アプリリア RSV4 RF 試乗インプレ・レビュー

アプリリア RSV4 RF
アプリリア RSV4 RF

アプリリア RSV4 RF

掲載日:2016年11月09日 記事カテゴリ 試乗インプレ・レビュー   

取材・文/佐川健太郎  写真・動画/山家健一  衣装協力/HYOD

WSBレースで鍛えられた本物のレーサーレプリカ

アプリリアは第二次世界大戦後に自転車製造から始まり、モペットやオフロードモデルの開発を通じ、やがて本格的ロードスポーツモデルを揃えるフルラインナップメーカーへと発展してきたイタリアのブランドである。積極的なレース活動を推進してきたメーカーとしても知られ、1990年代にはロードレース世界選手権125ccや250ccクラスで幾度もタイトルを獲得するなど活躍。2009年にワールドスーパーバイク選手権(WSB)にデビューしたRSV4シリーズは現在までに7回のワールドタイトル獲得、さらに2015年に登場した現行モデルであるRSV4 RFはノーマル仕様で争われるスーパーストック1000クラスの年間チャンピオンに輝くなど高いポテンシャルを証明している。今回はその珠玉の最高峰モデル、RSV4 RFを紹介したい。

動画『やさしいバイク解説:アプリリア RSV4 RF』はコチラ

アプリリア RSV4 RF 特徴

クラストップレベル201馬力のV4ユニットに
電子制御をフル装備した最高峰モデル

アプリリア RSV4 RFの試乗インプレッション

2015年にデビューした最新版のRSV4 RFはそのままレースで勝てる戦闘力が与えられたマシンである。エンジンにはクラストップレベルの最高出力201psを発揮する、スーパーバイクレーサー直系の65度V型4気筒エンジンを搭載。最新の電子制御ライド・バイ・ワイヤ・システムによって制御される3種類のエンジンモードとAPRC(アプリリア・パフォーマンス・ライドコントロール)による、トラクションコントロール、ウィーリーコントロール、ローンチコントロール、クイックシフトなどの機能に加え、ボッシュ社製9MPユニットが採用されたレースABSやスリッパークラッチも標準装備する。

アプリリア RSV4 RFの試乗インプレッション

プレス材と鋳造部材を巧みに組み合わせて剛性コントロールされたアルミ製フレームは、コンパクトな車体をマスの集中化を実現。エンジン搭載位置やステム角度、スイングアームピボット位置などの調整機構を備えるなど、レーシングマシンそのものの骨格が与えられているのが特徴だ。

アプリリア RSV4 RFの試乗インプレッション

なお、RFにはオーリンズ製の前後サスペンションと軽量鍛造ホイールが標準装備されるなど、まさに最上級モデルに相応しいスペックとなっている。

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アプリリア RSV4 RF 試乗インプレッション

猛烈な加速と鋭いフットワーク
公道での扱いやすさも併せ持つ

アプリリア RSV4 RFの試乗インプレッション

アプリリアは日本ではどちらかというと地味な存在ではあるが、欧州に行くと本国イタリアをはじめドイツ周辺国でもよく見るメジャーブランドである。

今回のRSV4 RFもモータースポーツが盛んな欧州各国では人気だが、その強烈なアグレッシブさ故に国内ではなかなか手強いイメージを持たれているようで、近寄り難い存在なのかもしれない。本当の姿はどうなのか、それを知ることが今回の個人的なテーマでもあった。

量産市販車を改造したマシンで争われるスーパーバイク世界選手権では、ベースマシンの性能が大きな要素を占める。その世界最高峰のカテゴリーで圧倒的な強さで勝ちまくってきたのがRSV4であり、その最新最高峰バージョンがRFなのだ。

勝つための性能に徹したマシン。そこには味わいとか使い勝手など、甘っちょろい要素は何もない。まさにサーキットでガチ勝負するために生まれた戦闘機である。

とまで言うと、さらにビビりが入ってしまうかもしれないが、このマシンの素性はそういうものだ。でも、それが最大の魅力でもある。

アプリリア RSV4 RFの試乗インプレッション

さて、具体的な話だが、エンジンは200馬力を超えるスペックということで、公道ではそのポテンシャルの半分も引き出すことはできない。エンジンマップは「スポーツ」「トラック」「レース」の3段階で、ボタンひとつで簡単に切り替えることができるが、公道では「スポーツ」でも十分すぎる加速力。高速道路の追い越しなどでもスロットルひと捻りで瞬間的に前に移動している。

このピックアップの良さがV4エンジンの魅力でもある。現行の量産スポーツモデルとして、V4エンジンはおそらくRSV4シリーズだけだろう。V4はMotoGPマシンの主流であることからも分かるように、最もレース向きのエンジンと言っていい。

直列4気筒並みの高回転パワーとVツインのような中速トルクがあり、全域でフラットな出力特性を持っている。レイアウト的にも横幅を詰められるし、特にRSV4は65度とVバンクが狭角なので前後長も詰められる。スリムでコンパクトなエンジンであり、つまりはマスの集中化もしやすいわけだ。それでいて、V4ならではの鼓動感があり、低速域でもそこそこ粘るため扱いやすいなど優れた特性を持っている。ただ、開発コストが高いため量産市販車にはあまり採用されないということらしい。

アプリリア RSV4 RFの試乗インプレッション

軽量コンパクトな車体に猛烈なパワーを宿すRSV4ではあるが、イメージしていたよりはずっと乗りやすい。何年か前に従来型のRSV4に試乗したことがあるが、それと比べても明らかに出力特性がスムーズでコントロールしやすくなっている。きっとここ数年で電子制御技術が進化したせいだと思う。たしかに半端なくパワフルではあるが、以前のような凶暴さは鳴りを潜めてマイルドになっている感さえある。特に低速域でのガサガサ感がなくなり、アクセルレスポンスも初期が穏やかになったことでUターンなども普通にできる感じになった。ちなみにハンドル切れ角もけっこうある。シートも高く前傾はきついが、ドライバビリティそのものは至って素直で扱いやすい印象だ。

アプリリア RSV4 RFの試乗インプレッション

APRCも精度が高まっている。たとえば加速中に路面のギャップやマンホールなどで後輪が滑ったときも瞬間的にトラクションコントロールが介入してスリップを防いでくれるし、万が一フロントが舞い上がってしまってもウイリーコントロールが作動して安定した姿勢に戻してくれる。ブレーキも強力すぎて公道ではレースABSを作動させるまでにはなかなか至らないが、安全な場所でガッツンとかけてみてもロック寸前の最後の最後に自然なリリースコントロールをしてくれる、といった具合。究極のハイスペックモデルでありながら、その性能を電子制御の恩恵を受けつつ安全に楽しむことが可能なのだ。

アプリリア RSV4 RFの試乗インプレッション

前後オーリンズと軽量ホイールの足回りもグレード感があり、動的な乗り心地に優れている。路面のギャップ通過時における前後輪の吸い付くような追従性が素晴らしい。ハンドリングはとにかく軽快、というよりも「鋭い」と言ったほうが正確かも。エンジンなどの重量物のマスをまったく感じさせない、フットワークの切れ味はまさにV4由来だろう。公道では試すべくもないが、きっとサーキットではコーナーインやS字の切り換えしなどで強力なアドバンテージになるはずだ。

頭のてっぺんから爪先までキレッキレの、まさに公道を走れるレーサーレプリカだが、その“竹を割ったような性格”が気持ちいい。サーキットでのスポーツライディングを主に考えている方はもちろん、勝つための機能を突き詰めたマシンだけが持っている性能の美学に酔いしれたい方にもおすすめしたい一台だ。

詳細写真

新設計のエンジンはシリンダーヘッドやカムシャフトを変更しクランクシャフトを軽量化。ECUの演算速度が20%向上したほかエンジンマップの見直しやエンジンブレーキ特性の変更など全面的に見直すことで性能アップ。従来モデルより最高出力が16ps向上し2.5kgの軽量化を実現している。

フロント周りは、オーリンズ製φ43mm倒立フォークにブレンボ製M430モノブロック・4ピストンラジアルマウントキャリパー&φ320mmダブルディスクの組み合わせ。3段階に調整可能なレースABSを標準装備しパフォーマンスと安全性を高次元で両立。

リア周りも同じくブレンボ製2ピストンキャリパー&220mmディスクを組み合わせる。前後オーリンズと繊細なデザインの10本スポークタイプの軽量鍛造ホイールはRFだけの専用装備だ。

リアショックの調整機構は圧側ダンパーにダイヤル式アジャスターを装備するなど、素早く簡単にセッティングできる仕様となっている。レースABSその他の電子デバイスを制御する慣性測位ユニットにはボッシュ製9MPが採用されている。

フロントカウルも一新された。ヘッドライトデザインを変更し、バックミラーに内蔵式のウインカーもLEDタイプを採用し形状も見直されている。ちなみにヘッドライト左右がロー、センターがハイビーム。グラフィックもレーサーイメージのアグレッシブさを強調したデザインとなっている。

樹脂製タンクカバー内に収められる燃料タンク容量は18.5リットルとツーリングにも十分なレベル。アプリリアとしての世界選手権でのチャンピオン獲得回数「54」を表したエンブレムステッカーが誇らしげだ。タンク後端部が絞り込まれて非常にスリムなのはV4のメリット。

コーナリングでの荷重を受け止めてくれる幅広い座面を持つシートがいかにもレーシー。シート表面は硬めだがクッションは程よい厚みで座り心地も良好だ。シートカウルのセンター部分のパーツを付け替えることでタンデムにも対応するが、エマージェンシー用と言っていいだろう。

極端に絞り込まれてミニマライズされたリアビュー。X型にも見えるスポイラー状の突起は燃料タンクから連なる一連のデザインであることが分かる。コンパクトなテールライトとウインカーもLEDタイプ。

アルミプレス材を表裏で合わせて鋳造セクションに溶接するなど複雑な工程を経て作られたスイングアーム。ワークスマシンを思わせる剛性感たっぷりの構造は見た目にも迫力十分だ。レーサーさながらスイングアームピボット位置も変更できる構造になっている。

左側グリップ手元に装備されたモード切替ボタンとパドルスイッチ。親指で「+」、人差し指で「-」を操作しながら、走行中でもエンジンモードやAPRCの設定変更が可能となっている。慣れは必要だが操作自体は簡単だ。

ダッシュボードの左下にUSB用給電ポートを設置しIT機器にも対応。RFには最新式のマルチメディアプラットフォームが標準装備され、スマホを通じてウェブ経由でアプリをダウンロードすることで多機能なオンボードコンピュータとして機能させることができる。サーキットの走行データの管理なども可能だ。

タコメーターの右下にセットされたインストルメントパネルには速度や距離などの基本情報の他、スイッチによる画面切り換えによりエンジンマップやレースABS、APRC(トラコン、ウイリー、ローンチ、クイックシフト等)の各種設定を表示。瞬時にセッティングの変更が可能だ。

アプリリア RSV4 RF 動画でチェック!

SPECIFICATIONS – APRILIA RSV4 RF

モトグッツィ アプリリア RSV4 RF 写真

価格(消費税込み) = 263万8,000円
※表示価格は2016年11月現在

スーパーバイクレーサー直系のV型4気筒エンジンに先端技術の電子制御「APRC」システムを搭載、前後オーリンズサスペンションを採用したアプリリアのフラッグシップモデル。

■エンジン型式 = 水冷4ストロークV型4気筒 DOHC 4バルブ

■総排気量 = 999.6cc

■ボア×ストローク = 78×52.3mm

■最高出力 = 106HP(78kW)/7,000rpm

■最大トルク = 96Nm/7,000rpm

■トランスミッション = 6速カセット式

■サイズ = 全長2,040mm × 全幅735mm ×全高1,120mm

■車両重量 = 180kg(乾燥)

■シート高 = 845mm

■ホイールベース = 1,420mm

■タンク容量 = 18.5リットル

■Fタイヤサイズ = 120/70-ZR17

■Rタイヤサイズ = 200/55-ZR17

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