ホンダ モンキーBAJA(1991)

掲載日:2014年05月16日 絶版原付    

文/櫻井 伸樹

HONDA MONKEY BAJA(1991)

オフも楽勝!?
道を選ばない冒険モンキー

ホンダのモンキーと言えば、レジャーバイク界の代表的な存在。初期型のZ50Mが発売された1967年から現在に至るまで、長期にわたって老若男女に小さなバイクの楽しさを伝えてきた名車である。昨今では熊本のゆるキャラ「くまモン」とコラボした「くまモンキー」が発売され話題になった。

モンキーは現在もホンダのラインナップにあるため絶版原付ではないが、このくまモンキーのような製造台数限定の特別車両というパターンはこれまでもたくさんあり、タンクの大きなゴリラや全身キンキラのゴールドメッキ仕様、レーシーライクなモンキーRなどバリエーションは多岐に渡る。

紹介するこのモンキーBAJAもそんな派生モデルのひとつだ。「BAJA」とはバハと読み、これはメキシコの「バハカリフォルニア半島」で行なわれるオフロードレース「BAJA1000」からきている。

このレースは、バハカリフォルニア半島という広大なデザートを舞台に、誰が一番速く1000マイルを走れるかというスプリントラリーで、80年代後半から90年代に掛けて非常に盛り上がり、日本からも多くのライダーが挑戦した。

ホンダはそんなハードなラリーのイメージを当時の主力オフロードバイクだったXLR250Rを使ってカスタム。巨大なデュアルヘッドライトとガードを搭載した「XLR250BAJA」を発表し、ラリーに憧れた林道ライダー達を惹き付けた。

そして、そんなXLR250BAJAのハードなイメージを、パロディ的にモンキーに施してしまったのがこのモンキーBAJAなのである。

特徴的なのはなんといっても目玉のような二つのヘッドライト。これは実際のレースで装着する巨大なライトをイメージしたものだが、普通のモンキーは25W球1つのため、この15W×2のヘッドライトのほうが若干明るいことになる。ほかにも前後に長いシートとオフ車っぽいサイドカバー、リアフェンダー、フロントフォークのプロテクター、ワイドなハンドル、メーターバイザー、そしてブラッシュラインのカラーリングなど、パロディ的なバイクでありながらそのオフ車然とした作りこみはさすがホンダ。事実、林道や未舗装の場所ではノーマルのモンキーよりも圧倒的に乗りやすい仕様に仕上がっているのだ。

その可愛らしいスタイルは現在も人気で、中古市場でも20万前後をキープしているほど(2014年5月現在)。モンキーBAJAはホンダが本気で生み出した、遊び心あふれる絶版原付なのである。

MACHINE SPEC

型式 A-Z 50 J
全長×全幅×全高 1330×735×875mm
軸距 895mm
シート高 575mm
乾燥重量 55kg
総重量 59kg
エンジン型式・種類 Z50JE(空冷・4サイクル・OHC・単気筒)
総排気量 49cc
最高出力 3.1PS/7500rpm
最大トルク 0.32kgf-m/6000rpm
始動方式 キック
点火装置形式 CDI
変速機 常時噛合式4段リターン
燃料供給方式 キャブレター
燃料タンク容量 4L
クラッチ形式 湿式単板コイル・スプリング
Fタイヤサイズ 3.50-8 35J
Rタイヤサイズ 3.50-8 35J
Fブレーキ形式 ドラム
Rブレーキ形式 ドラム
F懸架方式 テレスコピック
R懸架方式 スイング・アーム
価格 18万9,000円(1991年)

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