【カワサキ ニンジャ ZX-4R SE 試乗記】サーキットでも使いきれない77馬力、10,000回転以上で昂る4気筒エンジン

掲載日:2023年07月28日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/伊井 覚

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KAWASAKI Ninja ZX-4R SE

カワサキが4気筒250ccのNinja ZX-25Rに続き、4気筒400ccエンジンを搭載したNinja ZX-4RR/Ninja ZX-4R SEを発表した。

時代に逆行する4気筒400cc
唯一無二のニューモデル

RVFやZXR400、RG400Γ、FZR400など、80〜90年代のサーキットは4気筒400ccのバイクが席巻していた。現代で主流の単気筒、2気筒エンジンに比べ、気筒数を増やすことでシリンダー1つあたりの容量を小さくすることができ、より高回転まで回るエンジンを作ることができる。しかしコストや規制の問題から時代の流れとともに4気筒400ccマシンは減少していき、国産車では最後に残ったホンダCB400SFも生産終了が発表されていた。そんな時代に新登場した並列4気筒400ccのスポーツモデルが、カワサキNinja ZX-4RR/Ninja ZX-4R SEだ。

カワサキ ニンジャ ZX-4R SE 特徴

2008年から続くライトスポーツ
「Ninja」シリーズのストーリー

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2008年にカワサキが発売した2気筒250ccのライトスポーツモデル・Ninja250Rが空前の大ヒットを記録し、そこから各メーカーが250ccライトスポーツに参入。カワサキは2015年に軽量な単気筒エンジンを搭載したNinja250SLを発表したものの、こちらは翌年には生産終了を迎えた。そして2020年、4気筒のNinja ZX-25Rを発表し、業界を震撼させた。

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Ninja ZX-25Rが発表された当時から400ccのNinja ZX-4Rの登場は期待されていたが、実はカワサキは250ccと並行して400ccエンジンの開発を進めており、先行して発売したNinja ZX-25Rの反響が良かったことから400ccエンジンの市販化を決定したとのこと。そうして2023年、満を持してNinja ZX-4RR KRT EDITIONと、Ninja ZX-4R SEの2モデルが発表されたのだった。

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2モデルはエンジン、フレームなど基本設計は共通としており、Ninja ZX-4RRはリアショックにSHOWA製BFRC-liteリアショックアブソーバーを装備し、伸び側/縮み側の減衰力、およびプリロードの調整をすることで、街乗りからサーキットまでシチュエーションに応じたセッティングを可能にした。対してNinja ZX-4R SEはスモークウインドシールド、USB電源ソケット、フレームスライダーを標準装備している。

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カワサキ ニンジャ ZX-4R SE 試乗インプレッション

10,000回転以上がシビれる
パワーとサウンドが高揚感を誘う

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今回はサーキットを使っての試乗ということもあって制限速度に縛られることなく、思う存分に高回転域を堪能することができた。最高出力が400ccクラスとしては例を見ない77馬力(ラムエア加圧時80馬力)とのことで、とにかく加速が良い。約400mある袖ヶ浦フォレストレースウェイのホームストレートを2速で立ち上がり、3速で引っ張り、4速まで入れて速度は約140km/hに達した。最初は2気筒エンジンと同じ感覚でシフトアップしていたら、9,000回転くらいまでしか使わず1周が終わってしまい、2周目からは意図的に1つ低いギヤで引っ張って乗ってみると、10,000回転以上でエンジン音が化けた。

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さらに12,000回転付近でパワーバンドに入るような感覚があり、スピードも音も最高潮に達する。そこからコーナーに向けてシフトダウンするわけだが、アップ・ダウンともにクイックシフターが装備されていてクラッチレスでシフトダウンが可能だし、スリッパークラッチがエンジンブレーキで発生するバックトルクを低減させてくれるため安心感もある。

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試しにギヤを落とさずにコーナーに進入し、そのまま軽く半クラッチを当てて立ち上がってみたところ、低速の粘りもしっかり確保されており、都心部の交差点の低速走行や坂道発進などでも余裕がありそうに感じた。さらに今回のサーキット試乗では主にSPORTモードを使用したが、他にもROAD、RAIN、RIDERの4つからライディングモードを選択することができ、出力特性やトラクションコントロールの効き具合を変更することができる。

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車体設計は基本的にNinja ZX-25Rと同じということだが、そもそもNinja ZX-25Rの時点で少しオーバースペック気味と言えるほどの剛性を持ち合わせており、400ccのエンジンにもしっかりと適応している。そのため、サイズ感としては250cc相当となっており、足つきもすこぶる良い。また、フロントブレーキはNinja ZX-25Rが310mmのシングルディスクなのに対し、Ninja ZX-4R SEは290mmのデュアルディスクになっている。それでいて実にコントローラブルでブレーキの微調整もしやすかった。

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2気筒エンジンを搭載したフルカウルモデルNinja400との棲み分けとしてはツーリング派はNinja400、スポーツ派はNinja ZX-4R SEと考えれば良いだろう。4気筒に特別な思い入れのない人でも、初心者からベテランまで、街乗りからサーキット走行まで、スポーツタイプのバイクが好きな全てのライダーにオススメの一台と言える。

カワサキ ニンジャ ZX-4R SE 詳細写真

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兄貴分となるNinja ZX-10Rと同系列のフロントマスクデザイン。ZXシリーズのトレードマークとも言えるラムエアの吸気口が設けられており、加圧された空気をエンジンに取り込むことで全回転域での出力向上に繋がっている。Ninja ZX-4R SEはスモークウインドシールドを標準装備。

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セパレートハンドルではあるがNinja ZX-10Rよりもリラックスして乗ることもでき、余裕のあるライディングポジションが可能。ブレーキ&クラッチレバーは5段階に角度調整が可能なアジャスタブルタイプ。メーター左側には「RAM AIR SYSTEM」の文字が刻印されている。

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メーターは白背景と黒背景を選択でき、さらに速度表示が大きいタイプと、サーキット走行用にラップタイムが表示できるタイプも切り替えが可能。回転数のレッドゾーンが16,000回転から上になっている点も注目だ。

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新開発の水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒399ccエンジン。最高出力は57kW(77PS)/14,500rpm、ラムエア加圧時には59kW(80PS)/14,500rpmに達する。また、最大トルクは39N・m/13,000rpmとなっている。

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フロントタイヤサイズは120/70ZR17M/C 58W。ブレーキに290mm×2のデュアルディスクブレーキを装備している。フレームスライダーは標準装備だ。

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リアタイヤは160/60ZR17M/C 69Wのワイドサイズ。ブレーキは220mmのシングルディスク。極限まで軽量化された星型5本スポークホイールは高い剛性を確保。

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燃料タンク容量は安心の15L。跨ると自然とニーグリップを助けてくれて、前傾姿勢の邪魔にもならないよう配慮されている。

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セパレートタイプのシートはスポーツ走行時の操作性とツーリング時の快適性を両立。オプションで、よりレーシーな見た目になるシングルシートカバーもラインナップされている。

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純正でバックステップ化されており、スポーツ走行に適したライディングポジションが可能に。アルミ製のダイレクトな操作感がスポーツライディングを助ける。

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甲高く力強いエキゾーストノートを生み出すサイレンサーは現行のZX-25Rよりロングで、インドネシア仕様の新型ZX-25Rに近い見た目に仕上がっている。

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フロントサスペンションにはSHOWA製φ37mmアジャスタブルSFF-BPを採用。ライダーの好みに応じてプリロード調整が可能になっている。

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リアショックはNinja ZX-10Rにも見られるホリゾンタル バックリンク リアサスペンション方式を採用。水平に近い角度でリアサスを配置することで、コーナリング時にフレームの適切なしなりを生み、よりプログレッシブな特性を実現する。

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フレームとタンクの合間には滑り止め加工が施されている。加減速時のニーグリップを補助してくれるのはもちろん、デザインとしてもワンポイントになっている。

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