掲載日:2024年04月26日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
ヤマハRZ250によって250㏄スポーツバイク界は新時代へ。ホンダの4ストのVT250が投入されHYバトルが始まった。そこへ満を持してスズキが参戦。センセーショナル過ぎるバイク、RG250Γを投下した。
衝撃的だったのはその外観。スズキワークスカラー(白×青)に塗られたフルカウル(アンダーカウルはオプションだが)を装着、その過激なスタイリングはワークスマシンそのものだった。さらに市販車初のアルミフレーム(角パイプ、AL- BOXフレーム)を採用、加えてアンチノーズダイブ機構の付いたフロントフォーク、ミシュランの純正タイヤなど、ファンは別次元の内容に度肝を抜かれた。
コックピットを見ると、カウルにマウントされた3連メーターが目に飛び込んでくる。左にスピードメーター、右に水温計、中央にタコメーターと、これぞレーサーという感じ。さらに驚くのがタコメーターの3000rpm以下の表示がないこと。「トロトロ走るヤツはこのバイクに跨るな!」と言わんばかり。これは本物だ!と若者は震えあがった。
水冷2スト並列2気筒エンジンはクラス上限の45psを発揮。乾燥重量131kgと超軽量で、パワーウェイトレシオは同クラスで群を抜いていた。さらにフルフローターサスペンション、アルミ角スイングアーム、サイレンサー別体のチャンバーのマフラーなど、これまでの市販車が霞む究極の内容だった。まさに「市街地を走るレーサー」。
価格はヤマハRZ250より10万円近く高かったが、バカ売れ。絶大なる支持を得た。250ccスポーツバイクの歴史を変える1台となった。