掲載日:2018年08月31日 試乗インプレ・レビュー
協力:ホンダモーターサイクルジャパン
試乗ライダー・レポート/青木タカオ 写真/徳永 茂 中野英幸 記事提供/ロードライダー編集部
※この記事は『ロードライダー vol.439号 』に掲載された内容を再編集したものです。
HONDA PCX HYBRID
量産2輪車用として世界初(ホンダ調べ)のハイブリッドシステムを採用した原付2種モデル「PCXハイブリッド」に、ついに試乗するチャンスを得た。感覚的には重量増もなく、発進や低速からのダッシュが圧倒的に力強い! 新時代の幕開けだ。
ゼロ発進からの加速性能には目を見張るものがある。まるで1クラス上、PCX150のようだ。原2カテゴリーを超えたスピードの乗っていき方だ。
注目の電動アシストはスロットルを開けた瞬間からおよそ4秒間(最大トルクを約3秒間継続し、その後1秒間で徐減させていく)で、市街地なら走り出しで効果を感じやすい。ただでさえ力強い125ccエンジンを1.9馬力相当のモーターで後押しするのだから、このダッシュの鋭さも納得がいく。
車体はPCX150と共通のものだ。ハイブリッドシステムの搭載によって、車両重量は130→135kgへと5kg増加した。劇的な燃費向上はなく、カタログにある定地燃費値はリッターあたり0.4km増しの55km/lで、僅かながら重量増を補っている程度。何より走りへの恩恵が大きい。
モーターのアシストは7,000回転以上でなくなるから、電動モーターの担当領域は発進および低中域での加速区間といえる。常用する4,000回転で約33%もトルク向上。つまり、ハイブリッドの恩恵はストップ&ゴーの多い街乗りで強く感じられ、ホンダがPCXのようなシティコミューターからまず導入したというのも頷ける。
従来からエンジン始動のためにあった、ACGモーターを改良して駆動アシストに用いたことで、ハイブリッド化によるモーターの追加がなかったことも素晴らしい。もともとあった鉛バッテリーは灯火類を担当させ、始動と駆動アシストの動力源として48Vリチウムイオンバッテリーを新たに搭載。単体重量は僅か2.6kgで、システムを統合するPDUの追加と合わせても、車体は5kg重くなっただけに過ぎない。
そのおかげか、ハンドリングは軽快で、身のこなしも従来のすばしっこさを継承。前後14インチの足まわりが車体を落ち着かせ、巡航も快適なものだ。
ちなみに四輪のハイブリッド車には、エンジンを止めたまま、蓄積した電気とモーター出力で走行可能なストロング式もあるが、このPCXハイブリッドでは絶えずエンジンが動くマイルドハイブリッドを採用していることも誤解を招かぬよう付け加えておく。
走行モードは3つ用意され、ハンドル左のスイッチで切り換え可能。適度なアシストで低燃費にも寄与する「Dモード」をはじめ、アシストがより強まる「Sモード」も選べる。いずれもアイドリングストップ機構が効き、3つ目の「アイドリングモード」ではDモードと同じ出力特性となる。
電動アシストはスムーズに介入し、普段から原2スクーターに乗り慣れていなければ気付かないレベル。それほどシームレスで違和感がない。メーターは専用で、チャージ/アシストレベルがバーグラフによって把握できる。「Sモード」ではバーグラフの勢いが増し、アシスト量が多いのが一目瞭然。もちろん走りそのものだって、より力強い。
車体を停めると、アイドリングストップが即座に作動するのもPCX150と違う点。従来3秒程度かかっていたエンジン停止が1秒もかからない。目覚めからの発進もより素速く、これまで以上にスムーズ。一切のタイムラグがなくなっていることも報告したい。強烈なダッシュが楽しい先進的な1台。価格も決して高くないぞ!!
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