掲載日:2007年07月25日 試乗インプレ・レビュー
国内4メーカー+外国メーカーの600ccが争うスーパースポーツクラスのレースに勝つため、各社の600ccスーパースポーツはモデルチェンジの度に年々過激になってきていた。より高いパフォーマンスを持つ1000ccクラスよりも600ccクラスのほうがレーシーなキャラクターになり、一般公道で楽しむユーザーにとっては返って扱いづらいものになっているのも事実。そんな中、2007年春に発表されたCBR600RRは、より軽く、そしてコンパクトにする目的を“扱いやすさ”という方向に振っているのが特徴。エキスパートライダーやサーキットでのパフォーマンスはもちろん、一般公道、ワインディングやビギナーでも楽しめるバイクに仕上がっている。2005年モデルから8kgも軽量化、各部のサイズを見直して、よりライダーを中心にコンパクトな車体になっている。2007年モデルでは、エンジンもより中低速を出力を上げてライダーの意思に忠実な操縦性を追及してある。また、1000ccクラスよりもきつい前傾姿勢を強いられる600ccクラスの中にあって、あえてハンドルバーの位置を10mm高めて、スポーツライディング以外での快適さを生み出してあることも追記しておこう。
デザインは、このCBR600RRが始めたシングルサイレンサーをセンターアップタイプとするスタイルを継承。「RC211V」譲りのデザインだったカウルは、ここ1~2年のスーパースポーツのデザイントレンドを汲み、大胆に側面のパネルを削ぎ落としたフォルムとなっている。特にアッパーカウル周りをシェイプアップして、ノーズに大きな吸入口を設けたレイアウトは、前作から大きくイメージを変えた。カラーリングには赤×黒、青×銀、黒に加え、最近流行の白を基調としたモノトーンも用意され、サーキットだけでなくストリートにも映える。RC211Vのテクノロジーをふんだんに取り入れたCBR600RRは、センターアップマフラー、ユニットプロリンクサスペンションなど、ホンダらしく新しい技術が惜しみなく投入されている。2007年モデルでは新たに、CBR1000RRに搭載されていた電子制御ステアリングダンパー「HESD(Honda Electronic Steering Dumper)」を装備。また、ブレーキマスターがラジアルポンプ式となり、よりスムーズなブレーキ操作を実現している。マフラーに高価なチタン材を採用したり、キャリパーをラジアルマウントするフロントフォークのアウターチューブにブラックアルマイトを施すなど、細部に至るまでレーシングマシン然としたクオリティのパーツが組み合わされたCBR600RRは、オーナーの所有欲をかき立ててくれるはずだ。