ロイヤルエンフィールド ブリット500EFI
ロイヤルエンフィールド ブリット500EFI

ロイヤルエンフィールド ブリット500EFI – 頑に守り続けたブリティッシュスタイル

掲載日:2011年07月07日 試乗インプレ・レビュー    

ロイヤルエンフィールド ブリット500EFIの試乗インプレッション

ロイヤルエンフィールド ブリット500EFIの画像

ビッグシングルならではの鼓動感溢れる走り
意外なまでに完成度の高いシャシー

ビッグシングルと言えば、まず思い浮かぶのがエンジン始動の儀式。延々とキックペダルを蹴り続けたり、ケッチンで痛い思いをしたり…と、辛い経験を持つ人も多いはず。だが、ブリット500EFI に限っては、難しく考える必要はない。エンジンの始動性はすこぶる良く、冷えきった状態からでもセル一発で容易に目を覚ます。セルモーターやインジェクションのパーツは日本製を使用しているとのことだから、信頼性の面でも安心だ。「キックスタートこそシングル乗りの嗜み」と考えているライダーには物足りないかもしれないが、使い勝手を考えれば大いに歓迎できる。

それでも「どうしてもキックで…」という方のためにキックスタートも試してみたが、これがまたあっけないほど簡単。上死点を探る必要さえなく、ただキックペダルを踏み下ろしただけでエンジンがかかってしまった。しかも、すこぶる軽い。これならビギナーや小柄なライダーでもキック始動が可能だろう。想像してみよう、キック一発でエンジン始動、シングル独特の野太い排気音を響かせながら、何事もないような顔でパーキングから走り去る…。そんなカッコいいこともできてしまうのだ。

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走り出してまず感じるのが「これだっ!」と言いたくなるような鼓動感。エンジン内で起きている爆発の一発一発を感じ取れるかのようだ。乗り手がビッグシングルに期待するものがそこにある。実に愉快、実に心地よい。口もとが自然と緩んでくる。エンジンノイズはかなり賑やかだが、それも楽しく感じられる。トルク特性に関しては、強い押し出し感は希薄だが実に粘り強く回るのが特徴的。トップギアでアイドリング付近の回転数まで落とすと、速度は 40km/h ほどになるのだが、そこからスロットルを開けていってもエンジンは息つくことなく吹け上がっていく。この粘るトルク特性に併せ、ハンドル切れ角が大きいこともあり、Uターンが実にしやすいこともお報せしておくべきだろう。

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だが良いことばかりでもない。エンジン最大の魅力とも言える鼓動感と引き換えに、やはり振動は大きい。高速道路で気持ちよく走れるのは 80~90km/h といった速度域。100km/h 以上での巡航も性能的には不可能ではないが、正直なところ振動が辛い。上体が直立したポジションのため、ライダーの体重は全面的にシートが受け持つこととなり、サスペンションも高性能とは言えないため、ギャップ通過によるショックがダイレクトに乗り手に伝わることもあり、個人的には高速走行が快適とは感じられなかった。

意外に感じられたのが、車体の完成度の高さだ。高速域の直進安定性も、動力性能に対し充分なレベルで確保されているし、コーナリングは軽快とは言えないものの、ヘンなクセもなく若干アンダーステア気味のごく一般的なもの。適度な手応えのあるハンドリングで、誰もが馴染みやすいキャラクター。ブレーキも必要充分な制動力は備えている。フレームの基本的な部分が、50年以上の間変わっていないことを考えると、基本設計の優秀さに驚かされる。

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なにより評価すべきは、このブリット 500EFI は気負わずに “普通に乗れてしまう” ことだ。趣味のモーターサイクルとしてはもちろん、日常のアシに使うことも可能。それこそビギナーにも薦められる親しみやすさを備えている。名目上、現代に生産される最新モデルではあるが、50年以上前に設計されたバイクである。時代に合わせたアップデートは行われているし、エンジンもリニューアルされている。だが、それを差し引いても、設計当時のエンジニア達の手腕に拍手を送りたい。また、ブリットを大事に育て、熟成を重ねてきたインドの人々に対してもだ。

ロイヤルエンフィールド ブリット500EFIの画像

ブリット 500EFI は、国産スーパースポーツのように速くもなければ、欧州製ツアラーのような快適性もない。だが “走る、曲がる、止まる” というバイクの三大要素は及第点を確保しているし、とことんシンプルでスタンダードな存在だけに「これで良かったんだ、これが楽しいんだ」と、バイク本来の根源的な楽しさに気付かせてくれる。多くのライダーに一度は乗ってもらいたい、そんな1台である。

ロイヤルエンフィールド ブリット500EFIの詳細写真は次ページにて

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