掲載日:2007年10月15日 試乗インプレ・レビュー
VTRが登場したとき、個人的には“ミニモンスター”?と思ってしまうほど、当時人気が高まりつつあったモンスターの雰囲気を漂わせている。Vツインエンジンを中心に、ブッとい丸パイプの鉄フレームをかぶせ、エンジンの後端に直接スイングアームをマウントするピボットレスフレーム構造。艶やかな丸みを持ったタンクに小ぶりなシートカウル、スポーティなポジションながらハンドルはバータイプ、あえてタコメーターを廃したシンプルな造りは、まさにドゥカティ・モンスターそのものだった。皮肉にもモンスターがドゥカティの中で未だに基本を変えないロングセラーモデルなのと同様、VTRも登場から10年間、ほとんど変わることなく存在してきた。
まさに“これぞベーシック”という車体構成で、いっさいのムダを省いた合理的な設計。前後左右どこから見てもスッキリとしたスタイルは誰が見てもスタンダードなバイクだと感じるフォルムだ。フレームは鋼管パイプを使ったトラス構造で、その後端にスイングアームをマウントしていない。スイングアームはエンジンに直接マウントすることで、後輪からの振動をエンジンで緩衝してしなやかな乗り味を与える設計になっている。エンジンはVT250Fで初めてホンダに登場した250ccV型2気筒ユニットを、長年にわたって熟成させてきたもの。
市街地ではVツインらしい鼓動を感じることができ、一方、ハイウェイで高回転を回せば、ホンダらしい伸びやかな吹け上がりを見せるキャラクターを持っている。