【Page2】クシタニファクトリーを社会科見学

掲載日：2010年06月23日特集記事 › 浜名湖ツーリング

2010年3月26日発行モトギア・プラス Vol.4　より記事提供

走って学んで、食べて遊んで、浜松・浜名湖ツーリング

ものづくりのまちで社会科見学記

ご案内いただいたのは、クシタニの徳増久代さん。素敵な女性広報さんでした。

最初の社会科見学先は、レザースーツなどのバイクウェアのトップブランド、クシタニの本社です。
バイクメーカーにゆかりの多い浜松に本社があるなんて、ちょっとできすぎな話みたいだけど、それにはちゃんと理由があるんですね。そもそもクシタニがバイクウェアを手掛けるようになったきっかけが、その昔、あるメーカーからテストライダー用の安全な服を依頼されたから。それまでは、革を使った普通のファッションメーカーだったのに、いまでは日本を代表するバイクアパレルメーカーになったんだから、めぐりあわせの不思議を感じます。そっか、最初の依頼が「ライダーの安全のため」だったから、今でもクシタニのバイクウェアは安全を第一に考えられてるんだろうね。

そんなクシタニの本社には、プロショップと呼ばれる直営販売店の本店があるので、来たことがある人も多いと思うけど、実はお店の奥は工房になっていて、そこでは今も職人さんたちの手によって、一着づつレザースーツが作られているのです。

今回は、普段は入れてもらえないようなところまで見せていただいた上に、ちょっとだけ作業体験までさせてもらっちゃって。貴重な経験になりました～♪
そうそう、今回の見学は3月のはじめだったんですけど、工房の中では、何だか見おぼえのあるレーシングスーツができあがりつつあって、「これってあのGPレーサーの?もしかして2010シーズン用の!?」なんてお楽しみもあったのでした♪

電動カッターで型紙どおりに革を裁断していきます。切るスピードが速くてさすがだな～と思っていたら、このほうが正確に裁断ラインをトレースできるんだって。この裁断の仕上がり具合が、最後の出来上がりに大きく影響するので、とっても大事な過程です。

…で、なんとちょっとだけ体験させてもらっちゃいました。電動カッターなんて初めて。スーッと切れてなんか気持ちい～。

大きな音が部屋中に響いていたのは、革にメッシュ加工する工程。裁断した革を電動のパンチングマシンに入れたら、ダダダダダダダダーッと一気に穴が開けられていくのです。

ほら、こんな風に。これは腰のシャーリング部分の革ですね。で、これもちょっと体験・・・は、しませんでした。だって、うっかり挟んじゃったら私の手がパンチングされちゃうかもだし…。

名前やゼッケン、アレンジなどを組み縫いしてゆく作業は、見るからに難しそう。案の定、誰にでもできることではなくて、経験をしっかり積んで、とりわけ手先が器用で、この作業が「好き」な人だけが受け持てる工程だということです。作業場の壁には、「作品」の数々も。これ、イラストじゃなくって、全部革の縫い合わせなのです!

こんな数字パーツのはじっこギリギリを、機械みたいな正確さでスイスイ縫っていくのです。こ～んなのゼッタイむり!難しすぎ!ほら、このクオリティ凄すぎだもん。

え?こんな手間もかかってるんだ!ってビックリしたのがこの過程。組み立て縫製する前の革の、他の革と縫い合わせる部分を、微妙に削って薄くして、縫い合わせたときに革が重なっても厚くなりすぎないようにするのです。ちょうど下の写真のこんな感じに。薄くする加減も調整しながらだからね。これも熟練のワザだよね～。

革漉きにもチャレンジしてみたけど、そう簡単にはうまくいきません。削りすぎちゃったり、削った部分がぺろ～んとついてきちゃったり。ん～なんかくやしいかも…。

裁断から様々な工程を経てきた各部位を、いよいよ縫い合わせて、一着のレザースーツに仕立てます。ダダダッとミシンの音がリズミカル。簡単そうに見えるけど、立体に縫うのは難しいはずたよね。ここまで見てきて思ったのは、やっぱり作っている人たちが習得してきた技術とか、経験に裏打ちされた感覚って、大切なんだなぁということ。すごく貴重な体験でした。

ここまで見てきて思ったのは、やっぱり作っている人たちが習得してきた技術とか、経験に裏打ちされた感覚って、大切なんだなぁということ。すごく貴重な体験でした。

本社内の一角に古いスーツがあると思ったら、なんとすべて実際にレースで使われたものなのでした。よく見ると、ファンの人たちなら卒倒しちゃいそうなお宝スーツがザクザク出てきちゃって。ガードナーでしょ、マモラでしょ、ノリックにクロスビーってあげたらキリがないぐらい。転倒時の傷み具合を調べて、次の製品のために役立てるという資料でもあったのです。

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