ブレーキチューニングの勧め #04 コラム『カスタムの真面目な話』

『カスタムの真面目な話』

ブレーキチューニングの勧め #04

Column #331  掲載日:2013年11月20日

Text/Noboru NAKANISHI ( ADVANTAGE )

コラム『カスタムの真面目な話』 

今回は、ブレーキの機能や形状、容姿に付いて、アドバンテージ流の考えをお話させて頂きます。

 

アドバンテージでは、ダイレクトドライブというディスクを販売しております(ほぼレース用)。これはフローティングピンの構造を大きく変更した独自の考えによるものです。そもそもフローティングピンのネガティブな部分とは、ズバリ何でしょうか? それは球体になっているため、ディスクインナーにもアウターローターにも“点”でしか接触しない、ということです。この構造は消耗が激しく、ダメージを受けやすいという性質があります。

 

それがフローティングディスクだと言わんがばかりにガチャガチャと音を立てて走るオートバイもよく見られます。20年ほど前は、アルミのフローティングピンをカラフルにしたものが多く販売されておりました。しかし、やはりアルミでは痩せがひどいため、すぐにクリアランスが大きくなり、最悪の場合はフローティングピンが破損してしまう事も少なくなかったと思います。

 

我々がダイレクトドライブ自体を完成させたのは平成3年でした。もう20年以上前ですね。ダイレクトドライブに移行する前は、フローティングピンをオーバル形状にして改善を図った事もありましたが、格段に良くなるレベルではありませんでした。我々は小手先の「少しは良いね」では意味が無いと思っていたので、通過点としてのデータ取りにしかなりませんでした。

 

ダイレクトドライブの特徴は、アウターローターにフローティングピンに代わるT型形状の突起を設けた事にあります。ディスクインナーには“面”で当たり、クリアランスを確保したい時はラジアル方向に大きくクリアランスが取れる、理想の形状を考案したのです。またこの形状により、狙った温度にアウターローターをコントロールする事にも成功しました。ブレーキに関して温度はとても重要で、最も性能を発揮する温度を維持したくても、今までのローターではそのポイントを一瞬に過ぎてしまい、オーバーヒートしてその役目は果たせ難くなります。こういったいろいろな理由から、アドバンテージのダイレクトドライブディスクは完成しました。近々一般ユーザー向けに市販開始予定なので、どうぞお楽しみに。

 

また外見的な形状について、近年では一部のブレーキローターのメーカーが、外周に特徴的なデザインを持たせた製品を市販したことは皆さんもご存知かと思います。アドバンテージではそのような仕様は採用しません。なぜなら、熱的に安定しない、外周を多くカットしたことで熱の伝わり方が均等ではなくなるからです。また、ブレーキパーツに対しても、あまり良い影響があるとは思えないからです。

 

ブレーキって、本当に複雑なんですね。さらに深い話はまた次の回で。

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