ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO 試乗インプレ・レビュー

ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO
ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO

ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO

掲載日:2016年06月14日 記事カテゴリ 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/佐川 健太郎  写真・動画/山家 健一  衣装協力/HYOD

ワンオフとマスプロの利点を融合した
こだわりのファクトリーカスタム

モーターサイクル用スペシャルパーツを数多く開発してきた、プロトが手掛ける完成車ブランドが『ZERO-Engineering』(ゼロエンジニアリング)である。そして、同ブランドが2003年からリリースを開始した、カスタムテイスト溢れる量産市販モデルが『ロードホッパー』シリーズなのだ。

 

元々はハーレー系のハンドメイドカスタムとしてスタートした“ゼロ”のスピリットと芸術性、そしてプロトが長年培ってきたマスプロダクトの品質と信頼性を高い次元で融合したロードホッパーの最新モデル、『Type5 EVO』に試乗してみた。こだわりの逸品が誘う非日常の世界とは……。

ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO 特徴

ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO 写真 ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO 写真 ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO 写真


ビンテージへのこだわりを
現代の技術レベルで再現

ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO 写真Type5 EVOは、ハーレー系のアフターマーケット用エンジンビルダーとして名を馳せるS&S社製の空冷4ストV型2気筒OHV1340ccを、リジッドフレームとスプリンガーフォークを持つオリジナルの車体に搭載したロードホッパーの新型モデルである。

 

エンジンは通称「EVO(エヴォリューション)」と呼ばれるタイプで、本家ハーレーでは1984年~1999年にかけて搭載された仕様がベースになっている。しかしながら、単にオリジナルのエンジンをコピーするだけでなく、プロトが現代の技術水準でオーダーしたものであり、日常域での使い勝手を重視して低中速寄りのカムプロファイルに設定している。

 

また、今回のトピックとしては従来のインジェクションに変えて、ミクニ製HSRキャブレターを採用していることがポイント。これは、「やはりキャブ車のフィーリングが欲しい」という、多くのユーザーからの意見を反映したもので、キャブレター独特のアナログ的な味わいを出しつつも、コンピュータによって空燃比や点火時期を制御することで排ガス規制を完全にクリアしている点が素晴らしい。

 

ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO 写真車体に関しては同シリーズの特徴でもある、リジッドフレームにスプリンガーフォークを組み合わせる手法を採用。リジッドフレームとは、現代のバイクのようなリアサスペンションやスイングアームを持たず、後輪軸がフレームに直接マウントされている構造のこと。40年代~50年代頃のクラシックハーレーなどに使われていた昔ながらの作りだが、シンプルで美しい外観から、いまだにカスタムシーンでは人気が高い。一方で、サスペンションを持たない構造のため、乗り心地や路面追従性に劣ると言われるが、そこはサイズや肉厚の異なるスチールパイプを組み合わせたり、強度と靭性に優れる引き抜き材を用いることで独特の“しなり”を持たせることで弱点を克服。乗り心地とハンドリングを高めている。

 

また、フロントサスペンションにも同じくビンテージカスタムには欠かせないスプリンガーフォークを採用。2対のフォークの動きを6本のスプリングで制御する古典的な仕組みではあるが、こちらも特別な引き抜き素材を使い、真鍮製フリクションカラーなどを採用することで、テレスコピックに近い自然なフィーリングを再現するなど、現代的な走りに対応できるスペックが与えられている。ちなみに新型ではブレーキもブレンボ製が採用された。

 

ディテールへのこだわりも特筆すべき。「グースネック」と呼ばれる独特のフレームワークと水平方向に一直線に伸びたマフラーが醸し出す優雅なロー&ロングシルエットに、前後16インチのバルーンタイヤとガラス製の灯火類を組み合わせるなど、ビンテージファンならずとも思わず見入ってしまう美しさ、完成度の高さが魅力となっている。

ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO 試乗インプレッション

EVO80&リジッドフレームが織りなす
古典的かつスポーティな味わい

 

ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO 写真グースネックからリアエンドまで上下に分かれて伸びる三角形のフレームの中に鎮座したピカピカの1340cc EVOエンジン。よく見るとフロントフォークは機械仕掛けのスプリンガーで、リア側はスプリングすら持たないリジッド。そして、前後にはバルーンタイヤを履いたワイヤースポーク16インチホイールとくればもう、ビンテージカスタムマニアには堪らないだろう。ロードホッパーを見ていると、シンプルな中にも徹底的に細部まで磨き上げた、作り手のこだわりの美学が伝わってくる。

 

跨ってみると、ひと際低いシート高にまず安心。低めに構えたハンドルはトップブリッジに直付けされたローハンドルタイプで、これがまたマニアック。ステップ位置はかなりフォワードタイプだが、個人的にはもう少し後退していたほうが楽かな、と思う。まあ、ライポジについては後でいくらでも好みにカスタムできるはずだ。

 

ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO 写真ミニマルな特注スイッチボックスにあるセルボタンを押すと、意外とスムーズにエンジン始動。アイドリングもすぐに安定して、クラシックハーレーを思わせる独特なエンジンの鼓動感が気分を盛り上げる。乾いた排気音とオープンプライマリーならではのメカノイズがまたいい感じだ。キャブレター仕様ということで、始動性や極低速でのぐずりを懸念していたが心配ご無用。インジェクション開発で培った電子制御技術がフィードバックされているということで、昔のキャブ車とは別物の素直さがある。

 

ドライクラッチの感触を確かめながら、そろそろと走り出してみる。40km/hぐらいで流しながら慣れてきたところでスロットルを開けると、一瞬の間を置いて弾けるトルクで加速していく。強制開閉キャブならではの腹にズドーンとくる分厚い加速フィールが堪らない。さすがはハイパフォーマンスで鳴らすS&S製だけのことはあり、STDのEVOエンジンよりレスポンスも良い気がする。もしかすると、後輪が路面を蹴るリジッドならではのダイレクト感がそう思わせているのかもしれない。もちろん、現代のツインカムのパワフルで滑らかな加速とは違うが、ちょっと粗野な感じが逆に心地よい。

 

ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO 写真気になるサスペンションだが、スプリンガー&リジッドフレームの組み合わせはけっして乗りにくくはない。部材そのものが重いスプリンガーの操舵感は、まったりとしてストローク量も少なめだが、その重厚なハンドリングも慣れると味わい深い。コーナリング速度によって、バンク角と操舵角を微妙に調整しながら曲がっていく感じがなんともレトロチックで楽しいのだ。路面のギャップを拾うとフォークトップがぴょこぴょこ持ち上がるアクションも実に興味深く、そのメカメカしい風体から蒸気機関車を連想してしまう。

 

リジッドフレームも適度なしなりによって路面の凹凸を吸収するため、乗り味は想像しているよりも柔らかい。大きなギャップは踏まないよう注意すべきだが、ムリをしなければ常識的な速度でコーナリングも楽しめる。ブレーキも強力とは言えないが、この車体にして必要十分な効き具合だろう。つまり、ロードホッパーとしてのスポーティな乗り味はちゃんと存在しているのだ。

 

職人技とアートの融合。ノスタルジックで新しくもあり、古典的でスポーティ。いろいろな表現を当てはめてみようとするが、やはりロードホッパーはそれ以外の何物でもない。古き良き時代のビンテージスタイルを、現代の技術と美的センスでまとめあげた個性あふれる“鉄馬”である。

 

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SPECIFICATIONS – ZERO ENGINEERING ROAD HOPPER Type5 EVO

ゼロエンジニアリング ロードホッパー Type5 EVO 写真

価格(消費税込み) =
286万2,000円

※表示価格は2016年6月現在

ノスタルジックな雰囲気を現代に再現したネオクラシックモデル。新型ではS&S社製EVOLUTIONエンジンにキャブレターを組み合わせ、電子制御により点火時期、空燃比を制御することで排ガス基準をクリアしている。

■エンジン型式 = 空冷 V型2気筒 OHV 2バルブ

■総排気量 = 1337cc

■ボア×ストローク = 88.9×107.9mm

■最高出力 = -

■最大トルク = -

■トランスミッション = 5速

■サイズ = 全長2,290×全幅720×全高920mm

■車両重量 = 260kg

■シート高 = 660mm

■ホイールベース = 1620mm

■タンク容量 = 8リットル

■Fタイヤサイズ = 5.00-16

■Rタイヤサイズ = 5.00-16

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