掲載日:2013年12月25日 絶版原付
文/櫻井 伸樹

1980年代前半の2ストロークモデルは、レーサーレプリカが台等する少し前の、混沌としたそれでも勢いのある時代で、各社がさまざまな気筒数、エンジン形式、デザインを試みた、ある意味バラエティに富んだ時代だった。
このMBX125Fもそんな元気な80年代前半に登場した2ストロードスポーツモデルである。 MBXシリーズは50、80、125と3機種がラインナップされたが、50と80は前モデルの「MB50」の後継として生まれたため、この125とは印象の異なるノンカウルデザイン。対してMBX125Fは、ホンダ初の2ストロードスポーツで3気筒がなにかと話題になった「MVX250」の流れをくむ戦闘的なルックスだった。
車体は軽量、高剛性のセミ・ダブルクレードルフレームに水冷2スト124cc単気筒を搭載。9000回転で22馬力という強烈なパワーをたたき出した。しかも125ccでありながら乾燥重量は100kgを切る96kg。レース経験から生まれたフロント16インチホイール、プロリンク式リアサスペンションなど当時では最新の足回りも装備していた。
またエンジンにはホンダ独自のATAC機構(自動調整トルク増幅排気機構)という可変バルブシステムも採用。低回転時にはバルブが開き、脈動圧力波をサブ・チャンバーへと導くことでトルクを太らせ、高回転時にはバルブが閉じて主排気系だけが機能するという仕組みだ。これにより、125という小排気量でも低中速域のトルクが扱いやすいものとなっていた。
軽くスリムな車体にパワフルなエンジンの組み合わせが実現する走りは、今の原付2種とは比べ物にならないほどパンチの効いた軽快でアグレッシブなもの。現代の市街地においても交通の流れを充分にリードできるスペックと言えるだろう。
維持費の安さで原付2種が見直されている昨今、こんな古き良きアグレッシブマシンと過ごしてみるのもいいかもしれない。
| 全長×全幅×全高 | 1,965×700×1,110mm |
| 軸距最/最低地上高 | 1,305/160mm |
| 車両重量 | 109kg |
| エンジン形式・種類 | 水冷2ストロークピストンリードバルブ単気筒 |
| 総排気量 | 124cc |
| 内径×行程 | 56.0×50.6mm |
| 圧縮比 | 7.5 |
| 最高出力 | 22ps/9,000rpm |
| 最大トルク | 1.8kgf-m/8,500rpm |
| 始動方式 | キック |
| 点火装置形式 | CDI |
| 潤滑方式 | 分離潤滑式 |
| 燃料タンク容量 | 13L |
| クラッチ形式 | 湿式多板 |
| 変速機 | 6段 |
| Fタイヤサイズ | 80/100-16 45P |
| Rタイヤサイズ | 90/90-18 51P |
| Fブレーキ形式 | 油圧式ディスク |
| Rブレーキ形式 | 機械式リーディングトレーリング |
| F懸架方式 | テレスコピック |
| R懸架方式 | プロリンク・スイングアーム |
| 価格 | 27万9,000円(1983年) |











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