3月6日、排気ガス規制の関係で生産が終了していた「VTR250」がフルモデルチェンジして発売されます。このバイクに搭載されているVツインエンジンは、今からさかのぼること27年前、市場を席巻する2サイクルエンジンに対向するため開発されたものが発端。パワーに勝る2サイクルに対し、あくまで4サイクルにこだわり続けるホンダが生み出した水冷Vツインエンジンです。当時のGPレーサー「NR」の技術により、軽量コンパクトでありながらパワフルな出力を実現。常用域での使いやすいトルク感と、どこまでも吹け上がる高回転域をあわせ持ち、はじめて搭載したVT250Fは爆発的な大ヒットを記録しました。その後も水冷Vツインエンジンは歴代VTにて徹底的に熟成され続け、現代においても高い性能を誇ります。今回はそんなホンダの名機を搭載したVTシリーズを総チェック。もうひとつのスポーツVツイン、1000ccエンジンを搭載したシリーズもあわせてご紹介します!
歴史を作り出した初代水冷Vツインモデル
当時市場を席巻していた2サイクルスポーツに対向するため、ホンダのGPレーサーNRの技術を投入した水冷250ccVツインエンジンを、軽量・コンパクトなボディに搭載。使いやすさとワインディングでの走りの良さを両立し、大ヒットしました。発売後も熟成が続けられ、最終型となる1987年式では最大出力が43psまで引き上げられています。
VT250Fインテグラ(1983年発売) |
■最高出力 |
35ps/11,000rpm |
■最大トルク(N・m/rpm) |
2.2kg-m/10,000rpm |
■車両重量 |
152kg |
■当時価格 |
450,000円 |
フルカウルを身にまとった特別仕様
VT250Fインテグラは、VT250Fにフルカウルを装着したスポーティなモデルです。当時のホンダはカウル付きを「インテグラ」として投入しており、VT250Fはその4番目のモデル。レースで培った空気力学の技術を活かし、防風効果の高いカウルを生みました。カウルのマウントもハンドルからボディへ変更されたためハンドリングも軽快です。
世界初のアルミ鋳造中空フレームを採用
生産を終了したVT250Fに代わって登場したのが、世界初となるアルミ鋳造中空一体構造のフルキャストフレーム「CASTEC」を採用したVT250スパーダ。溶接部分を最小限に抑えることで高剛性と軽量化を実現した新フレームに、熟成された水冷Vツインエンジンを搭載したスパーダは、140kgという軽量な車体とあいまって軽快な走りを楽しめました。
細身でスタイリッシュなスマートVツイン
スリムで軽量な、トラリス構造のピボットレスフレームに、伝統の水冷Vツインエンジンを搭載した新感覚スポーツネイキッド。足つきがよく、車両重量もこれまでのVTシリーズの中で最軽量のため、初心者から女性ユーザーにも人気が高いモデルでした。排気ガス規制で一旦姿を消しましたが、2009年3月6日よりインジェクションを採用して復活します。
VTR1000SP-1(2000年発売) |
■最高出力 |
136ps/9,500rpm |
■最大トルク(N・m/rpm) |
10.7kg-m/8,000rpm |
■車両重量 |
199kg |
■当時価格 |
?(輸出車) |
勝利のために生まれたスーパーVツイン
これまでスーパーバイク世界選手権を戦っていた4気筒マシンに代わって登場した、レースを視野に入れたVツインスーパースポーツ。FI仕様の水冷Vツインを高剛性なアルミツインスパーフレームに搭載し、圧倒的なパフォーマンスを実現しました。鈴鹿8耐や世界スーパーバイク選手権で活躍し、世界中の注目を集める1台となりました。
ホンダのVツインスポーツバイクは長い歴史をもっており、非常に熟成されています。スペックシートの上では4気筒マシンほどの派手な数字はありませんが、耐久性・燃費・運用コストとともに、スポーツバイク用エンジンの中ではトップクラスの優等生です。また、車種のバリエーションも多く、場合によっては現行スポーツモデル並みにハイパワーな絶版車も存在しています。しかも、人気シリーズということもあり、中古車の在庫数も豊富です。今も昔もホンダのスポーツバイクにおいて重要な位置を占めるVTシリーズに、あなたも一度乗ってみませんか?