モトグッツィ V9 ローマー 試乗インプレ・レビュー

モトグッツィ V9 ローマー
モトグッツィ V9 ローマー

モトグッツィ V9 ローマー

掲載日:2017年02月08日 記事カテゴリ 試乗インプレ・レビュー   

取材・文/佐川健太郎  写真・動画/山家健一  衣装協力/HYOD

V9ボバーと同じ遺伝子を持つ
正統派イタリアン・クルーザー

V9ローマーは先に国内投入されたV9ボバーとともに2015年のミラノショーでデビューした、イタリアの老舗モーターサイクルブランドであるモト・グッツィの最新モデルである。V9ボバーが前後16インチのファットタイヤやマット調の渋いカラーリングを特徴としているのに対し、V9ローマーはフロント19インチの大径ホイールにメッキパーツを多用するなど、より正統的なスタイルを持ったイタリアン・クルーザーとして仕上げられている。

ローマーの語源である「Roam」には“世界中を旅する”という意味がある。モト・グッツィが提案する新たなクルーザー像について、V9ボバーとの違いも含めて探っていきたい。

動画『やさしいバイク解説:モトグッツィ V9 ローマー』はコチラ

モトグッツィ V9 ローマー 特徴

V9専用の新型エンジンと車体を装備
フロント19インチ化でより正統派スタイルに

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

イタリア本国ではV9ボバーと同時にデビューしたV9ローマーがいよいよ国内投入されることになった。Nevada750以来、20年ぶりとなる正統派ミドルクルーザーという位置づけである。

エンジンはV7シリーズに採用される空冷縦置きV型2気筒OHV2バルブをベースに排気量を850ccに拡大し、新型アルミ製シリンダーヘッドの採用による燃焼室形状の変更や、ピストンとシリンダー、動弁系の見直しによるフリクションロス低減と耐久性向上、オイルラインの改良などにより、これまでネックとされていたエンジンの発熱によるパフォーマンス低下に対応。同時に燃費と出力も向上させている。また、シリンダーヘッド内に新設された補助エアシステムと三元触媒、O2センサーとの組み合わせにより、欧州の最新排気ガス基準であるユーロ4に適応している点も含めてV9ボバーと同様の仕様となっている。

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

車体も同じく、高張力鋼管ダブルクレードルフレームにフロントは正立フォーク、リアはスプリングプリロード調整式ツインショックを組み合わせ、ブレンボ製対向4ピストンブレーキ(フロント)を含む前後ディスクブレーキを装備したニューデザインのアルミダイキャストホイールなど、シンプルながら充実した足まわりを採用。

電子デバイスも同様で、2チャンネルABSの他、2段階に調整できるトラクションコントロールシステム(MGCT)を採用。イモビライザーやUSBポートを標準装備する他、オプションではBluetoothでスマホをリンクできるマルチメディア・プラットフォーム(MG-MP)を用意するなど、現代的な装備も充実させている。

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

ボバーとの違いはフロントに19インチホイールを採用し、アップタイプのハンドルバーを装備するなど、よりクルーザーらしいシルエットとアップライトなライディングポジションが与えられている点。細かい部分ではシートやリアフェンダーのデザイン、光沢感のあるカラーリングやメッキパーツを多用していることなどが挙げられる。

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モトグッツィ V9 ローマー 試乗インプレッション

味わい深く洗練された走り
ボバーとは似て非なる乗り味が楽しい

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

V9ローマーはV9ボバーとエンジンとシャーシを共有する、まさに双子の兄弟である。でも、見た目の印象はだいぶ違っていて、ストリートカスタム系のやんちゃな匂いがするボバーに比べて、ローマーは端正で品のいい感じが漂っている。どちらが良い悪いではなく、テイストの違い。ユーザーにしてみれば好みの問題だろう。

いざ跨ろうと車体を起こしてみると、その軽さに驚く。大きく重いのがクルーザーの常識と思っていたが、同クラスの排気量モデルと比べても軽さが際立っている。ライディングポジションはゆったりとしたクルーザーらしいものだが、ステップが自然な位置にあるため疲れにくい点が良い。V9ボバーに比べるとハンドルが高くワイドで、より上体が起きたアップライトな姿勢となる。フロントが19インチなので車体姿勢そのものが、ややフロントが高いことも影響しているだろう。ちょこんと乗ったメーターもシンプルで、目の前にカウルもバイザーもないので見晴らしがよく気持ちいい。これぞモーターサイクルといった感じだ。

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

V7シリーズをベースに改良・熟成が進んだエンジンは、排気量が100cc増えてよりパワフルになっているのはもちろん、回転フィーリングがよりスムーズになっているのが印象的だ。元々持っている中速域での分厚いトルクは健在のまま、吹け上がりに軽やかさが増している。ボバーのときにも感じだが、ほぼ新設計となったエンジンは全体的に洗練されて、古いモト・グッツィの空冷縦置きVツイン特有の重ったるさや振動の大きさはほぼ解消されている。シフト操作も滑らかかつ節度感のあるフィーリングとなりクラッチ操作も軽くなるなど、ギアチェンジや発進なのストレスが軽減された点も見逃せない。アクセルオンで車体が右にかしぎ、テールリフトしてくるモト・グッツィ特有のトルクリアクションもほとんど気にならないレベルとなっている。

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

ハンドリングはとても素直で安定感があるのはボバーと同じだが、大きく異なるのはフロントの操舵感。ボバーが16インチのファットタイヤで「ゴロッ」と転がるように曲がるのに対し、19インチのローマーは車体のバンクにやや遅れて舵角が入ってくる感じ。タイヤが細いので、倒し込みは軽いがステアリングレスポンスは穏やかなのだ。

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

どちらかというとボバーのほうがスポーティで、ローマーはよりクルーザーらしい“鷹揚”なハンドリングと言えるだろう。いずれにしても、クルーザーのカテゴリーにあって200kgを切る車重は飛びぬけて軽く、それ故に走りは軽快で、取り回しも非常に楽。ハンドル切れ角も十分あってシートも低く、前述したようにクラッチのつながりも良いので、Uターンも苦にならない。

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

洗練されたエンジンとハンドリングで気楽にゆったりと、ときにスポーティに気持ちよく走る。都会からカントリーロードまで守備範囲の広いスタイリッシュなクルーザーである。

詳細写真

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

V7シリーズをベースにボア・ストロークともに拡大して排気量アップした空冷縦置きV型2気筒OHV2バルブ853ccエンジンを搭載。V9ボバー同様、シリンダー&シリンダーヘッド、ピストン、オイルラインなどを刷新するなど、クランクケース以外は新設計となっている。

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

クルーザーらしい安定感を印象づける大径19インチ、100サイズタイヤを採用。フロント足まわりは正立フォークとブレンボ製対向4ピストンキャリパー&シングルディスク、アルミ鋳造ホイールなどV9同様の装備となっている。

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

ドライブシャフト一体型スイングアームとプリロード調整付きツインショック、2ピストンキャリパー&シングルディスクを組み合わせるリアまわり。16インチ、150サイズのリアタイヤ、左右2出しマフラーもV9同様だ。

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

ファイナルドライブはV9用に新設計されたダブルジョイントシャフトドライブ機構で、サイズの大型化と新型べベルギアの採用によって、強力なトルクを適切にコントロールしている。

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

平たいデザインが特徴的なスチール製燃料タンク(容量15リットル)を採用。形状はボバーと同一だが、光沢のあるグロス塗装がボバーとはまた違ったエレガントな雰囲気を醸し出している。

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

滑りにくい素材のレザーを採用したロングシートは、グレーステッチとパイピングを施されている点はボバーと同様だが、前後が切り落とされているようなボバーに対して、ローマーはタンデムも余裕でこなせるフルサイズが採用されている。シート高は5mm程高い。

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

丸目1灯のヘッドライトは一般的なマルチリフレクタータイプを採用。クリアレンズのウインカーも含めてボバーと共通イメージでまとめられている。ハンドルバーはより高くワイドな形状で、ボバー以上にアップライトでリラックスしたライディングポジションを提供。

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

リアフェンダーはボバーに比べると延長され、より下側まで回り込んでいる。前後フェンダーとも1970年代以降のモト・グッツィのカスタムモデル同様スチール製が採用され、丁寧なペイントも含めて質感は高い。

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

左グリップ手元のスイッチボックスには、メーターのモード切り換えスイッチ、トラクションコントロールのボタンなどが配置されている。バーエンドウエイト部分はハンドルバー同様、メッキパーツが使われている。

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

ステップホルダー、フットレスト、ペダルなどのフットパーツは高級感のあるアルミ鍛造製。前すぎず低すぎず、スポーティな走りもこなせる最適なポジションとなっている。

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

スマホなどのITガジェットに対応するUSBポートをステアリングヘッド下の右サイドに配置。オプションのマルチメディアプラットフォームを活用することで、スマホを多機能オンボードコンピュータとして使える。防犯対策用のイモビライザーも標準装備する。

モトグッツィ V9 ローマーの試乗インプレッション

ボバーと共通のメーターまわり。ホワイトパネルに細めのブラックレターのアナログ式速度計と、その中に控えめに設けられたデジタル表示が、シンプルで上質な雰囲気を醸し出す。

モトグッツィ V9 ローマー 動画でチェック!

SPECIFICATIONS – MOTO GUZZI V9 ROAMER

モトグッツィ V9 ローマー 写真

価格(消費税込み) = 124万8,000円
※表示価格は2017年2月現在

モトグッツィV7シリーズの排気量を拡大した伝統の縦置きVツインエンジンを、クラシカルな雰囲気のスタイリッシュな車体に搭載した正統派クルーザー。先に投入された「V9ボバー」とは派生モデルの関係。

■エンジン型式 = 空冷V型2気筒 OHV 2バルブ 4ストローク

■総排気量 = 853cc

■ボア×ストローク = 84.0×77.0mm

■最高出力 = 40.44kW(55 HP)/6,250rpm

■最大トルク = 62N・m/3,000rpm

■トランスミッション = 6速リターン

■サイズ = 全長2,240mm×全幅865mm×全高1,165mm

■車両重量 = 199kg

■シート高 = 785mm

■ホイールベース = 1,465mm

■タンク容量 = 15リットル

■Fタイヤサイズ = 100/90-19

■Rタイヤサイズ = 150/80-16

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