『カスタムの真面目な話』

アドバンテージ流カスタム(ハイカムの勧め) #02

掲載日:2014年07月16日 タメになるショートコラム集カスタムの真面目な話    

Text/Noboru NAKANISHI ( ADVANTAGE )

アドバンテージのハイカム製作は、日本の専業メーカーによるものです。技術が国内から海外にどんどん流失していくなか、これが最後のチャンスです。開発には時間も手間もかかりますが、そのようななかでも我々の目指すカムを製品化したいと思ったわけです。その方向性と狙いは、製品名にあるように『ステージ1.5』です。『ステージ1』でも『ステージ2』でもありません。ストリートからレースにも耐えうるハイカムを製品化しておきたかった、という事でスタートしました。

当然ながらバルブスプリングの密着長に最も注力しました。マックスリフトのどこで止めるのか、ということです。仮にカム山が他メーカーのハイカムより1mm高いとしても、バルブスプリングの密着長で言うマックスリフト迄にまだまだ余裕があるとすれば、カム山はもう少し高くても全く問題は無いと考えられるからです。当然ハイリフトになると弊害も起こってきますが、我々は「強化強化…」とバルブスプリングを固くすることは考えておりません。適度な硬さというものがありますから、強化するあまりカムに対する押し付けがきつくなり、回転抵抗を生み、大きなロスが発生しかねません。したがって回転抵抗やサージングなどを起こさない設定を見つけ出そうと、オリジナル化を進める事にしました。レーサーでも過去バルブスプリングのスプリングレートを落とし、回転抵抗を軽減したことがあるくらいです。

総削り(GPZ900Rはチル鋳物)で製作するので、設計の自由度も高いカムが作れます。イメージとしては、カム山の幅は回転方向に対して前面側を広げ、そうすることでバルブの開くタイミングを早めたり、回転方向に対して後方側を広げる事により、バルブの閉じるタイミングを遅らせることも可能になります。極端に言うと、卵形のカムシャフトを台形に変えるイメージです。インテークとエキゾーストの両方のバルブタイミング自体を変化させる事で、バルブのオーバーラップもより大きく変化させられるようになるわけです。しかしこれらの作業はそう簡単にできるものではありません。

素材にはクロモリ鋼を使用して焼き入れを行い、削り出していきます。設計の自由度は無限大で、場合によってはカム山の頂点の位相自体をずらし、更にはプロフィールの変化を狙うこともあります。基本的にパワーをより多く稼ぐ為には、バルブの開いている時間を長くし、より多くの混合気を吸い込み、効率よく排気できるようにすることです。しかしながらこれにはカム山をハイリフトにする作業とは違い、回転的に振動を呼び、異常磨耗を起こす事があるため慎重に観察しなければなりません。つづきは次回で。

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