掲載日:2024年02月09日 レトロバイク・グラフティ
イラスト・文/藤原かんいち
70年代の後半、スピードを競うロードバイクとは違う、雄大な大地をゆったりクルージングするスタイルのバイク、「アメリカン」が日本で注目を集めるようになった。80年代に入ると日本のメーカーが続々とアメリカンバイクをリリース。
いま見ると本場のアメリカンとは程遠い、いわゆる「なんちゃってアメリカン」なのだが、ツーリング志向のライダーを中心にその地位を徐々に確立して行った。
ヤマハでは「SPECIAL/スペシャル」という名前でアメリカンモデルを展開。78年にXS650&XS750スペシャル、80年に原付のRX50スペシャル、XS400スペシャルが登場。同年に生まれたのが今回紹介するXS250スペシャルだ。エンジンやフレームなど大部分はベースのロードモデルGX250を流用。アメリカンの象徴である手前にグリップを引き寄せたプルバックハンドル、前後で段差のあるキング&クイーンシート、タイヤサイズを変更することなどでアメリカンにアレンジ。
翌年にはエンジンやマフラー、フェンダーなどをブラック塗装、エンブレムやホイールがゴールドメッキとされたミッドナイト仕様車が限定販売された。1982年にはフルモデルチェンジ、デザインも一新(今回のイラスト)された。エンジンはDOHCにグレードアップ。前輪タイヤサイズの大型化(18→19インチ)によってハンドルが高い位置になり、前シートが沈み込んだデザインにしたことで、よりアメリカンらしくなった。ヤマハの250㏄アメリカンはXS250スペシャルがラストモデル。その後のエンジンはⅤ型となり、XV250ビラーゴへ引き継がれて行った。