掲載日:2010年02月12日 特集記事 › 400マルチ、あの時代
記事提供/2009年4月1日発行 絶版バイクス3
■取材協力/力ラストドリームエンジニアリング ウエマツ
大型モデルでは得られない機動性に扱い易さ、また、日本の道路事情や免許制度が関係し、70年代後半から注目されるようになったのが400ccクラスである。同クラスが一大ムーブメントを巻き起こした最大の理由に「中型限定自動ニ輪免許」の存在が大きく影響しているのは、疑いようの無い事実である。同免許制度への移行が決定される以前の国内シーンと言えば、ミドルクラスの中心は350ccクラスだったからだ。
そんな350cc時代から唯一、4ストロークエンジンにこだわり、しかも4気筒モデルをラインナップしていたのがホンダ。そのモデルはCB350Fourである。
しかし、ライバルの2ストロークスプリンターや同じホンダの2気筒モデルに対して明らかに動力性能的が劣り、さらにデザイン的にも地味さが目立ったためヒットセールスには至らなかった。
そして、「マルチのホンダ」が起死回生モデルとして74年に発表発売したのが、名車「CB400FOUR」である。
その後、紆余曲折ありCB400FOURは短命に終わるが、このモデルが400ccクラスに投じた一石は、計り知れないものだった。当時、第一次オイルショックの影響もあり、ホンダは2気筒400ccに方向転換したのだが、マーケットからは4気筒モデルを望む声が多く、事実、CB400FOURが生産中止された直後から、中古車をべースに新品部品を数多く組み込んだ「再生新車」なるCB400FOURを販売するショップも現われ、この時代に「レストア」という言葉を良く聞くようになった。
一方、海外では900Z1、国内では750Z2の成功によって、4ストロークエンジンメーカーとしての地位を確固たるものとしていたのがカワサキである。CB400FOURの生産中止によって、数多くのミドルマルチファンがカワサキにラブコールを贈ったのである。
そして、1979年にはカワサキ4気筒のDNAを継承したツインカムエンジン搭載のZ400FXが登場。このモデルの登場によって400ccクラスの行く末が決定されたといっても過言ではない。
80年代初頭には、国内全メーカーが400ccクラスのメインモデルを4気筒エンジンとし、その後のバイクブーム&レースブームの大波に乗って「レーサーレプリカ時代」が到来。そしてゼフアー400の登場によってネイキッド時代ヘ移行し、オーバーナナハンの解禁と新免許制度の施行によって、現在の大型自動二輪「一辺倒」の時代となった。大型自動二輪免許を教習所で取得できることになったことで、もはや400ccクラスは過去のものとなってしまった・・・・。
しかし、今振り返るとあの時代のバイクには個性があった。レーサーレプリカモデルにしても、今見れば新鮮そのもの。何よりメーカーが「一生懸命バイクを造っていた時代」であり、ある意味、コストを無視したかのような高性能部品を装着していた例も多い。
400ccクラスと言えば、現在では社会問題にもなっている旧車曾系御用達のような印象があるが、決してそんなことはない。それぞれの時代に素晴らしいモデルが存在するし、中古車を見てもタマ数は比較的豊富で、しかも「エッ!?」と思えるような価格の物件が多いのも事実。今一度、400ccクラスを振り返ってみてほしい。そこには「新鮮かつ刺激的な世界」が間違いなく存在する。
中型限定自動二輪クラス施行の中で唯一のマルチエンジンを搭載。免許制度の枠を超えて数多くのファンに愛され続けるCB400FOUR。生まれながらにしてカフェレーサースタイルを彷彿するCB400FOURは、標準装備でコンチネンタルハンドルを採用していた。免許制度改正以前のモデルは408cc。改正後は398ccとなった。408cc時代はタンクと同色のサイドカバーが特徴だった。
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