2018 ヤマハMT-09 SP 充実の足まわりを手に入れた「SP」の真価

掲載日:2018年05月24日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/佐川 健太郎  写真/山家 健一  動画編集/山家健一  衣装協力/HYOD

ヤマハ MT-09 SP

YAMAHA MT-09 SP

熟成された新型をベースに
足まわりを強化

MT-09は“クロスプレーン・コンセプト”に基づく新開発の水冷4スト並列3気筒846ccエンジンを搭載し、ネイキッドとスーパーモタードの異種交配造形による個性的デザインで仕上げたスポーツネイキッドとして2014年に誕生。日常速度域での「意のままに操れる悦び」を追求したモデルである。2016年にはABSを装備するMT-09 AにTCS(トラクションコントロールシステム)を追加。さらに2017年には初のビッグマイナーチェンジを敢行し、外観を大幅にリファインするとともにアシスト&スリッパークラッチやクイックシフターを採用。圧側減衰力調整機能を追加するなど走りの性能の強化が図られている。

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ヤマハ MT-09 SP 特徴

KYBとオーリンズを装備し
見た目の高級感もアップ

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

MT-09 SPはスタンダードモデルであるMT-09の上級バージョンの位置付けである。ちなみに現行のMT-09は昨年のモデルチェンジによりデザインを大幅に見直し、フェイスに表情を持たせたLED4灯ヘッドランプや大型エアスクープとラジエターシュラウド、アルミ鍛造製ステーの片持ちリアフェンダーなどを新たに採用し、よりコンパクトでアグレッシブなイメージを強調。また、機能面でもレバー操作荷重を低減するアシスト&スリッパークラッチやクラッチ操作無しでシフトアップが可能なクイックシフター、圧側減衰力の調整機能を追加したフロントサスを採用するなど進化熟成。エンジンも吸排気系の見直しなどにより最高出力を従来から6psアップの116psに高めるなど、トータル的なアップグレードが図られている。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

MT-09 SPはその現行モデルをベースとして、今回新たにスーパースポーツ並みの減衰性能を持ったKYB製フロントフォークとこれに合わせてバネレートと減衰力を最適化したオーリンズ製リアサスを組み合わせた前後フルアジャスタブルサスペンションを装備。上質感の漂うダブルステッチ入りシートや黒反転のデジタルメーター、MT-10SPと共通イメージのカラー&グラフィックの採用など、さらにグレード感を高めた特別仕様となっている。なお、動力性能などに変更はない。ひと口に表現するとしたら、見た目を精悍にして足まわりを強化したスポーツパッケージ的なモデルと言えるだろう。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

ヤマハ MT-09 SP 試乗インプレッション

路面が良くなったと勘違いするほど
コーナリングの安定感もアップ

低速からアクセルひとつでドーンと出ていく力強いトルク感、俊敏なスロットルレスポンスは相変わらずだ。最高出力は116psと驚くほどではないが、3気筒クロスプレーン独特の俊敏でダイレクトなパワーと192㎏の軽量な車重を生かして、スペック以上の瞬発力を見せつけてくれる。特別仕様を表すネーミングが与えられたSPは、カラーリングやシートの素材も高級になっているが、STDとの違いは何と言ってもグレードアップされた前後サスペンションだろう。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

まずフロントは日本が世界に誇るKYB(カヤバ)製のスペシャルで、プリロード(バネの初期荷重)と減衰力(いわゆるダンパー)に伸び側と圧側の調整機構を持つフルアジャスタブルタイプである。しかも圧側調整が「低速」と「高速」に分かれたフルスペックタイプだ。ちなみに「高速」「低速」とはストロークスピードを表していて、簡単に言うと「低速」側は街乗りやツーリングなど普通に穏やかに乗っているシーンで有効。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

一方、「高速」側はフル加速やフル減速などサスペンションを酷使する走りや、ハイスピードで路面のギャップに当たったときの外乱吸収などに効果を発揮するものだ。つまり、街乗りからサーキットレベルの走りにも対応する足まわりが与えられたことになる。
また、リアのオーリンズはプリロードを素手で調整できるリモートアジャスターを装備。加えてサブタンクにも圧側20段階、ショック本体側には伸び側30段階のアジャスターが装備されるなど、幅広いセッティングが可能となっている。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

MT-09は元々エンジンがすこぶる元気なだけに、ちょっとラフにアクセルを開けると簡単にフロントアップしてしまう。また、STDモデルは前後サスともストローク量が多めで比較的ソフトなセッティングだったため、強くブレーキングするとフロントが入り過ぎてしまい、場合によってはピッチングの挙動が激しすぎると感じることもあった。それ故に「やんちゃ」とか「ジャジャ馬」などと表現されることも多く、またその過激な乗り味がエキサイティングでもあったのだが、気楽に乗りたいときはやや疲れることも。2017モデルでエンジンもややマイルドになりフロントフォークも改良されて、だいぶマイルドな乗り味にはなっていたが、それでも基本的傾向は同じだったと思う。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

それが今回のSP仕様の場合、俊敏さの中にもしっとりした安定感が出てきた。跨っただけでサスペンションの動きにグレード感が出てきたのが伝わってくる。ギャップの通過でも吸収性が良く安定しているため、サスペンションがあまり動いていない気がするほどだ。いつもと同じ道路なのに路面が滑らかになったような乗り心地なのだ。それが優れたサスペンションの証であることは言うまでもない。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

コーナリングでも荷重をかけて曲がるほどいい味が出てくる。粘り腰というか、ぐっと耐えてくれる安心感があるのだ。コーナー途中に出現するあのイヤな減速帯の凸凹なども気にならないし、路面のウネリなども前後の長い脚がうまくいなしながら追従してくれるおかげでリラックスして曲がっていける。そして、減速時や加速時でのピッチングモーションも穏やかで姿勢が安定しているため、思い切って進入していける。さらにパワーモードやABS、トラコンなどの電子制御が保険としてサポートしてくれるため安心。シフトミスをカバーしてくれるアシスト&スリッパ―クラッチも含め、滑りやすい路面ではとても頼もしい。

シートまわりもスリムなので足着きも意外に良好で、シートレザーも座面部分に滑りにくい素材が使われているためホールド感もよく、クッションもより快適になった気がする。ライポジも上体が起きて視界も良好、シート前後の自由度も高くハンドル幅がワイドなため楽にリラックスして乗りこなすことができる。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

元々走りに定評があったMT-09だが、「もう少し落ち着きがあったらいいのにな~」という多くのユーザーの望みをかなえてくれたのが今回のSPである。フルオートの電子制御サスもいいが、せっかく全調整式の前後サスが入っているので活用しない手はない。自分好みのセッティングを細かく詰めていく楽しさはマニュアル式ならではだ。これだけの装備でコスパ的にも素晴らしいレベル。ツーリングからサーキットまで幅広く楽しめて、サスセットを含めてスポーツライディングを学ぶための教材としても最適なモデルだ。

詳細写真

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

R1などと同じクロスプレーン・コンセプトに基づき開発された水冷並列3気筒DOHC4バルブ845ccエンジンを搭載。コンパクトで慣性トルク変動が少なく、低速域から粘り強い高トルクとスムーズな高回転を両立。最高出力はSTDモデルと共通で2017モデルから116psへと向上している。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

マス集中化を狙ったダウンセンター配置の3段膨張構造サイレンサーを一体成形した3into1式マフラーを採用。表面には劣化防止効果のあるナノ膜コーティング処理を施している。サイレンサーのデザインも従来モデルより洗練された。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

フロントはφ298mmダブルディスクと4ポットキャリパーの組み合わせ、リヤはφ245mmディスクとピンスライド式キャリパーとし前後に焼結パッドを採用。良好な初期タッチとコントロール性に優れた制動力を実現。ABS標準装備。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

KYB製スペシャル倒立フォークは左右両側のフォークトップにそれぞれプリロードと伸び側減衰調整機構を装備。下方のアクスル側には「高速」「低速」2つの圧側アジャスターを装備し、広範なセッティングに対応。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

左側タンデムステップ後方に設置されたオーリンズ製リアショックのリモート式アジャスター。上段がプリロード調整用で、下段が別体式リザーバータンクに装備された圧側減衰力調整用。工具を使わずに素手で素早く調整できるタイプだ。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

クラッチレバーを握らなくてもペダル操作だけでシフトアップ可能なクイック・シフト・システム(QSS)を標準装備。ペダルとフットレストは質感の高いアルミ鍛造製だ。ペダルのアーム中央から伸びたロッドがシフトアップ操作を感知する圧力センサーにつながっている。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

2眼4灯タイプのLED式ヘッドライトを装備。下側の奥まった部分にLEDポジションランプを収めた立体的なデザインが印象的だ。車体をコンパクトに見せるため、ランプユニットはフロントフォークへ近づけてレイアウトされ、フォークとの間に空間を設けてフローティング風のデザインとすることで軽快感を演出。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

後端部が絞り込まれスリム感を強調したタンク。MTシリーズ最上位モデルである「MT-10 SP」と共通イメージの黒とシルバーのツートンカラーを採用し、ペイントも同じ高輝度で質感の高いタイプとすることでSPとしてのプレミアム感を強調している。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

クッション形状を作り込むことで優れたフィット性を実現。シートレザーも質感の異なる切り替えタイプとなっていて、上面には滑りにくい素材が使われている。ブルーのダブルステッチがSPらしいスポーツイメージを強調。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

ライセンスプレート用ステーを兼ねたコンパクトなマッドガードを採用。スイングアーム先端にマウントすることでボディの凝縮感を強調しつつ、テールランプまわりはすっきりさせている。デザイン的には好みは分かれそうだ。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

ボディに一体化したテールランプは上から見ると「M」の形状に見える遊び心も。レンズ内側の4本の導光体により、リアビューでもフローティング感を演出している。ちなみにリアフレーム後端部も従来モデルに比べて30mmショート化されている。

ヤマハ MT-09 SPの試乗インプレッション

SP専用のLCDメーターを採用。黒ベースのパネルに白文字が浮かびあがるネガポジ反転の液晶を使用することで、より精悍なイメージとした。タコメーターはデジタルバー表示で、その他に平均燃費、水温、気温表示などに加え、左側にギアポジションインジケーター、右側にはECOインジケーターを配置。

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