ブレーキチューニングの勧め #03 コラム『カスタムの真面目な話』

『カスタムの真面目な話』

ブレーキチューニングの勧め #03

Column #329  掲載日:2013年11月13日

Text/Noboru NAKANISHI ( ADVANTAGE )

コラム『カスタムの真面目な話』 

今回はブレーキディスクの製造過程について、少しお話をしてみましょう。

 

ブレーキディスクの素材となるのは、現在ではステンレス合金です。ひと昔前は鋳鉄が使用されていた時代もありましたが、製品の耐久性や安全性においては絶対的にステンレスが有効です。しかも、ブレーキローターに使用されるステンレス素材は日本独自の物で、いくらモーターサイクルが海外で生産されようとも、ブレーキ用のステンレスは日本から海外に輸出されています。この素材は一般には流通しない、自動車メーカー用に専売されている特殊材なのです。いまのところ、海外調達でブレーキディスクを製造できるという話は聞いたことが無いくらい、日本のブレーキメーカー用ステンレス素材は素晴らしいんですね。代用なんかしようものなら、あっという間に反ったり貼り付いたり、ヒートスポットが異常に出たりと、ブレーキとして制御できません。そのため、一般の加工屋さんやチューニングショップで手配できる物でもありません。あくまで自動車メーカーが開発した特殊鋼なのです。

 

アドバンテージでは、古くから付き合いのあるブレーキメーカーから特殊材を分けて頂いております。アドバンテージがキット化している素材は、当然それ以上の性能を目指しており、日本国内においてその素材を使用しているのは、いま現在では当社のみだと思います。コスト的に高価で、非常に取り扱いが難しく、加工にはかなりのノウハウが必要なため、量産性に向いていないのです。単純に、扱いづらく製造に何工程も必要とされる素材は、一般的には世の中から消えて行ったわけです。しかしアドバンテージはそこを大切にしており、独自の加工方法と焼き入れ(熱処理技術)方法によって確立していきました。

 

主に扱っているブレーキの素材は大きく分けて2種類です。全て合わせると5種類となり、それぞれに特徴があります。それらをレースカテゴリーに合わせて、必要とされる長所を引き出して製品のキャラクターを決めます。ブレーキに求められるのは制動力ですが、最も重要なのは、レースのような過酷な使用条件下であっても、手に伝わる感覚が変わらないことだと思います。コーナー入口からのブレーキング、そして出口までのリリース、ブレーキはここまでが最も重要なポイントだと思います。

 

ブレーキは絶対的な制動力だ、という意見も理解できますが、“質の高いブレーキング”とでも言いましょうか、ブレーキにはあまりにも沢山のミッションがあり、絶対的制動力でしか語られていないのは、我々からすると残念な事なのです。

 

一般公道でもワインディングでも、サーキット走行でもレーシングでも、ブレーキを“点”で終わらせるのではなく、点を“線”に繋いでいくと、より安全で快適なライディングを可能にます。

 

得意なコーナーでのブレーキングで、どんどん点を線に繋げて行ってください。

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