第6回 もしも…ホンダ PCX150に乗れたなら?【整備編】

掲載日:2014年10月29日 長期インプレホンダ PCX150    

文・写真/野岸“ねぎ”泰之  写真/野呂瀬 悦史  取材協力/本田技研工業株式会社モトショップストラーダ

ホンダ PCX150の画像

7月末から乗り出したPCX150との付き合いも、気づけば約3ヵ月が経過し、オドメーターはそろそろ2500kmを迎えようとしています。現在までのところ、トラブルといえるような不具合は全くありません。そんな元気いっぱいのPCX150ですが、やはりメンテナンスは大切ですよね。そこで今回は、オイル交換をしつつ、各部を簡単に点検してもらうことにしました。整備をお願いしたのは、東京都府中市にある『モトショップ ストラーダ』さん。こちらはホンダ&オフロードマシンに強いお店で、店主の渡辺健さんの整備の腕も確かなことからよく雑誌などにも登場するショップです。もちろん、スクーターの整備もお手のもの。早速、現時点でのPCX150に関する注意点を聞いてみました。

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日常走行でもっとも
大切なのは空気圧!?

「PCXは丈夫で良くできたバイクだから、これくらいの距離ではまだ整備らしい整備は必要ないんですよ。日常チェックでまず大切なのはタイヤの空気圧!!」と渡辺さん。これはPCXだけの問題ではなくバイク全般に共通する話ですが、タイヤの空気圧は燃費に大きな影響を及ぼすだけでなく、低いまま乗ると抵抗が大きくなって駆動系に負担がかかり、故障の原因になることもあるとか。

恥ずかしながら、テストで乗り出してから空気圧のチェックを怠っていました。計ってみると、前輪が規定値200kPaに対して120kPa、後輪は225kPaに対して140kPaしかありませんでした(汗)。なんでも、ゴムの分子の隙間から空気が抜けていく比率はタイヤの大小に関係なく一定なんだとか。だから、トラックなど巨大なタイヤに比べて小径タイヤほど影響が出やすいとのこと。「PCXにはアイドリングストップが装備されていますが、せっかく燃費を稼いでも空気圧が低いとそれだけで帳消しになるんです。最低でも月に一度はチェックしてくださいね」と渡辺さん。毎日のように乗ってるとつい忘れがちな空気圧、実はとっても大切なんですね。

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オイル交換はマシンの
定期健診のようなもの

続いて取り掛かったのが、オイル交換です。PCX150のオイル交換はとても簡単で、マフラーとエキゾーストパイプのつなぎ目付近脇にあるドレンボルトを緩めると、オイルがドボドボと出てきます。古いオイルが抜けきったらドレンボルトを締めて、反対側にある注入口からオイルを入れるだけ。その際、規定量の800ccだと多い場合があるので、一度に全部入れず、注入口のキャップについているレベルゲージで液量をチェックしながら入れると間違いがありません。

「けっこう黒いですねぇ……」と古いオイルを見ながら渡辺さん。ちなみにPCXのメーター内には距離によってオイルチェンジのタイミングを知らせる機能がつていいて、初回は1000km、以後3000kmごとに表示が点灯する仕組み。このマシンは借り受ける前、約500kmの時点でホンダ本社で一度オイル交換を行っています。その際にオイルチェンジ表示のリセットをしていないので、ほぼ2000kmでの交換、ということになります。猛暑の夏、都市部を走り回った結果、かなりオイルもくたびれていたようです。

「オイル交換はメーカーの推奨通り、3000kmごとに行うのが、トラブルを未然に防ぐ意味でも理想ですね」と渡辺さん。その際、エアフィルターの交換や、オイルフィルター(PCXは紙のフィルターの代わりにストレーナーという金属パーツとなっています)の清掃をしてもらうなど、定期健診だと思って各部を見てもらうのがお勧めだといいます。もしも「あれ、この前いつ換えたかな?」と忘れちゃったら、その時点で交換してください、とのこと。

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始動時の暖気運転が
エンジンの寿命を延ばす!?

このほかにPCX150をいい状態で長く乗り続けるのに注意する点はありますか、と尋ねたところ、渡辺さんはこんなアドバイスをくれました。「走り出す前に、必ず暖気運転をしてほしいんです。理想を言えば、夏場5分、冬なら10分ほど」。なんと、意外に長時間なんですね。ここまで長くなくてもいいから、少しでも暖気運転をする方がいい、と渡辺さん。

「通勤通学に使う、特にスクーターって、エンジンをかけてすぐにアクセル全開、なんて走りをされがちですが、オイルも行き渡ってないし、やはりエンジンには良くないんです。1日にすればわずか数分のことですが、それが1年2年と積み重なると、エンジンの持ちが違ってきますよ」とのこと。スクーターはサイドスタンドのままではアイドリングできない構造になっているため、暖気運転をサボる人が多いといいます。ちょっと面倒ですが、センタースタンドをかけて、走り出す前にアイドリング状態で少し置いておくのが、マシンを長持ちさせ、大きなトラブルを未然に防ぐ秘訣だということです。

「いくらPCXが優秀なスクーターだからって、この世にメンテナンスフリーの乗り物なんてありませんからね」と渡辺さん。確かにそうですね。ほんの少しマシンを気づかってあげるだけで、より長く、調子よく乗り続けられるんだな、とあらためて教えてもらった気がします。さて、次回はいよいよ最終回、3ヵ月間に渡って乗って気づいた点のまとめをお送りします。

ホンダ PCX150のチェックポイント!

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PCXの場合、規定の空気圧を表示するラベルはシート下のトランクスペースに張ってあります。

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距離計の上に出ているのがオイル交換を促す表示。初回1000km、以後3000kmごとに表示されます。交換後はリセットを忘れずに。

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新しいオイルを規定の8割ほど入れたら、あとはレベルゲージで確認しながら液量を調整します。

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エアフィルターはほとんど汚れていなかったため今回は交換しませんでしたが、点検、交換はワンタッチです。

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モトショップストラーダは、オフロードを中心にホンダのマシンならおまかせ、という信頼できるショップ。
東京都府中市新町2-11-36 TEL/042-336-7778 営業時間/10:00~19:00 定休/月曜日
http://www.ms-strada.com/

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