掲載日:2013年12月24日 絶版原付
文/櫻井 伸樹
通勤、通学、ツーリング、カスタムなどバイクの用途はさまざまだが、1台でいろいろな要求を満たしてくれるバイクは少ない。そんな中、業務から趣味まで多くのニーズに応え、初代モデルから数えれば30年以上も庶民に愛されてきたオールマイティな小型二輪がホンダCB125Tである。
125ccとしては珍しい空冷4ストOHC2気筒エンジンを持ち、前後に18インチのホイールを採用したフルスケールのロードスポーツバイクで、そのルーツは1960年代に発売された「ベンリィCB125」。その後マイナーチェンジを繰り返し、1982年にフルモデルチェンジ。写真の「JC06型」となった。このモデルチェンジでは、エンジン特性の大幅見直しや、リアサスのプロリンク化、電装系を6ボルトから12ボルトに変更しセルモーターを搭載するなど、現代的で革新的な変更が加えられた。そしてその後はマイナーチェンジを受けながらも、基本スタイルはほぼ変えることなく、2003年の生産終了まで、20年というロングスパンで販売されたのである。
まだまだ2ストエンジンが元気だった当時、このクラスの4ストツインエンジンは非常に少なく、常用域での扱いやすさに定評があったため、ビジネスバイク的なイメージを持たれることもあった。しかしCB125Tはれっきとしたスポーツバイクで、2気筒ながらもレッドゾーンは1万2000回転という高回転域をも得意としていた。実際にそこまで回すとまるでマルチのような美しいサウンドを響かせ、フルサイズながらスリムでコンパクトな車体との相乗効果により、ワインディングなどでは見た目以上のスポーツ性を発揮。ライダーの力量によっては250クラスにも引けをとらない走りを披露した。
もちろん手軽で軽快な車体は非常に乗りやすく、老若男女に受け入れられたため教習所の小型二輪免許用の教習車としても広まった。すでに生産終了から10年が経過しているが、代替となる車両が少ないため、現在も教習車として使用している教習所も多い。
CB125Tは輝けるホンダの二輪車の歴史において、地味な存在ながらも間違いなく「名車」と呼べる1台だろう。
全長×全幅×全高 | 2,060×730×1,070mm |
軸距最/最低地上高 | 1,350/155mm |
車両重量 | 136kg |
エンジン形式・種類 | 空冷4ストロークOHC2気筒 |
総排気量 | 124cc |
内径×行程 | 44.0×41.0mm |
圧縮比 | 9.4 |
最高出力 | 16ps/10,500rpm |
最大トルク | 1.2kgf-m/9,000rpm |
始動方 | セルフ |
点火装置形式 | CDI |
潤滑方式 | 圧送飛沫併用式 |
燃料タンク容量 | 14L |
クラッチ形式 | 湿式多板 |
変速機 | 6段 |
Fタイヤサイズ | 3.00-18-4PR |
Rタイヤサイズ | 3.25-18-4PR |
Fブレーキ形式 | 油圧式ディスク |
Rブレーキ形式 | 機械式リーディングトレーリング |
F懸架方式 | テレスコピック |
R懸架方式 | プロリンク・スイングアーム |
価格 | 28万9,000円(1987年) |
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