ホンダ スーパーカブ50(2012) 試乗インプレ・レビュー

ホンダ スーパーカブ50(2012)
ホンダ スーパーカブ50(2012)

ホンダ スーパーカブ50(2012)

掲載日:2012年07月10日 記事カテゴリ 試乗インプレ・レビュー    

取材・写真・文/河合宏介

オドロキの低価格化を実現して
ホンダの「原点」がリニューアル

スーパーカブは1958年に初代C100が誕生して以来、およそ半世紀の間、基本構造とスタイルを変えずに生産されている原付だ。新聞配達からシティユースまで愛用されていて、その姿を街で見かけない日はないだろう。そんな身近なバイクの50ccモデルが、フルモデルチェンジされて2012年3月に発売された。

 

今回のモデルチェンジの大きなポイントは、特長だった丸目ライトが四角になり、セルモーターを装備して4速ギアが標準になったこと。従来のカスタムタイプの仕様がスタンダード化されたと言える。何よりも嬉しくなるのは、その価格だろう。新型スーパーカブ50(2012)は、兄貴分のスーパーカブ110(2012)と同じように、生産拠点を中国に移すことでコストカットを追及。前モデルに比べて48,300円安い、187,950円に設定されたのだ。日本を代表するバイクが100%海外生産になることに寂しさも覚えるが、車種そのものが消えていくのが当たり前の現代にあって、モデル存続ために必要な英断だったのだと思いたい。そんなデザインもパッションも新生となった新たなカブをストリートでチェックしてみた。

ホンダ スーパーカブ50(2012) 特徴

ホンダ スーパーカブ50(2012) 写真 ホンダ スーパーカブ50(2012) 写真 ホンダ スーパーカブ50(2012)


基本装備はより使いやすく
保安部品はより安全に

スーパーカブ50(2012)のデザイン変更は、単なるデザインの変更だけではなく、基本的な機能を進化させている点に注目すべきだろう。まず、ヘッドライトには、現代のバイクの定番でもあるマルチリフレクターとハロゲンバルブが採用され、夜間走行に不満を感じることはなくなった。さらにウインカーやテールランプも大型化されたため、交通量の多い通りで見落とされがちな原付でも、安心して走行できると感じた。メーター周りやスイッチ類も分かりやすく操作しやすい形状なのだが、ひとつだけ気になった点がある。それはウインカーボタンとホーンボタンの位置だ。スーパーカブ110(2012)のインプレ でも記載したように、ウインカーとホーンのボタンの位置関係が一般的なボタンとは逆なため、慣れないうちはウインカーをキャンセルしようとしてホーンを押してしまうのだ。そうした事情もあって、図らずもホーンのテストを何度も繰り返したわけだが、そのホーンの音量は大きくて音質も太く、周囲のドライバー全員が振り向くほどだった。実際にホーンが必要な状況を想像すると頼もしい性能だ。

 

フロントブレーキレバーは真ん中あたりで適度な曲線を描いており、パワーレバーのようなテコの原理で、小さな力で充分にブレーキを効かせることができる。リアブレーキペダルの面積は大きく、外側へ張り出しているので、踏み間違えが少ない。このブレーキは、レバーを握って(もしくは踏み込んで)ゆくと、利き始めのポイントが良く分かる。さらに握っていくと、しっとりジワリとブレーキが利き始める。カクンと急に利く戦闘的なブレーキではなく、気持ちのよいブレーキフィーリングだと思う。新しい角断面パイプフレームの剛性の高さもあって、ブレーキング時も実に安定している。なお、フロントのテレスコピックフォークの動きは素直だが、単なるスプリングの感じは否めない。

 

ホンダ スーパーカブ50(2012) 写真

ホンダ スーパーカブ50(2012) 写真

ホンダ スーパーカブ50(2012) 写真

燃料タンクの容量は、旧タイプより0.9リットル増やして4.3リットルに増量された。なお、今までシート下にあった燃料計はメーターパネルに移設された。このメーターパネルにはニュートラルランプはあるが、欲を言えば他のギアも表示してほしかった。ぜひ次の機種に期待したい。

ホンダ スーパーカブ50(2012) 試乗インプレッション

驚異的とも言っていい低燃費と
17インチホイールの直進安定性

カブシリーズに搭載されている自動遠心クラッチを簡単に言うと、クルマのセミATトランスミッションのような「変速の必要はあるけど、エンストはしないギア」だ。オートマチックではないので、アクセルを開けただけ、きっちりと前へ進む印象がある。またエンブレを有効に使って、ブレーキの消耗も少ないエコノミーな運転もできる。試乗車は走行84キロという新車だったので慣らしも済んでおらず、まだ変速ギアは固かった。しかし、その感触は「ガチャリ」ではなく「コクリ」という小気味良さで、ショックの少ない軽快なギアだった。

 

一速は大量の荷物を積んでいても坂道発進できるような低いギア比なので、荷物を積んでいないとすぐに吹け上がってしまう。つまりスタート専用なので、タイヤがごろりと動いたら素早く2速に入れるのが正解。排気量が50ccなので交通の流れに乗せるために、2速で少しだけ引っぱるのがコツだ。そして定速走行では、3速か4速のどちらかを使う。この4速あるギアが、低燃費を実現している。カタログ値ではリッターあたり110キロだが、都市部を151キロ走って、満タン法で測った燃費はリッターおよそ72キロだった。交通の流れに乗ることを優先して走っても、オートマチックのスクーターでは出せない優れた低燃費だ。慣らしが終了して各部が馴染めば、さらに燃費が伸びる余地は充分にある。この世界に誇れる日本生まれのエコロジー&エコノミーなモビリティに、何の優遇措置もないことが不思議でならないが、とにかく、ガソリン代が気になる通勤やデリバリー業務には最適だろう。

 

その反面、50ccのスクーターと比べると、動力性能は大きく差をつけられている。出足は遅い。ある条件では60キロのメーターを振り切る速度を出せる実力は持っているのだが、そこに至るまで長くて平らな直線を必要とするのだ。しかし、特記したいのは、最高速度に近いスピードで走っていても振動は少なく、車体が実に安定していることだ。17インチという大径ホイールなので直進安定性が高く、タイヤが細いので接地状態が感じられるしなやかさもある。積極的にコーナーを攻めたり、切り返しを繰り返すような運動は苦手だが、普通に走っている限りトータルバランスは秀逸。未舗装路でも不安なく安定して走ることができるメリットを感じた。突出した性能はないがオールマイティ。それこそがカブの真骨頂だと思う。

ホンダ スーパーカブ50(2012) 写真

ホンダ スーパーカブ50(2012) 写真

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SPECIFICATIONS – HONDA SUPER CUB 50(2012)

ホンダ スーパーカブ50(2012) 写真

価格(消費税込み) = 18万7,950円

2012年生まれの新型カブ50は、変わるべき部分は新しく、変化すべきではない部分はそのままに設計された。外観は刷新されたが、誰が見てもカブだと分かる姿に仕上がっている。カラーバリエーションはグリーンを含む5色を用意。

■エンジン形式 = 空冷4ストロークOHC単気筒

■総排気量 = 49cc

■最高出力 = 2.7kW(3.7PS)/7,500rpm

■最大トルク = 3.8N・m(0.39kgf-m)/5,500rpm

■トランスミッション = 常時噛合式4段リターン

■始動方式 = セルフ式(キック式併設)

■点火方式 = フル・トランジスター式バッテリー点火

■サイズ = 全長1,915×全幅700×全高1,050mm

■シート高 = 735mm

■最小回転半径 = 1.9m

■乾燥重量 = 95kg

■燃料供給装置形式 = 電子式(PGM-FI)

■消費燃費率 = 110.0km/L

■燃料タンク容量 = 4.3L

■乗車定員 = 1名

■F/Rタイヤサイズ = 60/100-17

■F/Rブレーキ形式 = 機械式リーディング・トレーリング

■F懸架方式 = テレスコピック式

■R懸架方式 = スイングアーム式


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