掲載日:2023年12月01日 フォトTOPICS
取材協力/ヤマハ発動機販売株式会社 写真・取材・文/小松 男 写真/伊井 覚
長い話にはしたくないのだが、ピンクナンバーの125ccバイクのこれまでの歩みから書き始めていきたいと思う。今から30年ほど前、私がバイクの免許を取得したばかりのころは、まだたくさんの50cc原付が日本中を走り回っていた。50cc原付の運転資格は普通自動車免許に付帯されていることもあり、それこそ老若男女に愛されていた。
一方で黄色ナンバーやピンクナンバーが付く原付二種区分の人気は低かった。現在の普通自動二輪免許にあたる中型バイク免許を取得すれば、まず250㏄以上のバイクに手を出すことが一般的だったのだ。
そのような中、私が生まれて初めて手に入れたバイクは、ヤマハ・TZR125だった。50cc原付よりも格段にパワフルで二人乗りも許容する、そのクセに高速道路を使うことのできない、その中途半端とも言える立ち位置から、周囲のバイク乗りとは群れずに、ただひたすらに峠道を走りまくる日々を送っていたことが青春の思い出だ。
それから大きく時代が変わったと思ったのは、2ストロークエンジンの製造が行われなくなった時期だ。4スト50cc原付は2ストエンジン時代と比べて非力に感じてしまったこと。さらにはその頃ヤマハ・パスをはじめ高性能な電動アシスト付き自転車が台頭してきたこと。街中でのバイク駐車問題などが出てきたこともあり、50cc原付の存在感が薄れて行ってしまった。その代わりに原付二種モデルが盛り上がりを見せることになったが、やはり免許を取得しなければならないというハードルが多少なりともあり、一時期数えきれないほど世に溢れかえった50cc原付のようにはなっていない。
ただそんな情勢が一変するかもしれないニュースが先だって警察庁から発表された。それは原付免許で乗れる車両の区分を現在の50cc以下だけでなく125cc以下の車両も対象に加える方針を打ち出したのだ。最高出力の抑制をはじめ、50cc原付と同様の仕様とするという縛りなどは設けられる予定であるが、それにしても原付バイクにまつわる周辺の事情は大きな変化が訪れることには違いない(開始時期は2025年を目途とし未定)。
ここでようやく今回開催されたヤマハ125ccスポーツバイクシリーズプレス試乗会の話に移っていくとしよう。試乗会に用意されたYZF-R125/R15、MT-125、XSR125は、今春全国各地で開催されたモーターサイクルショーのヤマハブースにおいて、注目の的となっていたバイクたちだ。どれもヤマハを代表するスポーツバイクシリーズの末弟に位置するモデルたちで、近寄って良く見てみれば分かるのだが、上位モデルに劣らない質感を持っていることもあり発売が待たれていた。
YZF-R125/R15は10月16日に、MT-125は11月10日に発売が開始されており、XSR125も12月8日に発売される。ヤマハ125ccスポーツバイクシリーズプレス試乗会はこれらのモデルを一気に試乗テストが行える機会となっていた。
私はまず試乗モデルとしてMT-125を選んでコースインをした。バーハンドルでアップライトなライディングポジションであり、前後に短い燃料タンク形状のために上体の自由度が高い。それによりスポーティかつクイックなハンドリングを楽しめるのが印象的。エンジンのパフォーマンスは必要にして十分。むしろ軽量な車体そのものが大きなメリットとなっており、ストリートで快走を楽しむことができるだろう。
その後、YZF-R125の試乗に移る。先述した通り人生初の所有バイクはTZR125だった。2スト、4ストと内燃機形式が違えども、ヤマハスピリッツという根っこの部分は直系である。セパレートハンドルや高い位置にセットされたステップによって、おのずとやる気スイッチをオンにするタイトな前傾姿勢を強いられるが、これがサーキット走行には適しており、意のままにラインをトレースすることができる。トラクションコントロール、アシスト&スリッパークラッチ、ABSを標準装備する上にYZF-R125にはクイックシフターのオプション設定まで用意されている。
はっきり言ってしまうと、原付2種区分とは言えども、排気量125ccのバイクにこれほどの装備が必要なのだろうかとも思えてしまうものだが、車両価格を見るとYZF-R125が47万円~、MT-125が45万円、XSR125が46万円(いずれも税別)と、50万円を切る設定となっている。
バイクだけに限らないが、何事も年々価格が高騰してきている今の世の中において、至れり尽くせりの装備が奢られたニューモデルが、この価格ならば手に入れたくなってしまうに違いない。
初めてのバイクとしてはもちろん、大型バイクユーザーのセカンドバイクとして、さらにはカスタムベースとしても楽しめるヤマハの125ccスポーツバイクシリーズはどれもお買い得で魅力的なモデル陣となっていた!