【Page2】キャブレーションチューニング

掲載日:2010年05月19日 特集記事2010カスタム最前線    

記事提供/2010年1月24日発行 月刊ロードライダー 3月号
JAM Co.,ltd.(ジャム) [TEL]048-227-2462 〒332-0004埼玉県川口市領家5-7-25
Photo/富樫秀明 Text/編集部

今年やりたい最新カスタム

キャブレーションチューニング

 
   

飽きない扱いやすさを作り出すインナーキット

①⑤⑥JAMのZ1000Jに装着された負圧キャブキット(①)と単品(⑥)。エアファンネルには同じくJAM扱いの3Dフィルター(オイル塗布なしでも使える。1850円/個)も装着可。問い合わせの多かったファンネル単品も⑤のように新たに用意された②③④注目のキャブインナーキット。価格は車種により異なるので要問合せ。りん青銅製+コーティングのJNはトップに5段クリップ(③)、ボトムにバクダン形状の加工がされる

 

自然の原理を使うキャブに
絶好の新インナーキット

メーカー製大型車が燃料供給をFIに切り換え出して10年強。その完成度はキャブをしのぐ域に来た。
しかし、自然の原理を生かしたキャブにこそ、まだ先があった。そのキモは・・・・・・。

 

このところ本誌ではキャブは負圧/レーシングタイプを問わず、ほぼ口径でパワーが決まること、負圧キャブのスムーズな過渡特性が乗りやすさ、飽きにくさを作ることなどを紹介してきた。これは燃料供給の現代版と言えるFIでも同じだ。

 

双方の燃料供給方式を通じた上でJAMがオリジナルKITとして今新展開しようとしているのが、キャブレターインナーキットだ。基本になるのは、JN=ジェットニードル。スロットルバルブの上下によって筒状のNJ=ニードルジェット内を上下する針状のパーツだ。上がストレート、途中から径が細くなるテーパー状になっていて、スロットルボア内には全閉から開け始め時にストレート部が、それ以降はテーパー部が露出する。ストレート径が開け始めの使いやすさを、テーパー角が隙間の変化量=燃料量を変えていく。口径=ボアが決まればMJ=メインジェットもだいたい決まるし、全開の時間はそう多いものではない。ここでJNは、スロットル操作をするほぼ全域でのフィーリングを左右する。そこに積極的に手を入れようということだ。それは、シャシーダイナモにかけただけでは出てこない、チョイ開けの域の特性向上。シャシダイでは基本的に全開での計測なので、過渡特性や、負荷のかかった状態の実走とはどうしてもズレが生じる。その部分をフォローするには、追い越し時の状態や少し開けというところを見る必要があるわけで、それをこのキットで具体化するわけだ。

 

製作にはKENSOの協力を得ているが、これは'80年代末からの“バクダンキット(特殊表面処理と先端加工を施したJNと、オリジナル3穴式MJによるキャブインナーキット)”展開による製作ノウハウが生かせるのが最大の利点となる。

ダイヤフラムスプリングもキットのオプションとして用意され、このスプリング変更でフィールがまた変えられる。一例を挙げれば固いスプリングにすることで開け始めの敏感さを抑えれば、スロットルが開けやすくなる。逆に柔らかくすれば、スロットル操作に対する反応を上げられるから、レスポンス重視のフィーリングになる。傾向としては前者は初心者や安心を得たい人、後者は走行会にも積極的に使いたいとする感じで、成毛さんは、これはスロットルバルブ材質(樹脂製か金属製か)や形状等でも変えられるのだそうだ。

 

成毛さんは多くのキャブレターやFIをマニアックに見続けてきた結果、ノーマルはよくできているというひとつの信条を持っていて、各商品や作業、カスタム(これはSTDのバランスを崩すことでもある) には、ノーマル同等以上の性能と使いやすさを持たせてあげたい、と考えている。それゆえのライダーのフィーリングに応じての補正、なのだ。ここはキャブでもFIでも同じだが、キャブセッティングが出来ないとFIセッティングも出来ない。

 

だから、従来からユーザーに好評だった負圧キャブレターキットにも、次のステージを用意した。これまで多用していたBSR系では油冷だけでなくZ用にも対応するアダプターが加わる予定。さらに、CVKでの対応品、主に34/36mmボアをラインナップする。もちろん単なる負圧作動化では終わらない。前述のインナーキットも活用し、ユーザーの使い方や、バイクによっての違いもフィードバックした仕様での提供になる予定だ。CVKはカワサキGPZ-R~ZRX系の純正品でもあるがただ付けるではない、純正以上のフィールを付加する手段になる。

 

エンジンが起こす吸入負圧で燃科の霧化と混合、吸入を自然の摂理に従って行うキャブレター。エコという側面にも実は合っていて、これから先にも期待ができる。FIでは下に記したようにサブコンのRapidBikeに、2010年は日本語フルマニュアルや基本セッティングメニューを用意して、本格始動する。

 

キャブレーションのスペシャリストと、足まわりのスペシャリストが二人三脚でバイクに向き合うJAM。キャブレーションがまとまれば、本来いい状態で動くはずの足まわり/車体だが、乗ってさらにセッティングや、ネガの払拭もできる。

 

STDでもカスタムでも、まずは乗り方を言ってほしい、と成毛さんは続ける。直接来店が一番ではあるけれど、それもままならない遠方の方にもこのキャブレーションセッティングやキットを楽しんでもらうには、それを伝えてもらって、そこに合ったものを提供したいからだ、と。もしかするとキャブ以前にエンジン不調があってのことかも知れない。ならば、腰下やメタルまわりなどエンジンをしっかりさせてから、最後にセッティングして長く乗って楽しめばいいのでは、とも続ける。今ぜひ勧めたい、先を見据えた手法だ。

 

FI

 

レーシングキャブ

 

負圧キャブ

FIでは丸型フラップが左右線を軸に前後方向に回転、レーシングキャブは板状(CR等では筒状)のスロットルバルブをスロットル操作で強制開閉。負圧キャブではFI同様のバルブ(バタフライバルブ)を動かすことでエンジンの吸入負圧が変わり、この負圧でスロットルバルブが上下する

 

FI用サブコンのRapidBikeも2010年はより充実

Rapid Bikeを搭載、Tuning Bikeというディーラー専用モジュールも接続して実走するとその個体に合わせた補正マップが書き込まれる。その後実走とシャシダイデータも突き合わせて、マップができる。費用は基本的にはキャブ交換より安く済む

 

 

約1年の準備期間中にノウハウを蓄え、細かい日本語説明書や対応品をJAMで揃えたDim Sport社製サブコン、Rapid Bike(ラビッドバイク)。2010年は左上のRapid Bike Evo(ほぼフルコンに近い能力と細かい分解能を持つ)やシャシダイも登場しシステム構築が完成。サブコンの機能としては現行のRB1~3(写責左中。1~3の違いは1マップか複数マップ切り換えか等。価格はRB1で4万3500円[税別])でも十分なものがあり、本体と別売の車種ごとハーネスがあれば載せ換え時のマップ書き換えも行える

●つながりの良さは飽きの来ない楽しみを作る

●キャブレターもFIも今ならもっと良くできる

●燃料供給が正しければ他のパートの良さも出せる

JAMの得意分野はキャブレター。レーシングキャブにも良さを認める一方で、エンジンチューニングとの相性やパワー感、使いやすさも考えてのSTDスロットル(開け感やコントロール性に優れるロースロットル)も重視。今回のキャブインナーキットもその延長上にある。良いキャブレーションは燃費やドライバビリティも良くし、結果的に車体性能やバランスを引き出すことにつながるから、ぜひ試してほしい

 

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