カブ生活

第十九回「かき氷で涼む」

掲載日:2013年08月29日 原付漫遊記松本よしえのゆるカブdays    

え・文・写真/松本よしえ

みなさま、残暑お見舞い申し上げます。今年の夏、東京は熱帯に相当するほどの暑さ。タイやシンガポールより気温が高いなんてニュースも聞こえますが、ご無事に走っていらっしゃいますか。わたしは先日、気温34℃を越える日中にカブで出かけたら、涼しげな緑の植栽が続く住宅地の一角で、柿の実が一斉に落果しているのに出くわしました。箒で掃き寄せているご婦人は、「今年のは実生りが悪いのよねぇ」とため息をついていました。あまりの暑さに柿の木が悲鳴をあげ、小さい実のまま落ちてしまったのだそうです。一方で同じ庭に植えられたゴーヤの蔓は勢いがあり、力強い緑の葉が繁り、大きな実がいくつも生っていました。このまま東京は真正の熱帯になっちゃうのでしょうかねぇ。

さて、激暑はまだまだ続きそうな様子。気軽に乗れるカブとはいえ、この時期を健やかに走るにはそれなりの対策が必要です。たとえばゆるカブ流に日常の備えを紹介すると、まずはサングラスや日焼け止めジェルは必須。水分補給用に冷たい飲み物を入れたマイボトルを携帯し、首には水につけるだけでヒンヤリする保冷剤入りのバンダナを巻いて、さらにUV効果のある長袖シャツを羽織ります。長く走るときはメッシュのジャケットなども機能的でオススメ。ここでひとつ、気をつけるポイントがありまして、シャツの袖は手首までしっかり隠れる長さのものを選びます。じつは意外と盲点なのですが、走行風を受けると袖口がずり上がり、手首だけ日焼けしてしまうのです。そのくらいじゃ熱中症にならないとはいえ、手首に日焼けの痕がくっきり残るのはカッコ悪い。とくに女性はご注意を。だってノースリーブや涼しげな夏のワンピが、手首の日焼けで台無しです。付け加えると、足首にも気を遣いましょうね。ちなみにわたしがカブに乗るとき、真夏でも足首までの長いパンツと靴を履いています。以前はもっとラフな格好のまま乗っていたこともありますが、肌を露出しないのは安全だし、日焼けしないと身体への負担も少なくてラクなのです。これはバイクに乗り続けた経験でわかったことです。

ところで、そんな風にバッチリと気をつけても、時々は休憩してクールダウンしたい。コンビニに寄ったりカフェでお茶するのもいいけれど、夏らしく氷屋なんていかがでしょう。写真の「氷 石ばし」は東京・三軒茶屋にあります。国道246号からほんの一筋入った住宅地の氷屋で1950年末から氷やドライアイスを商う傍ら、店内でかき氷を出しています。先代のご主人は古い水色のミゼットのかき氷屋さんとして駒沢公園に出没する有名な存在でしたが、残念ながら2008年に亡くなられ、現在は奥様が女将さんとして店を切り盛りしています。休日は行列することもありますが、わたしが訪ねた平日はお客さんもまばらで適度な混み具合。女将さんにお願いしてカブを店先に横付けさせていただいたら、昭和レトロな風情にカブがよく似合います。エアコンのない店先で団扇をつかい、冷たい氷でノドを潤す刹那、暑さを忘れる心地よさを味わいました。

「氷 石ばし」

東京都世田谷区三軒茶屋1-29-8
営業時間/11:30~18:00
定休日/日曜・祭日(2013年9月23日までは無休)

三軒茶屋の「氷 石ばし」。エアコンのない店先は風鈴の音が心地よく響いています。氷一杯の涼を求めて、お客さんが切れ間なくやってきます。

女将さんの石橋久美子さん。手元のかき氷は紅茶ミルク(650円)。わたしは初めて紅茶のカキ氷を食べました。女性の人気No.1ですって。

赤い縁のガラス器(手前)は大正時代のもの。かき氷の器は昭和を中心にしたガラス器です。なかには骨董市で手に入れた貴重な器もありますが、「飾って眺めるより、使ったほうがいいでしょう」と女将さん。

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