掲載日:2023年01月25日 プロが造るカスタム
取材協力/PIT IN AUTO 取材・写真・文/ガスグラフィックス
クルマのカスタム文化への憧れを、まだ免許を取得できない若い年齢層のユーザーがビッグスクーターを使って、そのクルマ文化を模倣する。これもまた、ビッグスクーターカスタムの楽しみのひとつだった。その中でも圧倒的な人気を誇り、いつの日か定番スタイルとなっていったのが、ブラックとメッキの2色でトータルコーディネートしたラグジュアリースタイルだ。クルマの世界では、セダンのシャコタン文化=VIPから始まり、アメリカ的高級車指向と多種多様なホイールが登場したことで派生していったのがラグジュアリーだった。ビッグスクーターでは、フレーム加工を伴うハードなカスタムが不要でエアロやメッキパーツ装着で完成するスタイルだったため、ビッグスクーターの世界に足を踏み入れたばかりのユーザーが、このジャンルを足掛かりに、どっぷりハマりこんでいったものだ。
今回紹介したいラグジュアリーの見本となる車両は、ピットインオートが製作したグランドマジェスティだ。同店はカスタムショップではなくバイクの販売店でありながら、当時はビッグスクーターのオリジナルブランドを取り揃え精力的に活動していたのだが、この車両に装着しているエアロは、ピットインオートのオリジナル商品ではないのがポイント。ここに装着されているエアロは、クルマの世界で人気エアロを取り揃え、その後ビッグスクーターの世界に入ってきたJET’S製となる。このブランドとしては派手路線として産まれたドラッグボンバーシリーズだが、JET’Sならではのセンスで、派手さをラグジュアリーに昇華した貴重なデザインだった。ピットインオートはこのフルエアロを装着しながら、同店による質感高いメッキ加工を施したことで、高級感を強調。その結果、ご覧のような品格漂うスタイルを完成させたのだ。
今となってはこれらのエアロを入手することは困難を極めるが、品質の高い日本のブランドパーツであれば、ポン付けだけでも美しくまとまるラグジュアリー。このカッコよさが正しく継承されることを願う。