ホンダ DJ-1(1985)

掲載日:2014年01月29日 絶版原付    

文/櫻井 伸樹

HONDA DJ-1(1985)

近代的なスポーティルックスと
刺激的なコマーシャルが話題に

ホンダとヤマハの過激な原付販売争いとして有名な「HY戦争」が終結し、原付の販売が低迷し始めた1983年、ヤマハがその打開策としてJOGを販売。JOGはスポーティなルックスと走行性能が受け、1年で30万台を記録する大ヒットとなった。

JOGの対抗馬としてホンダが1985年に開発したのがこのDJ-1だ。JOGより2年後発だけあって、そのデザインは非常に洗練されたもの。ヘッドライトからフロントタイヤにかけて直線的に向かうフェイス部や、フロントからフットボード、後部ボディを同系色のカウルでまとめたボディ、ヘッドライトとウインカーの一体デザインなど、全体のイメージはその後の原付スクーターのお手本になったと言ってもいいほど近代的なものだった。

空冷2ストローク単気筒のエンジンもJOGの4.5PSよりパワフルな5.2PSを発揮。JOGより90mm長いホイールベースと太い設計のタイヤが高い安定性を生み出すなど、車体の機能もワンクラス上の仕上がりを見せた。

当時はスクーターのテレビCMが全盛の時代でもあり、当然このDJ-1のCMも作られたわけだが、これが時代を象徴するかのようなものだった。女性ポップシンガー「アニー」の歌う「DJ IN MY LIFE」に乗せて、DJ-1がカリフォルニアあたりの市街地を走るその合間に、マッチョな黒人DJがなぜかカラテの型やヌンチャクを振り回したり、鳩時計から顔を出して「DJ!DJ~!」と連呼する、なんともぶっ飛んだノリノリのCMだった。それは大人よりも子供にウケ、小学生が「DJ!DJ!」と叫びながら登校する姿も珍しくなかった。今にして思えば、ホンダはそういったCMで子供心にホンダスクーターの存在を自然と植え付け、やがて免許を取ったあかつきに、ホンダのスクーターを選択させるという、長期的な囲い込み作戦だったのではないだろうか。

ちなみにこのDJ-1が販売された1985年のホンダは、50ccクラスのスクーターだけ15機種もラインアップするという、まさにバブリーな時代だった。

MACHINE SPEC

型式 A-AF12
全長×全幅×全高 1,590×590×990mm
軸距 1,165mm
シート高 690mm
乾燥重量 52kg
総重量 56kg
エンジン型式・種類 AF05E・空冷2ストローク単気筒
総排気量 49cc
最高出力 5.2PS/6,500rpm
最大トルク 0.6kgf-m/6,000rpm
始動方式 セル・キック
点火装置形式 CDI
変速機 Vベルト自動無段変速
燃料供給方式 キャブレター
燃料タンク容量 3L
クラッチ形式 乾式自動遠心シュー
Fタイヤサイズ 3.00-8-2PR
Rタイヤサイズ 3.00-8-2PR
Fブレーキ形式 ドラム
Rブレーキ形式 ドラム
F懸架方式 ボトムリンク
R懸架方式 ユニットスイング
車体色 ホワイト、ブラック、レッド
価格 10万9,000円(1985年)

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