掲載日:2014年05月16日 絶版原付
文/櫻井 伸樹
ホンダのモンキーと言えば、レジャーバイク界の代表的な存在。初期型のZ50Mが発売された1967年から現在に至るまで、長期にわたって老若男女に小さなバイクの楽しさを伝えてきた名車である。昨今では熊本のゆるキャラ「くまモン」とコラボした「くまモンキー」が発売され話題になった。
モンキーは現在もホンダのラインナップにあるため絶版原付ではないが、このくまモンキーのような製造台数限定の特別車両というパターンはこれまでもたくさんあり、タンクの大きなゴリラや全身キンキラのゴールドメッキ仕様、レーシーライクなモンキーRなどバリエーションは多岐に渡る。
紹介するこのモンキーBAJAもそんな派生モデルのひとつだ。「BAJA」とはバハと読み、これはメキシコの「バハカリフォルニア半島」で行なわれるオフロードレース「BAJA1000」からきている。
このレースは、バハカリフォルニア半島という広大なデザートを舞台に、誰が一番速く1000マイルを走れるかというスプリントラリーで、80年代後半から90年代に掛けて非常に盛り上がり、日本からも多くのライダーが挑戦した。
ホンダはそんなハードなラリーのイメージを当時の主力オフロードバイクだったXLR250Rを使ってカスタム。巨大なデュアルヘッドライトとガードを搭載した「XLR250BAJA」を発表し、ラリーに憧れた林道ライダー達を惹き付けた。
そして、そんなXLR250BAJAのハードなイメージを、パロディ的にモンキーに施してしまったのがこのモンキーBAJAなのである。
特徴的なのはなんといっても目玉のような二つのヘッドライト。これは実際のレースで装着する巨大なライトをイメージしたものだが、普通のモンキーは25W球1つのため、この15W×2のヘッドライトのほうが若干明るいことになる。ほかにも前後に長いシートとオフ車っぽいサイドカバー、リアフェンダー、フロントフォークのプロテクター、ワイドなハンドル、メーターバイザー、そしてブラッシュラインのカラーリングなど、パロディ的なバイクでありながらそのオフ車然とした作りこみはさすがホンダ。事実、林道や未舗装の場所ではノーマルのモンキーよりも圧倒的に乗りやすい仕様に仕上がっているのだ。
その可愛らしいスタイルは現在も人気で、中古市場でも20万前後をキープしているほど(2014年5月現在)。モンキーBAJAはホンダが本気で生み出した、遊び心あふれる絶版原付なのである。
型式 | A-Z 50 J |
全長×全幅×全高 | 1330×735×875mm |
軸距 | 895mm |
シート高 | 575mm |
乾燥重量 | 55kg |
総重量 | 59kg |
エンジン型式・種類 | Z50JE(空冷・4サイクル・OHC・単気筒) |
総排気量 | 49cc |
最高出力 | 3.1PS/7500rpm |
最大トルク | 0.32kgf-m/6000rpm |
始動方式 | キック |
点火装置形式 | CDI |
変速機 | 常時噛合式4段リターン |
燃料供給方式 | キャブレター |
燃料タンク容量 | 4L |
クラッチ形式 | 湿式単板コイル・スプリング |
Fタイヤサイズ | 3.50-8 35J |
Rタイヤサイズ | 3.50-8 35J |
Fブレーキ形式 | ドラム |
Rブレーキ形式 | ドラム |
F懸架方式 | テレスコピック |
R懸架方式 | スイング・アーム |
価格 | 18万9,000円(1991年) |
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