KTM 390 デューク
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KTM 390 デューク – ついにシリーズ最強モデルが登場

掲載日:2013年07月18日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/佐川 健太郎  撮影/バイクブロス・マガジンズ編集部  衣装協力/HYOD

KTM 390 デュークの試乗インプレッション

KTM 390 デュークの画像

スモール DUKE シリーズ随一のパワーと加速力
速さを引き出すにはスキルも必要だ

スモール DUKE シリーズの完結編となる 390 DUKE が登場したことで、多くのライダーが知りたいのは 200 DUKE との住み分けだろう。今回、両者を乗り比べることができたので、そのあたりを中心に話をすすめたい。

KTMのカテゴリー的には“ネイキッド”に位置付けられているが、一般的なそれとは異なり、かなり特殊だ。ライディングポジションは上体が起きたアップライトなスタイルで、元々がモタード由来ということもあり、シート高も865mmと高め。特に “R” は前後サスペンションのストロークも伸びているため、見た目の印象は “足長系” である。ただ、実際に跨ってみると、イニシャルはソフトで沈み込み量も多く、また単気筒エンジンゆえのスリムさと軽い車体に助けられるため、数値以上に足着きはいい。STDと大きく違うのはステップ位置で、大幅に後退してやや高めにセットされている。スポーツライディングにはしっくりくるライディングポジションだ。

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見た目は本当にウリふたつで、グラフィックやデカールを確認しなければ見分けがつかないほど。一番分かりやすいのはフレーム色。390 はフレームが KTM オレンジに塗られているからだ。よく見ていくと、390 のほうがエンジンはひとまわり大きく、ボリュームがある感じ。その分、マスがより凝縮しているように見える。取り回しはやはり 390 のほうが重い。10kg 弱とはいえ、分かるものだ。それでも十分に軽いのだが。

800mm のシート高も共通で、跨ってみるとストローク感たっぷりに沈み込む感じも同じ。スリムな車体と相まって足着きはすこぶる良い。ライディングポジションは 125 では大柄に思えたが、200 ではジャストになり、390 になると逆に小さく思える。不思議なものだ。

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エンジンは明らかに違う。アイドリング状態ですでに鼓動感や振動など、ライダーに伝わってくるエンジンの迫力というか、存在感がぐんと前に出てきている。トルクが大幅に増しているため、半クラに気を遣うこともなく発進も一層楽になった。スモール DUKE シリーズはそれぞれ高回転までよく回るエンジンではあるが、390 はより中速寄りの設定だ。7,000rpm 前後あたりはトルクが乗る美味しいゾーン。シングルらしい鼓動感がより鮮明で、パンチが効いている。スロットルを開けたときの弾ける加速感も段違いだ。

これに対して、200 はとにかくエンジンをブン回して走るのが楽しい。出力的にも排気量的にもパワーバンドキープのような走り方ができてしまう。本当の意味での “扱い切れるパワー” は、たぶん 200 のほうだと思う。390 レベルになると、スロットル全開のままコーナーに飛び込む走りはなかなかできなくなる。125 と 200 がミニモト的な走りだとすれば、390 はミドルクラス的な乗り味に近くなってくるのだ。エンジンと車体の関係を端的に表すならば、125 はエンジンより車体が勝り、200 はエンジンと車体がイーブン、390 はエンジンが車体に勝る、といったイメージだ。

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390 は車体に補強を入れ、サスペンションも特性を見直すなどの強化を施しているのだが、圧倒的にパワフルな分、やはり車体の挙動は大きくなる。たとえば減速帯などがあるコーナーでスロットルを開けていくと、ややサスペンションの動きに落ち着きが欲しくなるシーンも出てくる。その意味では、このクラスになるとダンパー調整機構が欲しい気がしないでもない。ハンドリングはすこぶる軽快でラインも自由自在だが、200 に比べればスロットルワークに気を遣うのも事実。パワーを生かして速く走らせるためには、相応のスキルが必要になってくるだろう。常に全開気分で走れる 200 との大きな違いだ。

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ブレーキはブレンボが OEM 提供している 『BYBRE』 というブランドだが、タッチはまさにブレンボらしく穏やか、かつ握り込んだ奥でのコントロール性に優れるタイプ。コーナーアプローチでの速度調整もしやすい。軽量コンパクトな車体ゆえよく止まるし、ブレーキングミスでパニックになることも少ないとは思うが、いざというときは ABS が標準装備されていることは非常に心強い。スポーツモデルらしく ABS の介入はかなり深め。スポルテック M5 のグリップ力によるところもあると思うが、その気になればリアが浮き上がるほどのハードブレーキングも自然にこなせてしまう。なお、ABS 作動時にはややキックバックが感じられるが、それによる不安はないはずだ。

エンジンのパフォーマンスもさることながら、クロモリ製パイプフレームや鍛造ホイール、一流ブランドで固めた足まわりのグレード感、デザイン工房 『KISCA』 による斬新な車体デザインなど、コンパクトな車体に所有欲を満たすコンポーネンツが散りばめられている点も魅力だ。それでいてこの価格。大いに気になる1台だ。

KTM 390 デュークの詳細写真は次ページにて

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