『バイク乗りの勘所』

プリロードを抜いてみませんか(2)

掲載日:2012年11月12日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

去年の秋から続けて5回、全国各地の イベント にスタッフとして参加し、多くのライダーから足まわりのセッティングやメンテナンスに関する相談を受けた。誤解のないようにつけ加えておくと、このイベントに集まるお客さんは、サーキットを走るわけではなく、峠道でローリングするわけでもなく、かといって重装備で長距離ツーリングをするわけでもない。休日に郊外の道の駅で見かけるような、どこにでもいる日帰りツーリングを楽しんでいる人たちがほとんどである。

そんな彼らの “相談” の大半は、乗り心地が悪いのを何とかしたい…というものだ。マシンは、比較的新しい無改造のスーパースポーツ系か、リアショックを社外品に交換したネイキッド系か、やや古い軽量ロードスポーツ系。これらが三大勢力といったところ。その中で、やや古い軽量ロードスポーツ系の問題点は整備不良が原因と思われ、リアサスのリンクまわりのグリスアップやフロントフォークの整備(オイル交換、他)をちゃんとすれば解決しそうなのが多かった。

これに対し、残る2つは、どう見てもプリロードの高すぎが原因と思われる例(特にリアショック)がほとんどである。ここで言うプリロードとは、スプリングを何 mm 縮めてセットしているかという “長さ” のことではない。どれくらいの反発力を持たせているかという “力” のことである。サーキット走行や、2人乗り+荷物満載での高速走行など、高荷重を想定したマシン(またはショックユニット)では、当然、底突き回避や姿勢維持のため、プリロードは高めである。

そういった設定のリアショックのまま、1人乗車でのんびりツーリングをすれば、頻繁に伸びきりが生じ、そのつどリジッドになり、乗り心地が良いわけがない。おまけにコーナリング時の沈み込みが浅く、期待した旋回力が得られないことが多い。これらの問題を解決するには、タイヤの選択(温度依存性の低い物への交換など)や乗り方をも含めた試行錯誤が必要だが、まずはプリロードを減らして走ってみれば(例え好結果が得られなくても)糸口がつかめるはずである。

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