走りが激変!ホンダCT125ハンターカブのリアサスペンション交換は果たして有効なのか?

掲載日:2022年07月27日 フォトTOPICS    

取材協力/RacingBros Japan
写真/磯部 孝夫・成田 恒一 テキスト/成田 恒一

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日本専用に調律されたレーシングブロス製
ハンターカブ用ツインショックをインプレッション

2019年の東京モーターサイクルショーで発表されたホンダのコンセプトモデル「CT125」。1981年に発売された原付二種「CT110ハンターカブ」の後継モデルとして2020年に登場した「CT125ハンターカブ」は、発売前から瞬く間に超がつく人気モデルとなり、半年とも一年ともいわれる長期の納車待ちが続出。2022年現在、納車待ちの期間はいくぶん短くなったものの、その人気は変わらず、新車を手に入れるのは容易ではない。さらに中古車市場では新車を超えるプライスタグがつけられていることも多い。

近年の原付二種人気を支えるトレールモデル、ハンターカブの魅力は、その無骨なスタイルと道を選ばない高い走行性能にある。実をいうと、この原稿を書いている僕もその魅力に取り憑かれた一人で、今年3月末に念願の新車(2022年モデル)を手に入れた。納車以来走り回り、4ヶ月弱で走行距離は4,000kmを超え、近々1,000kmを超えるロングツーリングに出る予定もある。

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2022年モデルのホンダCT125ハンターカブ。納車時にダンロップのトレールタイヤK350に履き替え、4ヶ月弱で走行距離は4,000kmを突破。週末のツーリングに加え、平日のナイトランなどにも頻繁に出かけている。

カスタムもハンターカブの大きな魅力のひとつで、アフターパーツメーカーからさまざまなパーツがリリースされており、いわゆる「カスタム沼」にも完全にハマってしまっている。ヨシムラのGP-MAGNUMサイクロンマフラーを筆頭に、スポーツエアクリーナー、プラグ、シールチェーン、トレールタイヤ、ブレーキレバー、シート、メーターやシールド、ガード類などなど、ここ4ヶ月でこつこつとカスタムを施してきた。

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約4ヶ月かけてカスタムを重ね、ひとまずは完成形となったハンターカブ。まだまだやりたいことはあるのだが、今一番気になるのは走りの要である前後サスペンションのカスタム。

ハンターカブのサスペンションにはフロントがテレスコピックの正立フォーク、リアはスタンダードなツインショックが採用されているが、フロント・リアともに調整機能は有していない。乗りはじめた当初はサスペンションに大きな不満はなかったのだが(もう走るのが楽しくて楽しくて、サスペンションの細かな挙動などには目がいっていなかったともいえる)、距離を増すにつれ、とくに高速域での走行や、ワインディングなどでのフロントの剛性感不足に加え、リアの落ち着きのなさと路面追従性の悪さが気になるようになってきた。

そこでまずはリアショック交換をと考え、パーツ選びをはじめた。ハンターカブのリアショックには、某大手メーカーから日本やタイ製メーカーなどのアフターパーツが数多くラインナップされている。その気になる価格であるが、1万円未満のリーズナブルなものから10万円を超える高価なものまで非常に幅広い価格帯となっている。

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ハンターカブの純正リアショック。スタンダードなツインショックタイプで調整機能はなし。ピッチが異なるダブルレートのスプリングが採用されており、初動はソフトながら奥で踏ん張るプログレッシブ特性を有している、はずなのだが……。

そんな中いろいろと悩んだ結果、台湾のバイクパーツメーカーを牽引するサスペンションメーカー「RacingBros(レーシングブロス)」のハンターカブ用ツインショック「Rear Shock SHICANE TWIN MonoR 【Japan Spec】」を装着することに決めた。このMonoR(モノR)はプリロード、伸側減衰(リバウンド)、車高調整機構を備えたスタンダードなアジャスタブルタイプで、車体に溶け込むミニマルなデザインも好印象。日本総輸入元の「RacingBros Japan(レーシングブロスジャパン)」は、ハーレーダビッドソンカスタムで全国的に名を馳せるカスタムショップ、トランプ(大阪市都島区中野町2-2-12)が運営しており、同ショップはスポーツスターやダイナでの豊富なレース経験も有している。レーシングブロスではハーレーを中心にインディアンやBMW、ドゥカティ、国産4メーカーの専用サスペンションをラインナップしているのだか、ハンターカブやモンキーなどの原付二種モデルにも力を入れている。

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レーシングブロスのハンターカブ用ツインショック「Rear Shock SHICANE TWIN MonoR 【Japan Spec】」。プリロード、伸側減衰(リバウンド)、車高調整機構を備えたスタンダードなアジャスタブルタイプで、オールブラックのミニマルなデザインがスタイリッシュなツインショックだ。全長360mmで、+10mmの車高調整機構、リバウンドアジャスターは22段階、プリロードアジャスターは無段階のシングルナット方式が採用されている。価格9万3,500円(税込)

早速、レーシングブロスのモノRを入手し、ハンターカブに装着。取り付けは完全ボルトオンとなっている。スプリングを含め、カラーがブラックだということもあり、一見すると純正リアショックとの大きな違いは見られない。しかしよく見ると、美しいビレットボディなどにより明らかに質感が向上しており、オーナーの所有欲を満たしてくれる。この上品なルックスも個人的にはかなり気に入っている。

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モノRは大きく主張するデザイン&カラーではないが、確実に質感のアップが図られており、そのパフォーマンスはもちろんのこと、見た目のカスタム度も高い。 

高速域での安定性と
旋回性能が大幅アップ

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本題の乗り味であるが、走り出した瞬間からリアの路面追従性の良さにまずは驚いた。とてもシルキーな挙動で、まるで別のバイクに乗り換えたような感覚だ。しなやかによく動き、路面をしっかりとトレースしてくれ、刻一刻と変化する路面状況を的確に伝えてくれる。高速域でのリアの接地感も大幅に向上し、不安なくアクセルを開けていくことができる。特に高速域でギャップを拾ったときに「ヒヤッ」とすることが以前はよくあったのだが、リアショックを換えて以来、ギャップを的確にいなしてくれるようになり、長距離走行での疲労も軽減されるようになった。

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サスペンションのストロークは70mm、初期設定はリバウンド18クリック、スプリングプリロード15mmで乗りはじめた。今回のセッティングで車体を直立させたリアショック長を計測すると、STD 352mm / モノR 352mm、ライダー乗車時のリアショック長はSTD 337mm / モノR 335mmとなっている。(※ライダー身長180cm/体重66kg)

さらに驚いたのはコーナリング性能の向上についてだ。街中の交差点や低速のコーナリングにおいて、ストックのリアショックに大きな不満はなかったのだが、モノR に交換後はステップへの軽い入力で車両がスパッと向きを変え、気持ちよくコーナーをパスできるようになった。まさに「リアサスに乗る」という感覚で、リアからクルッと旋回するイメージだ。トレールタイヤに履き替えたハンターカブとはとても思えないシャープなコーナリングといえる。それから300kmほど走行してリアショックの慣らしを終わらせると、さらに動きがよくなった。

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そこでワインディングに持ち込みコーナリングテストを行った。低速コーナーでは不満なく街中と同じ感覚でコーナーをパスできるのだか、高速の連続コーナーやタイトなコーナリングではリアの接地感が落ち、さらにリアがヨレるような感覚もあったのでセッティングを変更することにした。専用工具でプリロードを2回転締め込み(約4mm詰める)再び走り出す。まだ少しソフトな感じが拭いきれなかったので、リバウンドを4クリック締め込み減衰を掛ける方向に調整すると、リアの動きが落ち着き、不安なく思い描いたラインをトレースできるようになった。

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リアが決まると、今度はフロントの挙動が気になりはじめた。低速コーナーでは過不足なく仕事をしてくれるのだが、フルブレーキング時の初動がガツンとした唐突な沈み込みで、フォークの剛性感、接地感もなく、非常にプアな印象が否めない。フロントに関しては今後の大きな課題となった。しかし考えてみればハンターカブは当然のことながらスポーツバイクなどではなく、あくまでも原付二種のトレールバイクなので、酷な要求といえば、それまでなのだが。

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リアショックの交換で、ここまで乗り味が変わるとは正直考えていなかった。実をいうと、普段はリアサスペンション機能を持たないリジッドフレームの古いハーレーダビッドソンに乗っているので、リアサスペンションという概念自体がなく、最初はリアが動くだけでも十分に幸せだとう考えだった。今さらいうまでもないが、リアサスペンションの重要性について身をもって思い知らされたというわけだ。さて問題のフロントサスペンション、どうするべきか……。

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