
掲載日:2007年08月06日 愛車撮影術
絞りとシャッタースピードを
活用して写真の幅を広げる
今まで、構図や望遠・広角、絞りなどカメラの基本を学んできました。
さて、今回はその続きでもあるお話です。テーマは「絞り」と「シャッタースピード」。前回では”背景をぼかす”ために…というくだりでお話しました。しかし、今回はもう少し掘り下げて考えてみたいと思います。絞りを開けると、どうなるのかなどですね。カメラにあまり詳しくない人でも、「絞り」、「シャッタースピード」という単語自体を聞いたことのある方は多いのではないでしょうか。しかし、最近のカメラではオートでキレイな写真が撮影できますから、実際どういう機能なのかまで知っている方は少ないと思います。簡単に説明すると、絞りやシャッタースピードは「光の量を調整するため」のものと考えていただいて結構です。写真は光を操作して作られるものですよね。つまり、光を調整する絞りやシャッタースピードこそ写真の基本なのです。今まではカメラ任せで撮影をしていた方も、この項を読んでもっとカメラについてわかったうえで撮影しましょう。きっともっと写真が楽しくなりますよ。
※2007年8月時点、コンパクトデジカメで絞りやシャッタースピードを細かく設定できるものはあまりありません。そのため、この頁は「デジタル一眼レフでの撮影」をベースに記述されていることをご了承ください。
絞り優先と
シャッター優先の違い
絞り優先モード、シャッター優先モード、マニュアル、これら3つのモードは現行のオートフォーカス一眼レフカメラには100%付いている機能です。その他にもスポーツモードや風景モード、夜景モードなどが付いているものもありますが、今回は先に挙げた絞り優先モードとシャッター優先モードを使って撮影していきます。
さて、絞り優先モードとはその名のとおりレンズの絞り(※1)が優先され、シャッター優先モードは、シャッタースピードが優先されるというものです。絞りはレンズ内の羽根の開閉によって光を取り込む量を調整する機能です。絞りを開けるほど被写体の背景はぼけてゆき、絞りを閉じてゆくほど全体がくっきり見えてきます。
シャッタースピード(※2)とは、その名のとおりシャッターの切れる(閉じている)時間のこと。絞りを開ければシャッタースピードは速くなり、逆に絞りを閉じれば遅くなるという、絞りとシャッタースピードは反比例の関係にあります。これらの機能のどちらを使っても、カメラ側で適正露出の計算(カメラ内に取り込む光の量の計算)をしてくれるので、とりあえず仕上がりの写真はきれいには見えます。ただしもっと踏み込んで、意図した写真すなわち「作品」をつくりたいのなら、これらの機能を使い分ける必要があります。
※1
絞りの数値が小さいほど多くの光を取り込むことができるので、暗い場所での撮影も可能になってきます。なお絞りの数値はf(focalの略)で表し、開放絞り値は明るいものでf1.2~1.4、暗めのものだとf5.6~8というものまであります。一般的には、レンズの価値は明るいレンズ(f値が小さいレンズ)なるほど高くなり、高級レンズということになります。
※2
1/8000秒~30秒または手動といった具合に、撮影方法に合わせて変えていくことができます。遅くなるほど手ぶれの可能性が高くなってきます。一般的に手ぶれ限界の目安はレンズの焦点距離(60mmレンズは1/60秒)といわれており、遅いシャッタースピードの場合は三脚を使用しての撮影が必要になってきます。
絞りシャッタースピード
それぞれの活用法
まず、絞り優先モードの活用法から考えていきましょう。例えば、背景がイマイチな時などに絞り優先モードは役立ちます。実際、愛車を撮ってみようという場合、常に背景がきれいといったことはさほどありませんよね。そこで以前もご紹介した背景のぼかしが重要になってきます。背景をぼかすには、絞りを開き撮影を行うとよいです。例として2枚の写真を撮影してみました。まず(1)の写真をご覧ください。中間絞り(f8前後/シャッタースピードは遅め)で撮影すると背景の邪魔な景色も見えてしまい、ちょっとごちゃごちゃした雰囲気の写真になってしまいました。写真(2)は絞りを開放ぎみ(f2.8~4/シャッタースピードは速め)に設定。背景の邪魔な景色が見事にぼかし撮影することができました。バイクが強調されて見やすいですね。
次に、シャッタースピード優先モードの活用法を考えましょう。例えば撮影時、バイクの背景に木々が揺れているような状況。せっかくですから木々のざわめきなども写真に反映したいところですね。こういった動きを滑らかに表現したい場合は、シャッタースピードを遅めにすると効果があります。では下の2枚の写真をご覧ください。(3)は絞りを閉じて、できるだけ写真の全面にピントが合うようにしてみました。(4)はシャッタースピードを遅くして(=絞りを閉じる)、バイク背景の木のざわめきを表現したものです。また、噴水や波などはシャッタースピードを速めれば粒を捕らえられますし、遅くすれば流れを捉えることができます。シャッタースピードだけでもずいぶんとさまざまな表現ができると思いませんか? ぜひご活用いただければと思います。
最近のコンパクトデジカメは、スポーツモードや風景・夜景モードなどはもとより、人の顔にピントを合わせてくれる顔認識モードという機能も備わっており、カメラまかせで簡単に写真が撮れる反面、個性的な写真が撮りづらくなってきています。ただ、これらの機能のしくみを理解していると、コンパクトデジカメでも自分の思いどおりの写真に近づけることも可能です。ただし、一眼レフほどの効果を出すのは難しいので、作品づくり前提での新規購入を考えているのなら一眼レフをオススメします。
●スポーツモード:速く走っている被写体を止めるため、速いシャッターがきれるようになっています。波打ち際の水しぶきを表現したい時などに使うと効果的です。
●風景モード:写真のすみずみにまでピントを合わせたい風景写真に適したモードです。絞りを閉じた(数値を大きくした)場合を想定した撮影に適しています。
●ポートレートモード:人物を撮影する時に、背景をぼかしてソフトな仕上がりに見せるための機能です。絞りを開放ぎみ(数値を小さくする)にした場合を想定した撮影に適しています。
カメラマン。続々と登場するカメラの新機種に財布の中身がついていかない750ライダーでもある。現在の愛車は10年もののGSF750。油冷エンジン最高! といいつつも、新型水冷エンジンが気になる今日この頃…
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