【Page2】「トレールハイ」になれる常用域の旅

掲載日:2010年02月17日 特集記事旅とアソビの250トレール    

2009年1月1日発行 月刊ガルル No.273より記事提供

時速20kmから60kmの旅

「トレールハイ」になれる常用域の旅

音楽のジャンル分けが実は無意味なように、バイクのジャンル分けも、実は大した意味がない。

「トレール」というジャンルに区分けされるバイクたちを並べてみると、もちろんその特徴こそ似ているものの、各車のキャラクターは大きく異なっている。ときには「トレール」という枠に収めてしまうことで、そのマシンの可能性を狭めてしまうのではと思えるバイクもある。

その一方で「トレール」という言葉には、どこか牧歌的な雰囲気と、独特の空気感がある。道を選ばず、先を急がず。気持ちのいいフィールドを求める旅。そう、旅だ。 トレールと旅は、切っても切れない関係にある。道を選ばず、先を急がない旅。それにはやはり、250がちょうどいい。今回旅の友としたのは、現行最新ラインナップとなる3台に加えて、未だ多くのライダーに圧倒的な支持を受けるXR250。それぞれに独特の好みを持つライダー4人が、この4台を乗り換えながら、自身の「トレール観」を掲げ合う1泊2日となった。

菅野「街乗りでも、林道でも、いちばん使用頻度が多い速度域って20áqから60áqくらいでしょ。シチュエーションを問わず、その常用スピードでどれくらい気持ちいいかって、重要なところだよね」

小川「WRが速くて軽いのには驚いた。普段XRに乗っているから、どうしてもXRとWRの比較になってしまうんだけど、いつのまにかスピードが出ている感じがする」

小林「そうだね。超高回転域であれだけのパワーがありながら、常用の低速域でもパワー感がある。それを両立してるのがすごいと思ったな」

田島「爽快な加速感ですよね。それほどスピードが乗っていない常用域でも、パワーがある分の余裕がしっかりと感じられる」

小川「でもさ、林道走ってるときに感じたんだけど、『自分が速い』っていうよりも『バイクが速い』っていう感じがあるんだよね」

小林「たしかに、ダートでの単純なパフォーマンスはNo.1だけど、その楽しさを満喫しようとなると、ライダーにウデが必要なのかな」

菅野「そうですかね? 小林さんも小川さんも、けっこう林道飛ばしてたからじゃないですか? 僕はマイペースでトコトコ攻めていた(笑)から、WRがもたらしてくれる余裕を感じっぱなしで走れましたよ。そして、それが楽しかった」;

本誌編集長 菅野真司

本誌でヤマハWR250Rの長期インプレッションを担当。無駄なアクセル操作をしたくないパーシャル派。ホンダXLR-BAJAを所有し、バイク便仕事で2万kmほど走った経験あり。(いちばん右)

プロライダー 小林直樹

おなじみプロインプレッションライダーにして、プロケモラー(ケモノ道ライダー)。愛車はホンダXR230。高速道路を使っての長距離林道ツーリングは今回がはじめて。( 右から2番目)

本誌編集部員 田島真一

本誌でエンデューロレーサーKTM250EXC-Fの長期インプレッションを担当。レースでの開けっぷりを林道にも持ち込むアクセル派。以前は90年代半ばのKLX250SR所有歴あり。( 左から2番目)

フリーライター 小川浩康

元ガルル編集部員。今回の企画に自身所有のホンダXR250を持ち込む。ハスラー50に始まるオフロードバイク歴は雑多ながら、4スト250トレールはXRがはじめて。( いちばん左)

小川「そういう人はXRがいい」

小林「あれ、そう? 僕はKLXが気に入ったなぁ。パワー感はXRより上だし、安定してるよね」

田島「僕もKLXが好きになりましたよ。サスペンションがよく動いてる感じがして」

菅野「でも、KLXはちょっとハンドリングが重く感じなかった?」

小林「いや、それが安定感になっててよかったの。何もしなくても、スーッとラクに走れる感じがしたよ」

田島「僕も重いという感じはしなかったですね。むしろ林道にはちょうどいいんじゃないかなって」田島「僕も重いという感じはしなかったですね。むしろ林道にはちょうどいいんじゃないかなって」

小林「WRよりシート高も低いしね」

菅野「シート高の低さといえばセローでしょ。マイペースな僕には街中でも林道でも、必要十分だった」

小林「たしかにFIになってからすごくフィーリングがよくなってるよね。サスペンションのピッチングがちょっと多い感じがあるんだけど、それを巧く使えば林道でもキビキビ走れて楽しい」

田島「そうか、小林さんくらいのウデがあると、そう感じるんですね。僕は単に、林道でペースを上げたときに、サスに限界を感じるなぁと思ってしまった」

小川「同感。でもセローのトルク感は気持ちよかったな。ただ、ポジションがこぢんまりしすぎてて、ちょっと窮屈だったけど」

 

水冷DOHC

水冷DOHC

空冷SOHC

空冷SOHC

実用域でのパワー感よりも、エンジンの回り方に違いが現れた。WRは全域でスムーズかつパワフル。KLXはスムーズながら頭打ちがやや早く、出力特性も穏やか。セローは少しがさつだが、低回転からパンチがあり、キビキビとした挙動を実現していた。XRはパワーに不満はないが、回すほどに振動が増えノイズも大きかった。どのエンジンも十分なパワーを発揮しているので、スムーズさや静粛性が、エンジン特性の差として感じられた。

 

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