【Page2】すべてにおいて個性的かつ高性能。誰もが認めるZ。

掲載日:2009年11月03日 特集記事「今・時・Z」    

記事提供/2008年11月27日発行 絶版バイクス Vol.2

デザイン、カラーリング、メカニズム・・・・・・
個性的かつ高性能。
誰もが認めるZ。

「今何故、絶版車が気になるのか?」
年々厳しさを増していく排出ガス規制に騒音規制、さらには各メーカー独自の自主規制がバイク開発を難しくしているのは確かな事実である。デザインにしても、我々が知り得ない部分で、数多くの制約があるとも聞いている。そのようながんじがらめの中で個性的な商品、ましては魅力的なヒット商品を生みだすのは難しいと思う。

 

しかし、我々バイク好きには「バイクが無い人生」なんか考えられない!!(大袈裟じゃないですよね!?)。特に、至極強烈だった「あの時代」を生きてきたバイクにカッコ良さや憧れを抱き、それは40年近く経過した今でも何ら変わらない。70年代前半の本格的「高速時代」の到来に向けて開発された各メーカーのニューモデルには、メーカーとしての個性やポリシー、今風で言えば「コンセプトが明確」だった。現代のバイクにも開発コンセプトはある。しかし「個性豊かですか?」と問うと、決してそうではなく、それが「新車離れ」の大きな原因となっているのは明らかだ。

 

さて、Zである。

 

「絶版車の横綱」と形容される初代カワサキZシリーズ。その人気は国内だけのものではなく、もはや世界中の絶版車愛好家がカワサキZシリーズの偉大さを認めている。世界初の量産4気筒モデルとなったホンダCB750がバイク界に与えた影響は大きい。そのCB750を唯一無二のライバルに据え、カワサキが威信をかけて開発したのがZである。初代Zシリーズが、如何に素晴らしいモデルだったのか・・・・。それは歴史が証明している。

 

誰もが認める高性能エンジンにはスキが無い。パッケージとしての完成度もさることながら、将来を見据えたエンジニアリング思想には脱帽である。技術的過渡期と言えた70年代の初頭。将来的にどのようなバイクシーンになるのか手探りだったあの時代に「1200ccまでスープアップ可能」なエンジンとして開発が進められたのがZである。60年代思想の流れの中で750ccを開発したホンダの考えとは、まったく異なっていた。ディテイルを見ても設計思想の違いは明らかである。

 

例えば、露出したバイクのエンジンは、オイル漏れが発生すると汚れが目立ちカッコ悪いもの。そんな視覚的商品性の維持を「メンテナンス性の良さ」でカバーしているのも初代Zシリーズの大きな特徴である。そんな素晴らしき設計思想に心打たれ、初代Zシリーズの素晴らしさに改めて感動している絶版車ファンも少なくない。シリンダーヘッドのメンテナンスやピストンの交換、クランクシャフトのオイルシール交換、ドライブシャフトシールの交換、キックスタータースプリングの交換等々はもちろん、その気になればミッションパーツの交換さえも「エンジン車載状態」で実践できるのだから素晴らしい!!そんな設計思想は、ライバルである初代CB750シリーズと決定的な違いである。

 

エンジンだけではない、初代Zシリーズの登場が、その後のバイクデザインに与えた影響も計り知れない。まさに初代Zシリーズは「真の横綱」である。初代Zは流行り廃りに関係無く、素晴らしきバイクを愛するファンに、今後も支え続けられていくことだろう。

 

田口勝己

 

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索