掲載日:2010年11月22日 バイク用品インプレッション
誰もが手軽に乗れる便利な乗り物、ビッグスクーター。しかし、その足元を支えるタイヤは、さまざまな要求性能を満たしつつもかなり過酷な状況に晒されているということをご存知だろうか。多くのモデルが採用する小径ホイールはキビキビした走りと俊敏なハンドリングを実現するスクーターの武器だが、一般的サイズのホイールよりも回転数が高くなり、それに伴いタイヤも摩擦とストレスを受ける。さらに、構造上エンジンに近くサイドカバーなどに覆われているリアタイヤは熱が抜けにくく、よりシビアな環境に置かれていると言える。こうしたことを考えると、日々の通勤・通学などで酷使されるビッグスクーターこそタイヤ選びには慎重になりたいところだ。
さて、今回テストしたのはダンロップタイヤのビッグスクーター用定番タイヤ「SCOOTLINE XS01」である。2007年の発売から時間が経過しているものの、未だ同社のビッグスクーター用主力銘柄として販売されている。発売直後にリコール問題を抱えたことがあったようだが、今ではそれを乗り越えてビッグスクーターの「定番タイヤ」のひとつとして定着した感すらある。タイヤショップでは指名買いも多いというこのSCOOTLINE SX01だが、果たしてその実力はどれほどのものなのだろうか。
今回のテストでは2005年型のマジェスティCの前後ホイールにSCOOTLINE SX01をセット。この記事を書くまでに約600kmを走行した。まず、このタイヤに履き替えて感じたのが、転がり抵抗が非常に少ないということだ。アクセルを閉じて惰性走行することも多いビッグスクーターだが、こうした場合でもSCOOTLINE SX01はスピードの低下が少ないという印象。まだ結果は出ていないが、これは燃費にもかなり効いてくると予想している。乗り心地に関しては交換直後にリアがやや固いと感じることがあったが、慣らしが進むに連れてタイヤの構造体が柔軟になりそれも大きく改善された。ロードノイズが低く抑えられていることもあって、慣らし完了後は非常に快適なタイヤになったと感じられる。グリップ感とハンドリングは同社の大型バイク用タイヤと共通する部分がある。ダンロップタイヤらしくソフトで十分な厚さのトレッドがガッチリと路面を捉えているという感じで、ビッグスクーター特有のコーナーリングでリアがアウトに逃げるような感覚も少ない。フロントタイヤはそれに素直に追従しているという印象で妙なクセも感じられない。十分なグリップと素直なハンドリングを両立した優等生タイヤと言えるだろう。ライフに関してはまだ走行距離が短いのでなんとも言えないが、一般道から高速道路、ストップアンドゴーの繰り返しとなる市街地をかなりハードに600km走行した後でもまるで新品タイヤのような顔つきをしていることから、かなり良好な結果が期待できる。センターグルーブを持たないリアタイヤはやや雨に弱いという印象があるが、快適性とグリップ、そして経済性、これらトータルバランスの高さがこのタイヤ最大の魅力だと感じた。
車体の傾斜に素直に追従するフロント。トレッドパターンはご覧の通りで、センター付近をジグザグに走るグルーブが良好な排水性を発揮。
リアタイヤのトレッドパターンはスポーティでグリップ志向のように見えるが、耐摩耗性も悪くはなさそうだ。雨にはやや弱いという印象がある。
キビキビとしたストップ&ゴーが繰り返される街中でもグリップは十分。発進直後のUターンなどでも、安心して倒し込める安定感がある。
小径ホイールはタイヤのクセが出やすいものだが、SCOOTLINE SX01は至って素直。車体の傾斜にスムーズに追従する。
フロントタイヤはエッジまでグルーブがあり、雨天でも安心感は大きい。写真は600km走行後のトレッドだが段減りの兆候は見られない。
リアタイヤのトレッド面の厚さは十分に確保されている模様。それに伴いグルーブもかなり深く入れられている。経済性の高さは大きなポイントだ。
愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!