【Page3】サブコンチューニング

掲載日:2010年05月14日 特集記事2010カスタム最前線    

記事提供/2010年1月24日発行 月刊ロードライダー 3月号
テクニカルプロショップ単車屋 [TEL]0977-67-5738 〒874-0045大分県別府市御幸6組

今年やりたい最新カスタム

サブコンチューニング

   

インジェクションチューンはターボでもNAでも対応

①②'08~ハヤブサ用フルボルトオンターボキット(②)と、サブコンEM-2の設定画面(①、車載したEM-2にPCをUSB接続して、データロガーに記憶したデータを表示中)。ロガーデータと乗車フィーリングに入力データを照らし合わせればより詰められる。回転域とTH開度等を細かく取り、マス目を埋めるのがマップ製作と考えていい

③R/Rイナズマ1200FIターボにもEM-2

④単車屋ではインジェクターチェックサービスも行う(1本5250円)などFIに精通

 

自然吸気でもターボ車でも
FIに試したいサブコン

キャブならジェットを換えて・・・・・・と分かる。FIだとマップだ数字だで分からないし、違いはあるのか? 
確かな補正を受ければ、その効果は大。TP単車屋はそれを具体化している。

 

テクニカルプロショップ単車屋は、20年近く前から2輪ターボの製作を手がけ、既に数十台の車両を完成させている。負圧キャブ仕様からFIまで、燃料供給形式は問わず。しかも、ともすればがさつさがパワー感と取られがちな2輪界において、負圧キャブを使うことでの自然なフィールを得ることを早くから打ち出し、そのフィールはスムーズな過渡特性から得られるという確信を、ターボ製作から掴んでいた。

 

テクニカルプロショップ単車屋は、20年近く前から2輪ターボの製作を手がけ、既に数十台の車両を完成させている。負圧キャブ仕様からFIまで、燃料供給形式は問わず。しかも、ともすればがさつさがパワー感と取られがちな2輪界において、負圧キャブを使うことでの自然なフィールを得ることを早くから打ち出し、そのフィールはスムーズな過渡特性から得られるという確信を、ターボ製作から掴んでいた。

 

■難しいFI+ターボにヒントが
車両により異なるが、ターボ車では新気の吸入経路が自然吸気車と違うため、ブースト圧が掛かっていない低回転では、タービン自体が少し空気抵抗になる回転域が出る場合があり、その領域は減量が必要。またブースト圧の上昇始めの回転領域で、追加インジェクター(以下IJ)の噴射までは必要ないけれど、ノーマルIJでの噴射増量が必要な領域がある。これにより、ターボではIJの増・減量が出来るほうが、細かくセッティング出来ていいことになる。この燃料量の増・減量が“補正”になり、その量を変えるのがサブコンピュータ=サブコンだ。車両が持つノーマルのCPU (コンピュータ)をメインとして、そのサブに付けるからこう呼び、基本の考えは単車屋・辻さんによれば、ざっとこうだ。

 

「ノーマルIJの補正は、例えばノーマルIJが10%噴射している時に、サブコンで20%の増量補正を行うと、これは“10%に対しての20%補正”で、10%×20%、つまりノーマルを2%増量補正したことになる=合計12%の噴射(正しくは時間)になります。これはノーマルの補正です」

 

ノーマルIJの最大噴射能力を100%として、その0~100%に対して補正を行うのが、今市場にあるサブコン。単車屋でもEM-1とEM-2という2タイプを用意する。ここでターボだが、過給して自然吸気にない新気量が送り込まれるので、それに応じてノーマルIJの能力以上の燃料が必要になる場合がある。そのために追加IJが加わり、その制御も行う必要が出る。EM-1でもノーマルにない追加分2本の制御が行えるが、これを4本とし、さらに機能を高めたのが、EM-2だ。ノーマルにない追加IJでは、マップの数字は直接のIJ噴射数値となる。だからIJ本来の吐出量を認識する必要があり、さらに圧力センサーを追加して、ブースト圧力を認識して制御等、も行わなければならない。

 

吸気管内の圧力も、自然吸気の負圧(自然吸気では正圧になることはまずない)から、過給の正圧に切り替わるところなどの特性を数多く試して、ここでも自然な感覚になるように補正の工夫がされている。

 

このように難しいこと=ターボ用のセッティングを先にやることで、自然吸気への対応は問題なし。同時に、エンジンブレーキの掛かり具合も、噴射量を細かく補正して自然なものにしている。これは、ノーマルベースでもできる補正だ。もうひとつEM-2では20ミリ秒(20/1000秒)単位でのデータロギングが可能で、これを使うことで実負荷がかかった実走時の状態=スロットル開度や燃料補正量、エンジン回転に温度、管内圧力等を追認でき、これと補正マップを比べることもできる。

 

■数字の変更はジェット変更の感覚
FIでは車両メーカーが膨大なテストを繰り返した上で決定したマップ(プログラム)がCPU(コンピュータ)に収められている。このマップをいじるのは、キャブの各ジェット類を変えるのと似た作業と思ってもいい。ここまでに述べたようなことやマップ補正画面に並ぶ数字の羅列は、素人目には何のことやらだろうし、STDに加えて●%増量と言われてもピンと来ないかも知れない。しかし、これがキャブでジェットの番手を変えたり、JNのテーパー角を変えると言われれば、想像しやすいという人も少なくないだろう。そう、この数字の羅列が集まって、大きなひとつのジェットを構成すると考えれば分かるのではないだろうか。

 

メーカーのマップは確かにオールラウンド。そこにさらに1台ごと、オーナーごとの細やかなセッティングが出来る機能が備わるのなら、それは活用した方がいい。“インジェクションだから不満がない”というユーザーも少なくはないそうだが、FIだからこそ、試せばいいのではないだろうか。乗り味と補正の意味の両方を知った上で作られたサブコンを使うのなら、その価値はある。

 

フルコン車にも純正FI車にも使えるEM-1/2

ハヤブサターボは6000rpm付近で設定ブースト圧に達し、アクチュエーターのロッドをブースト圧で押してタービンのサイドバルブが開放され、設定ブースト圧以上に上昇しないよう制御してのグラフ。フルブーストの場合はそのまま上昇する。イナズマFIターボでは7~8000rpmで現状クラッチ滑りの谷があるが、両車ともスムーズなフィールになっているのが分かるはず

   

PCで次々画面を切り換えつつ説明を行ってくれるTP単車屋・辻さん(左写真)。ハヤブサターボ(P.42参照)は12.5→9.2:1に低圧縮比化したステージ1状態に試乗したところ、車体ほぼSTDなのに低速域での取り回しが非常に良くなっていた。燃調補正が良好な証明でもある

   

単車屋で手がけたサブコン使用車の代表例。上からハヤブサ+ターボ、ZRX1200DAEG(ともに純正FI採用車でDAEGはEM-2を設定)、本誌連載のイナズマ1200(キャブ→ハルテックF9フルコンをターボ化し、EM-2を追加)。CB1300SF(EM-1を設定)もOK。いずれもとにかくスムーズ

●車両・ライダーごとに合ったセッティングが可能

●正しく補正すればSTDでもより乗り味が良くなる

●古いフルコン車の制御能力を高めることも出来る

エンジンや吸入気の温度、吸入負圧、空燃比に点火時期、スロットル開度等を検知してCPU内に入ったマップと照らし合わせ(演算)、燃料を噴射するFI。ターボキットを見本としたのは、吸入圧が負圧だけでなくゼロや正圧になったりなど、難しい条件があり、これをクリアしてフルボルトオン化したからだ。サブコンを使いこなせるところは共通してエンジンブレーキ特性や少し開けの特性等に気を配っている

 

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