(2017-)

掲載日:2017年04月27日 記事カテゴリ 試乗インプレ・レビュー   

取材・文/佐賀山敏行  写真/井上 演

静粛性に優れ、鼓動感溢れるV型4気筒エンジンを搭載したアドベンチャーモデル。アップライトなライディングポジションや大型フェアリングは長距離ツーリングでも快適性を確保し、長いストロークを持つ前後サスペンションは走るシーンも選ばない。トルクコントロールシステムやABSなど、機能も充実している。

ホンダが誇るV型4気筒エンジンを
搭載したアドベンチャーバイク

ビッグバイクのハイパワー、ハイパフォーマンス化が進んでいった1980年代、当時主流だった空冷並列4気筒エンジンに代わり、ホンダがスポーツバイクの新たなエンジンとして投入したのが水冷V型4気筒だった。VF750FやVF1000R、そしてミドルクラスではRVFなどのモデルをリリースし、V型4気筒はホンダ独自のエンジンとして人気を確立していった。残念ながらスーパースポーツのエンジンとしては、結局は並列4気筒に軍配があがるのだが、それでもツアラーモデルとしての確固たる地位を得る。それがスポーツツアラーのVFR800Fであり、さらに今回紹介するアドベンチャーモデル、VFR800Xである。

ホンダ VFR800X(2017-) 特徴

快適なツーリングをサポートする
装備と機能を満載!

ホンダ VFR800X(2017-)の試乗インプレッション

昨今、アドベンチャーモデルはますます人気を高めていて、ホンダは400cc以上で3モデルもラインナップしている(2017年4月時点)。本格的なオフロード走行を前提としたCRF1000Lアフリカツインを筆頭に、リーズナブルな価格や低燃費性、トルクフルで扱いやすいエンジン特性が人気のNC750X、そして今回紹介するVFR800Xだ。「オンロードの快適性に注力したハイパフォーマンスなオールラウンダー」として見ると、VFR800Xは3モデルのなかで最も「正統派」だといえる。

アップライトなフォルムに、ヘッドライトからフューエルタンクにかけてフェアリングを装備したスタイリングは、まさにアドベンチャーモデルの王道。前後タイヤは17インチを採用し、オンロード性能を高めている。シート高を2段階(815/835mm)に調整できるのも嬉しいポイントだ。

ホンダ VFR800X(2017-)の試乗インプレッション

標準装備のABSに加え、さらに安全性をサポートしてくれる機能としてトルクコントロールシステム「Honda セレクタブル トルク コントロール」を装備している。これは後輪駆動力のレベルを2段階+オフの3つから選べるもので、雨の日やフラットダートなど、シーンに応じて設定できる。

快適性も充実しており、たとえばウインドスクリーンは5段階で高さの調整が可能。手動ながら簡単に変更できるので、高速道路や市街地、小雨が降り出したときなど、ちょっとした環境の変化でも素早く対応できる。グリップヒーターが標準装備となっているのも大きなポイント。季節に関係なく雨の日や夜、標高の高い場所など、シチュエーションによって年中重宝するアイテムなのだ。ほかにもETCにACCソケット、ウインカーオートキャンセラーなど、充実の装備がツーリングを快適にしてくれるのだ。

ホンダ VFR800X(2017-)の試乗インプレッション

VFR800Xで忘れてはならないのがエンジンだ。ホンダのV型4気筒エンジンは、もはや熟成の域に達したといって良いだろう。高い静粛性と重低音の両立は、大人のツーリングライダーを満足させるもの。加速時には鼓動感を十分感じられるのも支持されているポイントだ。また、エンジンの回転数に合わせてバルブ数を切り替える「HYPER VTEC」を採用し、スポーツ性をさらに高めている点も見逃せない。ツーリングバイクとしての資質を高めながらも、VFR800Xはれっきとしたスポーツモデルだ。エンジンを見れば、それは明らかである。

ホンダ VFR800X(2017-) 試乗インプレッション

心地よい鼓動感と抜群な扱いやすさによって
どこまでも走りに行きたくなる!

ホンダ VFR800X(2017-)の試乗インプレッション

VFR800Xのシート高は、815mmと835mmの2段階に調整することができる。足つきに不安があっても低い方にセットすれば、ストローク量の大きい前後サスペンションも相まって不安は軽減される。ちなみにリアサスペンションの硬さも簡単に調整できるので、どうしても不安があるなら、柔らかくすればさらに沈み込みは大きくなる。

ハンドルバーは高めで幅広、ステップ位置は低めに設定されている。上半身はほぼ直立するが、スクリーンを高く設定することができるので、高速道路でも風圧が不快に感じることはなさそうだ。長距離ライディングへの期待が膨らむ。

ホンダ VFR800X(2017-)の試乗インプレッション

まずは高速道路。エンジンはトルクフルで低速からストレスなく加速する。V型4気筒エンジンは直列4気筒ほどスムーズに回転が上昇していくものではなく、かといってVツインや単気筒ほどの振動はない。まさに「心地よい」といった表現がぴったりの鼓動感だ。適度にエンジンの存在を感じながら、高速道路を快適にクルージングできる。予想通りスクリーンの効果も絶大で、法定速度限界まで走っても上半身にはほとんど風が当たらない。ETCが標準装備されているのも高ポイントだ。

ひとつ気になる点があるとすれば、シートがやや硬かった。1時間以上連続して走り続けるとお尻が痛くなってしまった。それを合図に休憩してもよいのだが、ツアラーである以上は、もうちょっと長めに走りたいところである。

ホンダ VFR800X(2017-)の試乗インプレッション

ワインディングは申し分なし! スポーツツアラーのVFR800Fと多くの部品を共有するだけあって、高速コーナーからヘアピンまで、安定して走ることができた。上半身が立っている分、安心感やコントロール性の高さはVFR800F以上といえる。日本のような狭い道が多いところでは、最高のパフォーマンスを発揮してくれる。

トルクフルなエンジンもワインディング向きで、しっかり減速したあとの加速はもたつきがなく、キビキビとした走りが楽しめる。狙い通りのラインをしっかりトレースすることもできるので、自分の腕が数ランク上がったような錯覚を覚えるほど! 800ccクラスの「重さ」を感じることはなかった。

ホンダ VFR800X(2017-)の試乗インプレッション

意外と楽しく走ることができたのが市街地だ。前方が絞り込まれたシートを低い位置にしておけば、それほど足つきは悪くなく、ストレスのないライディングポジションも相まって、ストップ&ゴーで苦痛は感じない。むしろ信号待ちからの加速が楽しい。メーターの視認性や配置もよく、グリップヒーターのレベルや燃費、時計など、多くの必要な情報が瞬時に認識できる。細かい点だが、メーターの情報が読みづらいと、意外と大きなストレスになるので、これは嬉しい。

実際に使用する場合はパニアケースなどを装着するユーザーが多いだろうが、それでも荷掛けフックはもう少し実用性を重視してほしかった。とくに街乗りでは大きなパニアケースは外しておきたいという人も多いだろう。そういうときに実用性の高い荷掛けフックがあれば、利便性はさらに上がると思うのだが……。

ホンダ VFR800X(2017-)の試乗インプレッション

今回は高速道路からワインディング、そして市街地と、ツーリングから日常使いで使用するシーンを走ってみた。どのシーンでもVFR800Xは扱いやすく、アドベンチャーモデルに求められる「オールラウンダー」としてのレベルは十分。どこでもその性能をフルに発揮させることができた。

試乗したのは初春で、真冬ほどではないが、なんとなく寒さの残る季節。そんなときは5段階もレベル調整ができるグリップヒーターが重宝した。ウインカーオートキャンセラーも普段使いはもちろんのこと、長時間ライディングで少し疲れているときなどに重宝する機能といえる。

春から夏、そして真冬まで、ワインディングでも市街地でも、いつでもどこでもバイクを楽しみたい……VFR800Xは、そんなライダーを十分に満足させてくれる1台だ。

詳細写真

エッジの効いたアッパーカウルが車体フォルムの大きな特徴に。スクリーンは手動で5段階に調整が可能。ヘッドライトやウインカーにはLEDを採用し、視認性と被視認性を大きく向上させている。

大きなデジタル液晶メーターを採用。中央に大きくスピードを表示するほか、燃費や時計、気温にガソリン残量など、多くの情報を一度に表示することができる。しかも、それぞれが見やすい。

グリップヒーターや「Honda セレクタブル トルク コントロール」は、左手のスイッチボックスで簡単に操作できる。ウインカーはオートキャンセラーを備えている。

燃料キャップにはエアプレーンタイプを採用し、スポーティーなイメージが演出されている。ちなみに容量は20リットルで、低地燃費値は27.4km/Lとなっており、ツーリングモデルとして十分な航続距離を確保している。

適度に絞り込まれたシートは高さを2段階(815mm/835mm)で調整可能。足つきに不安のあるライダーにも考慮されている。タンデムシートは小ぶりながらも、グラブバーを装備し、快適性を確保している。

トキコ製4ポットキャリパーをラジアルマウント。ブレーキローターはφ310mmのダブルディスクを採用。高い制動力を発揮する。もちろんABSも標準装備し、安全性を高めている。

水冷4ストロークV型4気筒エンジンを搭載。ホンダが熟成を重ねてきた伝統のレイアウトは、VFR800Xのアイデンティティーともいえる。鋭い加速や適度な鼓動感など、走る喜びを感じられるエンジンだ。

ラジエターはアンダーガードと同一化したデザインを採用することで、オフロードテイストを醸し出しつつ、機能性も確保している。細かい部分だがVFR800Xの世界観を表すうえで、重要なディテールだ。

スーパースポーツを思わせるプロリンク式スイングアームを採用。多くの部品をVFR800Fと共有しており、足周りも同じことからも、このマシンのパフォーマンスの高さが伺える。

異形サイレンサーはデザイン性も高く、所有感をおおいに満足させてくれるディテールだ。ちなみにリアブレーキとスプロケットがサイレンサーの反対側に集約しているのが、プロアーム式スイングアームの特徴である。

テールランプにもLEDが採用され、精悍なリアビューを演出。また、テールランプの上にはキーの差し込み口があり、リアシートを取り外すことができる。ここにはETCが収納されている。

リアサスペンションの調整はタンデムステップあたりに装着されたアジャスターで簡単に行うことができる。ソロやタンデム、街乗りやワインディングなど、シーンに合わせて気軽に行える。

モデルの身長は175cm。シート高は835mmにセットしているが足つきには十分な余裕があり、直立した上半身も相まって、しっかりと車体を支えることができる。815mmにすれば足つきはさらによくなる。

SPECIFICATIONS – HONDA VFR800X(2017-)

ホンダ VFR800X 写真

価格(消費税込み) = 143万6,400円
※表示価格は2017年4月現在

静粛性に優れ、鼓動感溢れるV型4気筒エンジンを搭載したアドベンチャーモデル。アップライトなライディングポジションや大型フェアリングは長距離ツーリングでも快適性を確保し、長いストロークを持つ前後サスペンションは走るシーンも選ばない。トルクコントロールシステムやABSなど、機能も充実している。

■エンジン型式 = 水冷4ストロークV型4気筒DOHC4バルブ

■総排気量 = 781cc

■ボア×ストローク = 72.0×48.0mm

■最高出力 = 79kW(107PS)/10,250rpm

■最大トルク = 77N・m(7.9kgf・m)/8,500rpm

■トランスミッション = 6速

■全長×全幅×全高 = 2,190×870×1,385mm

■車両重量 = 246kg

■シート高 = 835/815mm

■ホイールベース = 1,475mm

■タンク容量 = 20リットル

■Fタイヤサイズ = 120/70ZR17M/C (58W)

■Rタイヤサイズ = 180/55ZR17M/C (73W)

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