メガスポーツの頂点、新型ハヤブサにベストマッチ。2本出しフルエキゾーストをアールズギアがリリース!

掲載日/2022年6月30日
取材協力/アールズギア
写真/木村圭吾 取材、文/淺倉恵介
構成/バイクブロス・マガジンズ
スズキが世界に誇るフラッグシップ的メガスポーツであるハヤブサは、昨年フルモデルチェンジを果たし、今まで以上に多くのライダーに支持されている。その新型ハヤブサ用フルエキゾーストマフラーがアールズギアから待望のリリース。アールズギアの協力を得て、さっそく『GT SPEC チタン フルエキゾースト ツインマフラー』をインプレッションしてみた。また、新たにラインナップに加わる予定のステップキットをはじめ、ハヤブサ用スペシャルパーツと、Rebel1100用とSV650用のアールズギア製マフラーも紹介する。

ハヤブサには”その先”があった
走りの質感を1クラス上に引き上げるマフラー

2021年、フルモデルチェンジを果たしたハヤブサ。従来型が世に出てから10年以上、モデルチェンジのサイクルとしては異例なほどの長期間だった。従来型ハヤブサが優れたマシンであったことが理由ではある。だが新型が登場するまでの間、スズキは無駄な時間を過ごしていたわけでは、勿論ない。長い時間をかけメガスポーツとしての本質を磨き上げ、さらに最新の電子制御で武装した新型ハヤブサ。ユーザーにとっては待ちに待ったマシンであり、絶賛を持って迎えられたわけだ。

新型ハヤブサの完成度は極めて高い。正直なところ、このバイクに手を加える必要があるのか? と、感じてしまうほどだ。だが、アールズギア代表の樋渡 治さんはノーマル状態の新型ハヤブサの素晴らしさを認めつつも、まだまだ“詰める”部分はあるという。その答えが、この度リリースされた新型ハヤブサ用フルエキゾースト『GT SPEC チタン フルエキゾースト ツインマフラー』だ。

果たしてマフラーを交換するだけでどれほど性能に変化が出るのだろう? アールズギア製のマフラーを体験したしたことのない人は、そういった疑問を抱くかもしれない。実を言うと、筆者はアールズギア製マフラー装着車と、ノーマルマフラー車の比較試乗を何度も行っている。そして、その度に驚かされてきた。この新型ハヤブサ用マフラーは、いったいどんな走りを味わわせてくれるのか? 今回も期待に胸を膨らませて走り出した。

マシンに跨り軽くスロットルを煽ると、それだけで違いを感じる。低く太い排気音は、迫力を増しつつも音量はしっかりと抑えられている。政府認証を取得しJMCA認定の車検対応マフラーなのだから、そのあたりは当然のことだ。違いを感じたのは、排気音のツブの揃い方。不正な爆発音や不快な振動は一切感じない。

当たり前に思われるかもしれないが、コレは凄いことなのだ。マフラーを交換すると、アフターファイヤーが発生したり、排気音が濁ることがある。その原因となるのが燃調セッティングの乱れだ。インジェクションはノーマルマフラーに合わせたセッティングが施されており、特性が異なる社外品のマフラーに交換すると厳密には燃調がズレる。だが、アールズギアのGT SPEC ツインは、あたかもノーマルのように吹け、排気音はどこまでも澄んでいる。燃調がバッチリ合っていることの証明だ。一体どう開発したら、こんな芸当が可能なのか?

新型ハヤブサ用 GT SPEC ツインは、新デザインの『2ポートエンドサイレンサー』を採用。サイレンサーシェルは、2タイプから選択可能。蠱惑的な焼け色が魅力の、写真の『チタンドラッグブルー』は39万6000円、ソリッドなチタンカラー輝きが嬉しい『チタンポリッシュ』は38万5000円。

サイドスタンドを払ってマシンを引き起こすと、車体が軽くなっていることを実感する。GT SPEC ツインはフルチタン製で、ノーマルに比べ約13kgもの軽量化を実現しているのだ。ハヤブサが重量車であることは変わらないが、この軽量化は大きい。取り回しも、かなり軽快に感じられる。新型ハヤブサに装備されているローRPMアシストの恩恵もあるが、トルクが太くなっていることも事実。車体だけでも250kg、乗り手を合わせれば300kgを超える巨体が、スロットルをほとんど開かずにスルスルと加速していくのはなんとも愉快だ。

薄肉チタンパイプを高精度な機械曲げ加工。ノーマルマフラーの重量が20kgであるのに対し、GT SPEC ツインは僅か7.2kg。約13kgの大幅な軽量化を実現。走る、曲がる、止まるの全てに好影響を与え、また取り回し性も向上させる。

市街地の走りは実にスムーズ。1300ccの巨大な排気量が生み出すパワーを忘れさせる従順さだ。適当なギヤを選びスロットルを操作するだけで、極太トルクに任せてのオートマ的走行が可能。ノーマルのハヤブサでも出来ないことではないが、GT SPEC ツインはスムーズさが違う。実はこの部分、アールズギアがこだわり抜いた部分だという。

パワーグラフを見ると、ノーマルマフラーには3000回転あたりに谷というか、パワー上昇が停滞する部分がある。これが、低回転時のギクシャク感の元となる。GT SPEC ツインはその谷を見事に埋め、綺麗なパワーカーブを実現しているので、恐ろしく乗りやすい。街乗りで多用する回転域だから、この差は大きい。

赤いグラフがGT SPEC ツイン、青いグラフがノーマルマフラーのパワーカーブ。GT SPEC ツインは、全域でノーマルマフラーを上回るパワー&トルクを発揮。その上、谷のないスムーズなパワー特性を実現していることが分かる。最高出力も5馬力以上アップしている。

さらに高速道路に入ると、ハヤブサの本領が発揮。スロットルを開きさえすれば、凄まじい勢いで加速する。と、ここで気付いた。体が置いていかれるような暴力的な加速ではある。けれど、少しも恐怖感を覚えない。その理由はスロットル操作に対して、パワーの立ち上がり方がピッタリとシンクロしているためだ。

スロットル操作と、パワーの立ち上がり方の相関関係は重要だ。ここにズレが生じると、ライダーは違和感と操り難さを感じるのだ。スロットルを開けてから、一呼吸置いて加速が始まるマシンは最悪だ。一時的にはエキサイティングな乗り味に感じられ、楽しさに繋がる要素ではあるのだが、数分も乗れば煩わしさばかりが目立つようになる。ワインディングを走ればすぐに分かる。気持ちよく、快適に、速く走るためには、乗り手が欲しい時に欲しいだけのパワーを、正確なレスポンスで引き出せる操作性が必要だ。

1-2番、3-4番に分かれて集合したエキゾーストパイプは、エンジン後端付近でバイパスパイプを介して集合。バイパスパイプの位置は、理想のパワーデリバリーを実現するため、入念な実走テストを繰り返して決定したもの。

そのパワーデリバリーの面でも、新型ハヤブサは相当な高水準にある。だが、GT SPEC ツインで走ると“まだ、これだけ詰められるのか”と驚かされる。この、正確で忠実なスロットルレスポンスこそ、GT SPEC ツイン最大の魅力だと感じる。パワーモードは、最も過激な特性のAモードのみ使用して走り続けたのだが、パワーに戸惑うことは一度もなかった。

新型ハヤブサの完成度は極めて高い。だが、その走りをもっと上質に、もっと扱いやすくすることは可能だ。アールズギアのGT SPEC ツインを試して、そう感じた。疲れず、速く、マシンを操る楽しさを存分に味わえる。GT SPEC ツインは、そんなマフラーなのだ。

新型ハヤブサ用パーツを続々とリリース
待望のステップキットもスタンバイ

アールズギアのマフラーは、性能の高さはもちろんのこと優れた質感も魅力。そこに一役買っているのが、美しい仕上がりのビレットパーツだ。マフラーでも、サイレンサーのホルダー部分などに用いられ、他にはない高級感を演出している。同社ではその高い切削技術を活かした、新型ハヤブサ用パーツを多数開発中。中でも注目はステップキットの存在だ。

アールズギアとしても、初ラインナップとなるステップキットだが、プロトタイプを見る限り相当ハイレベルな製品に仕上がりそうだ。まだ紹介できる段階に至っていないが、他にも魅力的なパーツが続々と登場予定とのこと。これは大いに期待したい。

本邦初公開、アールズギアが初めてリリースするステップキットのプロトタイプ。形状は、ほぼ確定しており、ステップバーの基準位置がノーマル比で10mmバック&アップ。そこから好みの位置に変更可能な、マルチポジションを採用する。実際の使用感だが非常に剛性感が高く、シフトフィーリングも素晴らしかった。

こちらも開発中のスタンドハイトブラケット。新型ハヤブサはサイドスタンドが短めで、停車時にマシンが深く寝てしまう。その角度を是正するパーツなのだが、ただサイドスタンドを延長するのではなく、底面を斜めにカットし路面との当たり面を最適化。引き起こしが軽く、停車時の安定性も向上する。

マスターシリンダーのリザーバータンク上部に装着することで、ドレスアップとアクシデント時の破損を防止する『マスターシリンダーガード』は7150円で販売中。アルミ削り出し製でアルマイト仕上げ、カラーはクリアシルバー、ダークブルー、クラシックゴールドの3色から選択できる。

メンテナンス時になくてはならないスタンドフックも開発中。一般的なフックとボルトを使ったパーツ構成ではなく、一体型の総削り出し製を採用しているところがアールズギアらしい。※写真は試作品の為、実際の製品と異なる場合があります。細部はホームページでご確認ください。

見逃せない人気モデル用マフラーを
豊富にラインナップ

アールズギアでは、カテゴリーを問わず様々なモデルに対応するマフラーをラインナップしている。ここでは、その最新モデルをダイジェストで紹介する。

大人気の新世代クルーザーRebel1100/DCT用『ワイバンクラシック スリップオンマフラー』は、低中回転域のトルク&パワーにフォーカス。息の長い加速が楽しめる、クルーザーらしさを強調した乗り味がポイント。シックな艶消しブラックの『ブラックエディション』は9万7900円。金属感がたまらない『ステンポリッシュ』は9万5700円。政府認証品、車検対応。

スズキのミドルレンジを担う、SV650 ABS/SV650 X ABS(’17〜)用の『リアルスペック スリップオンマフラー』は、全域でのパワーアップを実現。常用域となる低中回転域のトルクアップは凄まじく、刺激的かつ扱いやすい乗り味に仕上げられている。『チタンポリッシュ』は9万1300円。『チタンドラッグブルー』は9万6800円。政府認証品、車検対応。

アールズギアのマフラーサウンドを動画でチェック!

INFORMATION

住所/三重県亀山市のぼの62-9
電話/0595-85-8778

マフラーをはじめ、数多くのパフォーマンスパーツをラインナップ。その全てが高性能なのはもちろん、質感と品質に優れユーザーの所有感を満たしてくれる逸品揃い。代表を務める樋渡 治氏は、全日本GP500などで活躍したトップレーシングライダー。開発能力の高さは折り紙付きで、現在もアールズギア製品をプロデュースする。年間走行距離2万kmを超えるツーリングライダーで、自らが走り込んできた経験を製品に活かしている。本物を求める、成熟した大人のライダーが選ぶパーツ、それがアールズギアのプロダクトだ。
アールズ・ギア