

掲載日:2007年07月25日 試乗インプレ・レビュー
CBR600RRのようなスーパースポーツは、最先端のテクノロジーを惜しみなく投入した技術の粋だけに、個人的に興味が尽きない。特にこのCBR600RRの国内仕様は、デビュー直後に乗ったことがある知人から「自分がうまくなった気になるよ」と教えられていただけに期待は大きかった。またこれまではどちらかというと、レースでの覇権を追求してサーキットでのパフォーマンス重視だったのが、2007年モデルでは大きく変更された。「公道でも楽しめる、誰にでも楽しめる」というコンセプトには、大いに興味を掻き立てられたのである。試乗は早朝に都内を抜け、よく行く関東近県のワインディングロードに繰り出した。やはり街中ではスポーツラインディングを意識した、固めのサスペンションがコツコツと突き上げてくる。600ccとはいえトルクフルなエンジンは5000回転以上回すことを必要とせず、あわよくば約1500回転のアイドリングから3000回転あたりを使うだけで十分走れてしまうし、ギクシャクせずに疲れなかった。高速道路に乗ってもその印象は変わらず、6速に入れてしまえば5000回転ちょっとで法定速度でクルージングできてしまう。5000回転あたりを越えると、エンジンノイズやハンドルから伝わる振動が目立ち始め、そのエンジンキャラクターの片鱗が少し見え隠れしてくる。試しに低いギアで引っ張ってみようとしたが、カタログスペックどおり、1速でレッドゾーンまで回すとあっという間に時速90km、2速でもう法定速度オーバーの域に達してしまった。
一番楽しみにしていたワインディングロードに入る。まずは体を動かすことなくリーンウィズのままコーナーに入っていく。するとバイクは自然にスーッとかなり深い角度まで傾いていくのである。これにはびっくりした。というのも、普段はちょっと旧いバイクに乗っていて、どうしてもコーナーでは「どっこいしょ」と自分でバイクを寝かせる操作をしている感じ。それがCBR600RRは、ほとんど何もしなくても勝手にスムーズにバイクが寝ていってくれるのである。ヘタをすると自分自身が傾いていく感覚よりもバイクが先に傾いていくため、リーンアウト気味になるのがちょっと心細かったりもするぐらいなのだ。
そこで、スーパースポーツらしく腰をずらして、いわゆるハングオフの姿勢で走ってみる。そうすると、この自然にバイクが傾いていくリズムがとても楽しくなってくる。これが、“自分自身がうまくなった気になる”ということかなと思った。決してムリをしているわけでもないのに、自然にペースも高まってくる。もちろん、ここで自分を見失うと危ないことになってしまう。しかし、リズムをキープしながらコーナーを右に左に駆け抜けていくと、それがとっても楽しくなってくるのだ。ちなみに、CBR600RRのタコメーターは、時計でいうと6時にアイドリング付近の1000回転、9時が7000回転、12時が13000回転で、レッドゾーンは1時の15000回転からとなっている。ワインディングに入り「レッドゾーンまで引っ張り回して走るゾ」なんて思っていたのだが、悲しいかなボクの技量では結局タコメーターの針が9時より先に進むことはなかった。その先のパワーは公道では引き出せないし、言い訳がましいが、それを引き出すまでもなく、十二分に結構なペースで走れてしまうのである。そのくらい、国内仕様ということで日本国内の道路状況に合わせて調教されたエンジンは、中低速だけでも楽しく走れるようになっていたのである。往々にしてこうしたスーパースポーツのポジションは、ハンドルが低く、遠いために前傾姿勢がきつくなるのであるが、CBR600RRはそれが耐えられないというほどではなかった。やはり前作よりもあえて10mmアップしたハンドル位置が効いているのかもしれない。また、シート高820mmというスペックほど足付き性は悪くなく、しっかり絞り込まれたシートのおかげで、真っすぐ足を下ろすことができ、小柄なボクでも少し腰をずらせば足の指で地面をつかむように片足を着くことができたのにも好感が持てた。
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