ハンターカブのフロントフォークの不満を解消!サスペンションのカスタムでホンダCT125の走りはここまで変わる!!

掲載日:2022年11月22日 フォトTOPICS    

取材協力/RacingBros Japan
写真/磯部 孝夫・成田 恒一 テキスト/成田 恒一

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【この記事の目次】
■HONDA CT125 Anti Dive Systemをインストール
■試乗インプレ!「スッと沈み込んで、クルリと旋回」
■着座位置が決まる!トランプ製セミオーダーシート

フロントフォークインストールキット
「HONDA CT125 Anti Dive System」をインプレッション

ここ数年の原付二種人気モデルの筆頭にあげられるホンダのトレールモデル「CT125ハンターカブ」。2020年に登場したハンターカブは発売前から爆発的な人気となり、長期の納車待ちが続出。そして2022年12月には令和2年排出ガス規制をクリアした新型エンジンに換装されたニューモデルの発売が予定されているが、こちらの人気も非常に高く、半年以上とも言われる納車待ちになっている。

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そんな超がつくほどの人気モデル、ハンターカブを手に入れ、いわゆる "カスタム沼" にどっぷりとハマっているという話は、今年7月27日に公開した「走りが激変!ホンダCT125ハンターカブのリアサスペンション交換は果たして有効なのか?」でお伝えした通りであるが、今年3月末に念願の新車(2022年モデル)を手に入れて以来、4ヶ月弱で走行距離は4,000kmを超えたとその記事に記載させていただいた。この原稿を書いている11月21日現在では9,500kmを超え、もうすぐ10,000kmの大台に達しようとしている。

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2022年モデルのホンダCT125ハンターカブ。納車時にダンロップのトレールタイヤK350に履き替え、ヨシムラのGP-MAGNUMサイクロンマフラー、スポーツエアクリーナー、プラグ、シールチェーン、ブレーキレバー、シート、メーターやシールド、ガード類などなど、少しずつカスタムを施してきた。納車後約8ヶ月で走行距離は9,500kmを超え、11月末には10,000kmを突破する予定である。

ハンターカブのサスペンションはフロントがテレスコピックの正立フォーク、リアにはツインショックが装備されているが、前後ともに調整機能は有しておらず、日々サスペンションへの不満が募るようになってきた。普段の街乗りでは問題なく仕事をこなしてくれるのだが、高速域での走行や、ワインディングなどでのフロントの剛性感不足やリアの路面追従性の悪さが最大のウィークポイントだと思われる。そこでリアショックを台湾のサスペンションメーカー「RacingBros」のハンターカブ用ツインショック「Rear Shock SHICANE TWIN MonoR 【Japan Spec】」に交換したのだが、詳しいインプレッションは前出の記事をご覧いただきたい。

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レーシングブロス製ハンターカブ用ツインショック「Rear Shock SHICANE TWIN MonoR 【Japan Spec】」。プリロード、伸側減衰、車高調整機構を備えたアジャスタブルタイプで、日本専用のセッティングが施されている。全長360mm、+10mmの車高調整機構、22段階のリバウンドアジャスター、プリロードアジャスターは無段階のシングルナット方式を採用している。価格9万3,500円(税込)

リアサスペンションの動きが俄然良くなると、やはり気になってくるのはフロントフォークの挙動である。ワインディングをゆったりと流している分には大きな不満は感じないのだが(これが本来のハンターカブの使い方ではあるが……)、特にフルブレーキング時の初動がガツンとした唐突な沈み込みで、これによりマシンコントロールが不安定になり、さらにフォークの接地感も薄く、なんとも頼りない印象を拭えない。リアサスペンションの満足度が高いだけに、フロントフォークにも妥協はできない。リアショックを交換したときからこうなることはほぼ予測がついていたのだが、リアと同じレーシングブロスからリリースされているハンターカブ用の「HONDA CT125 Anti Dive System(アンチダイブシステム)」を組み込むことにした。

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このキットにはフォークスプリング、ダンピングバルブ、プリロードアジャスター、スペーサーやワッシャー類がセットされており、STDフォークにインストールすることでプリロード、圧側減衰(コンプレッション)の調整が可能になる。プリロードはインストール後もプリロードアジャスターにより調整可能であるが、コンプレッションはダンピングバルブでセッティング後、インナーチューブに組み込むことになるのでインストール後は外部から調整できない。もちろんフォークをバラせば再調整することができる。

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レーシングブロス製ハンターカブ用の「HONDA CT125 Anti Dive System(アンチダイブシステム)」。キット内容はフォークスプリング(スプリングレート6.5N/mm)、ダンピングバルブ、プリロードアジャスター、トップキャップ、スペーサーやワッシャー類となり、STDフォークにインストールすることでプリロード、圧側減衰の調整が可能になる。価格3万1,350円(税込)

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このキットの要である左右のダンピングバルブ。バルブスプリングの長さを調整することで圧側減衰のセッティングを行うことができる。フォークに組み付け後の再セッティングはフォークをバラす必要がある。

取り付けは日本総輸入元の「RacingBros Japan(レーシングブロスジャパン)」で行っていただいた。その運営はハーレーダビッドソンカスタムで名を馳せるカスタムショップ、「トランプ」(大阪市都島区中野町2-2-12)で、スポーツスターなどでの豊富なレース経験も有しているプロショップだ。レーシングブロスジャパンではハーレーの他にインディアンやBMW、国産4メーカーのサスペンションを豊富にラインナップしており、中でも今後はハンターカブやモンキー125などの原付二種モデルにも力を入れていくという。

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アンチダイブシステムのインストールはレーシングブロスジャパン代表の長岡さんにお願いした。豊富なレース経験に裏付けされた確かな技術とノウハウを持つメカニックでもある。

まずはフロントタイヤを取り外し、左右のフォークを抜き取る。ホンダのオフィシャルサイトにも記載がないので試しにインナーチューブ径を計測してみたらφ27mmであった。せっかくなのでインナーチューブの歪みも計測すると5〜6/100mmで問題なし。流用する純正パーツは徹底的に洗浄し、インナーチューブはオイルの食いつきをよくするために旋盤を用いてマイクロスクラッチを施していただいた。

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せっかくフォークをバラしたので、念のためインナーチューブの歪みを計測してみた。計測値は5〜6/100mmで基準内、インナーチューブ径はφ27mmだ。

オイルシール、ダストシールは新品に交換。フォークオイルは純正相当のものを使用し、油面もマニュアル指定通りに調整。スプリングレートは6.5N/mmで、組み込み後にストローク量を計測してみると100mmであった。

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オイルシールを打ち込み、マニュアル通りにダンピングバルブ、フォークスプリング、スペーサーやワッシャーを組み込み、純正指定相当のフォークオイルを注入する。

当然であるが、インストール後のSTDフォークとの見た目の違いはプリロードアジャスターが見えるトップキャップ以外にはなく、ルックス的な主張はほぼない。しかしハンドル越しにフォークを覗き込むと、レーシングブロスのロゴが配されたビレット製のトップキャップとプリロードアジャスターを確認することができる。このよく見ると、という控えめな主張がなんともカスタムゴゴロをくすぐるのだ。

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アンチダイブシステムをインストール後のフロントフォーク。もちろんその大きな違いは見受けられない。せっかくなのでレーシングブロスのステッカーをアウターチューブに貼ったので、違いはそれくらい。

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こちらは純正フォークのトップキャップ。どこにでもある六角ナットである。

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キットインストール後のトップキャップがこちら。一見しただけでは気づかないが、ハンドル越しに覗き込むと美しいビレット製のトップキャップとレーシングブロスのロゴ、そしてプリロードアジャスターを確認することができる。

スッと沈み込んで、
クルリと旋回

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ルックスについてはこれ以上ないというくらい控えめであるが、走りの違いは明確だ。ひと言で表現するなら「スッと沈み込んで、クルリと旋回」といったところか。リアショックを交換したときは、まさに「リアサスに乗る」という感覚で、リアからクルッと旋回するイメージであった。しかしフロントにこのアンチダイブシステムを組み込むことで、ブレーキングとシフトダウンによる減速時にフロントフォークがスムースに沈み込み奥で粘り、そのあとすぐにリアサスもその動きに追従し、ステップへの軽い入力と重心移動、そして目線により狙ったコーナーの出口に向けて車体が素直に旋回するようになった。これは楽しい。前後サスペンションの動きがうまく調和しているのだ。純正の前後サスペンションの動きから2ランクくらいアップしたイメージだ。もともとのサスペンションが "それなり" の性能だったと言えばそれまでだが、まるでスポーツモデルに乗り換えたような印象さえ受けた。

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路面のバンプもフロントフォークがよく吸収してくれ、しなやかによく動き、その収束も早い。非常に減衰が効いている印象で車体の安定性もぐんとアップした。市街地でのコーナリング、特にタイトな交差点を曲がるときにギャップに乗り上げても不安なく旋回を続けることができる。さらに驚いたのは高速域での安定性についてだ。前後ノーマルサスペンションのときは、路面の接地感が非常に薄く、さらにギャップを拾った際にはよく肝を冷やしたものだが、リアショック交換で一段安定感が増し、さらにフロントフォークのカスタムでもう一段安定感が増し、不安なくスロットルを開けられるようになった。これによりロングツーリングでの疲労もかなり軽減されるようになった。

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ワインディングでもその効果は歴然だ。リアショック交換で、コーナリングの安定感はかなりアップしたのだが、高速コーナーや連続するタイトなコーナーでは切り返しの際にフロントフォークがヨレるような感覚があり、剛性感不足を痛感していたのだが、かなり攻め込んでもフロントフォークの動きが破綻するようなことはなくなった。現在のプリロード調整はデフォルトの状態で一切締め込んでいないのだが、これならプリロードをかける必要は今のところなさそうだ。

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プリロード調整はトップキャップのプリロードアジャスターにより簡単にセッティングを変更することができる。工具は6角レンチ1本で調整可能。

タイヤはハンターカブのワイルドなイメージに拍車をかけるダンロップのトレールタイヤ、K350を前後に履いているのだが、さらにコーナリング性能を上げるためにはロードタイヤに交換するという選択肢もありのような気がしてきた。しかしハンターカブはあくまでもトレールバイクなので、やっぱりロードタイヤの選択は個人的には違うのではないか、と思うところもある。タイヤについては次のタイヤ交換時にでもまた考えよう。 

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前後サスペンションの交換で走りはかなり満足できるものになった。あくまでも原付二種のトレールバイクにおいて、という話ではあるが、足周りの挙動にストレスを感じることはなくなった。こうして自分好みに少しづつ仕上げていく過程こそがカスタムの醍醐味だ。なんとも心地よい "カスタム沼" である。さぁ次はどこに走りに行こうか?

着座位置が決まる!
トランプ製セミオーダーシート

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ハンターカブの純正シートに大きな不満を抱えているオーナーはきっと多いと思われる。かくゆう自分もそのひとりで、どうにも着座位置が決まらず、長時間走っているとお尻の痛みと、筋肉が凝ってくるような、なんとも言えない違和感を覚えていた。スタイル的にもシートはカスタムの要となる重要パーツなので、K-SPEEDの超薄型シート「CT-44シート CT125」に交換していた。このシートを選んだ理由は超薄型による足つき性向上というよりも、スタイルを最重視したわけだが、純正シートにも増して座り心地が悪く、さてどうしたものかと考えあぐねていた。

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純正シートからK-SPEEDの超薄型シート「CT-44シート CT125」に交換していたが、純正シート以上の座り心地の悪さに悩みを抱えていた。

そんな話をトランプでしていたら「じゃ、このシートをベースにゲルを埋め込みましょう! 表皮はどうします? 好きなデザインで製作しますよ」という感じでトントン拍子に話が進み、シートのカスタムを行うことにした。ベースと内部のスポンジはCT-44シートのものを流用。着座位置を15mmほどくり抜き、ゲルをインストール。ゲルの厚みはだいたい12〜15mmくらい。そのあとゲル部の段差をなくすために薄いウレタンで全体をカバーしスポンジ部は完成。表皮はダイヤモンドステッチをチョイスし、スポンジ形状に合わせて縫製した表皮を貼り付けてシートの完成となる。

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CT-44シートのスポンジ(着座位置のみ)を15mmほどくり抜き、厚さ12〜15mmのゲルをインストールし、ゲル部の段差を補正するために薄いウレタンでスポンジをカバー。ダイヤモンドステッチの表皮はスポンジ形状に合わせて縫製していただいた。

定番デザインのダイヤモンドステッチシートであるが、縫製ピッチやダイヤ柄の大きさなどにこだわり抜いたトランプならではの一級品のシートに仕上がった。そして問題のフィット感は、ベースが超薄型シートゆえ、決してソフトな座り心地というものではないが、ハードながらもゲルインストールにより着座位置が決まりライディングに安定感が増した。

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トランプの手によるこだわりのダイヤモンドステッチシート。超薄型シートのスタイルを損なうことなくスタイリッシュ、かつ高機能なシートに仕上がった。

長時間ライドにおいてもお尻が凝るということもない。宿命的なお尻の痛みについてであるが、加減速時には体重をステップにかけてシートに全体重を集中させることなく分散することでお尻の痛みを軽減できる。デザイン、そして機能面ともに申し分のないシートに仕上がった。超薄型シートのスタイルを損なうことなく満足できる機能性も有するセミオーダーシート。この満足感は非常に高い。

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トランプではハーレー用のカスタムシートを数多くラインナップしており、ハーレーのカスタムシートマーケットにおいて確固たる地位を確立している。もちろんハンターカブのシートに関しても今回紹介したようなカスタムを受け付けていただけるのでご参考に!

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