毎日乗りたい!! KTM 790 DUKEのヒミツ!?

掲載日:2018年05月18日 試乗インプレ・レビュー    

取材協力・写真提供/KTM JAPAN
取材・文/松井 勉  写真/増井貴光  構成/バイクブロス・マガジンズ

790 DUKEを造ったKTMは、こんなメーカー

ちょっと長くなるが、知っていただきたい。KTMはオーストリアのメーカーだ。Moto GPで開催されるMoto 3、 Moto 2 、そして最高峰クラスMoto GPにも、ワークスチームを送り込む活躍で注目を集めている。なにより、2007年からはじまり、2018年で12シーズン目を迎える「Red Bull Moto GPルーキーズカップ」には、連綿とKTMが明日のスターライダーを夢見る若手にレーシングマシンを供給し続けている。現在、ヤマハテック・3に所属しているヨハン・ザルコも、ルーキーズカップからMoto 2チャンピオンを経て最高峰にステップアップした1人。日本を含む34カ国のライダーが、このシリーズで腕を磨いた。

そのほかにもKTMをもっとも有名にしているのは、オフロードセグメントでの活躍だ。モトクロス、エンデューロ、そしてラリーなど、そのワールドタイトルの数は計り知れないほど。国内のアマチュアにも多くのユーザーがいることはよく知られている。

そんなKTMは、音楽家、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが生まれ育った町、ザルツブルグからクルマで1時間ほどの距離にある町、マッティングホーフェンに創業いらいその本社を構えている。会社名の「M」はこの町の名前から採られている。「K」と「T」は創業者の名前、クローノライフ、トゥルンケンポルツからそれぞれ一文字をとり、KTMとなったのだ。

創業は1953年。100ccエンジンを搭載したR100という最初の市販車からはじまり、ミラベル、ポニーといったスクーター、コミューターなども売り出し、ロードレースなどにも参戦するヨーロッパにひしめくオートバイメーカーのひとつだった。

KTMの転機は60年代後半、アメリカ人のプロライダーでありオートバイ販売業をする、ジョン・ペントンからの依頼でオフロードバイク「ペントンKTM」をアメリカ向けに生産し始めたことが礎となっている。その後KTMは70年代になると主力機種をオフロードに移し現在への地位を築くことになる。

80年代半ばまでは50cc、80ccといった小排気量ロードバイクも生産するが、80年代半ば以降はオフロードバイクメーカーに移行している。

そんな彼らが「DUKE」という名前のロードバイクをリリースしたのは1994年のこと。「620 DUKE」がそれだった。大型排気量ロードバイクセグメントにKTMがアプローチしたのもこのバイクが最初だった。

水冷4バルブエンジンを意味する「LC4」という名を与えられたそのエンジンは、609ccの大排気量単気筒エンジンで、オフロードバイクに17インチのロードタイヤを履いたスーパーモトスタイルをベースに、ロード向けのサスペンション、プロジェクタータイプヘッドライトを2灯並べたマスク、ブラック一色の外装などで同時の個性を放つ1台に仕立てたもの。

2005年にはVツインエンジンを載せた上級モデルをリリースする。2001年にダカールラリーに優勝したファクトリーマシンのエンジンがルーツになる「LC8」エンジン(コチラは水冷8バルブエンジンを意味する)は、排気量999cc水冷Vツインエンジンで、車名は「990 SUPER DUKE」と名付けられた。排気量と呼称の数字が微妙に異なるのは、この頃からの習わしのようだ。

KTM 990 SUPER DUKE(2005-)

その後、2009年にはフレーム、エンジンを一新した単気筒エンジン搭載の「690 DUKE」が誕生。トラスフレームの採用や個性的なデザイン、そして高性能な単気筒スポーツとしての存在をさらに鮮明化させる。

KTM 690 DUKE(2009-)

そして2011年には690 DUKEが持つらしさを凝縮したような「125 DUKE」の生産を開始。

KTM 125 DUKE(2011-)

この「スモールDUKE」には、日本導入タイミングは前後するが200、250、390というバリエーションが加わり、ルーキーズカップのように世界の若いライダーを刺激した。オーストリアで設計し、生産をインドで行うことで、アジアを含む世界の消費地にロープライスで、KTMクオリティを届けることが狙いだった。

KTM 200 DUKE(2012-)

KTM 250 DUKE(2015-)

KTM 390 DUKE(2014-)

2012年には690 DUKEシリーズがモデルチェンジ。シート高を低く抑えた新しいコンセプトのフレームをしたが、相変わらず単気筒スポーツバイクとして貴重な存在なのはかわりない。

KTM 690 DUKE(2012-)

2014 年には「1290 SUPER DUKE R」が登場。歴代最大排気量、最大パワーで強靱なバイクを好むライダーを刺激しまくった。このクラスでは文句ナシのパフォーマンスを誇った。

KTM 1290 SUPER DUKE R(2014-)

790 DUKEの試乗インプレッションは次ページにて

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索