【Page8】「XLR/ XR250」進化の変遷を辿る

掲載日:2010年02月17日 特集記事旅とアソビの250トレール    

2009年1月1日発行 月刊ガルル No.273より記事提供

250トレール スタンダードモデルの進化の変遷を辿る

現在に続くXRの
初代モデルXLR250R

1983年に登場したXLX250Rは、ホンダ独自の放射状4バルブ配置の半球形燃焼室RFVCを採用していた。その2年後、細部を見直すことで最大出力を26PSから28PSへとアップした初代XLR250Rが登場した。低中速域での力強いトルクと、高回転までスムーズに伸びるエンジン特性を実現している赤エンジンが目を引くこのモデルは、2007年までラインナップされていたXR250シリーズの元祖とも呼べる存在だ。スイングアームはアルミ製を採用していた。

XLR BAJAに続いて
リヤブレーキをディスク化

1989年2月1日より発売されたXLR250Rにはリヤディスクブレーキが採用された。リヤディスクブレーキは1987年12月に発売されたXLR BAJAが先に装備したものだが、制動フィーリングとメンテナンス性は大幅に向上している。緩みにくい形状のスポークホイール、エアクリーナーの脱着が簡単に行えるクイックメンテナンス・サイドカバーなど、使い勝手も格段に良くなっている。しかし、1989年12月には新カラーリングが発表されるなど、短命なモデルでもあった。

足まわりの変更で
走破性が高められた

前後サスペンションの内部構造をカートリッジ式に変更することで、サスペンションの作動性を現代化。路面追従性が大幅に向上し、走破性も一気に高められている。タンデムステップもスイングアームからサブフレームへと取り付け位置を変更し、タンデムライダーの乗り心地も改善されている。さらにブレーキローター形状も変更されている。カラーリングもレーサーXR250Rをイメージしたものとなり、XLR250Rは4スト250トレールのスタンダードとして人気を博した。

セルスターター装備で
スーパーXRへと進化

1993年にヤマハTT-R250が登場して以来、セルは必須の装備となっていた。このTT-Rに対抗するべく、ホンダもXLR250Rをフルモデルチェンジ。フレームと足まわりを一新し、エンジンをドライサンプ化、そして待望のセルを搭載したスーパーXR250を登場させた。メーターも多機能デジタルと、XLRシリーズの信頼性と次世代XRの革新性が融合した意欲作だった。同時にXR BAJAも誕生。大径化されたツインヘッドライトはフレームマウントとなっていた。

AIを装備して
排ガス規制をクリア

強化された排ガス規制に対応するために、排出ガス浄化システムとして2次空気導入装置(エキゾースト・エアインジェクション=AI)が装着された。合わせてCVキャブレターのセッティングも変更されている。最高出力と最大トルクに変更はないものの、アクセルレスポンスがマイルドになり、極低速域でのパワー感がスポイルされた印象を受けることになった。しかし、レーサーXRシリーズと同様のファイティングレッドを採用したことで、市場には好意的に受け入れられていた。

倒立フォークを採用し
外装イメージを一新

倒立フロントフォークを採用し剛性が高められた。ストロークもわずかに延長し、衝撃吸収性が向上している。また、低中速域でのレスポンスを向上させるためにデジタルCDIユニットを採用し、点火タイミングを最適化している。外装はモトクロッサーイメージに一新され、跳ね上がったリヤフェンダーやタンクシュラウドが装着された。メーターはデジタルからアナログになった。こうした外装の変更には未だに評価が分かれているが、オフロード走破性は確実に向上している。

20年以上続いたXR
シリーズの最終形

マルチリフレクターヘッドライトを搭載して視認性を向上している。また、フロントバイザーのデザインを変更。さらにフロントフェンダーとサイドカバーをシャープな形状とすることで、モトクロッサーCRFイメージを強調したデザインとなった。こうしたデザイン変更は派生モデルであるモタード主導という意見もあるがAIの熟成で信頼性を引き上げるなど、細部の煮詰めも継続して行われていた。2008年12月現在、ホンダのサイトでXR250は「生産終了」と表示されている。

 

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