愛車撮影術

望遠と広角を学ぼう

掲載日:2007年05月03日 愛車撮影術    

望遠と広角の使い分けが
写真の出来を左右する

写真を撮影する際に必ず直面するのが、望遠と広角。

最近のデジタルカメラのほとんどは、望遠から広角までカバーしているレンズが付いています。よくCMなどで光学ズーム○倍! といったことを聞きませんか? この機能は単にアップで撮影できるというのではありません。望遠と広角にはそれぞれの特徴と効果があります。これらを理解して使い分けることで、愛車をより美しく撮影することができます。今回はこの望遠と広角の特徴について、撮影例を交えながら見ていきましょう。

単なるズームじゃない!
望遠の効果を考える

三分割法まず、望遠の特徴をお話しましょう。みなさんも良くご存知な機能に、「遠くのものが大きく写せる」ことがあります。いわゆるズームですね。しかし、望遠の特徴はそれだけではありません。この他にも、「背景をぼかす」、「遠くにあるものの距離感を薄れさせる」といった特徴があります。プロのカメラマンが撮影した写真で背景をぼかしている写真を見たことありませんか? あれは望遠レンズで撮影しているのです。背景をぼかすことの効果として、被写体が浮き上がった印象的な写真になりやすいこと、また背景がゴチャゴチャしている場合などでも被写体をくっきり写すことができることなどがあります。では、どうしたら背景をぼかすことができるのでしょう。

 

 

三分割法ポイントは3つです。「ズームを最大にして撮影する」、「遠い背景を選ぶ」、「レンズの絞りを開ける」こと。ただし、これらをすべて満たさないとぼけが作れないというわけではありません。例えば、ズームを最大にするだけで、ぼけを作ることもできます。すべての状況を満たせば、よりぼかすことができるという意味とお考えください。それぞれの条件について、少し詳しくお話をしましょう。まずは「ズームを最大にする」という条件。一般的に、ズームは倍率が大きくなるほど、強いぼけを出すことができます。ですから、背景をぼかしたい場合は、できるだけズームを最大にして被写体を撮影してください。もし、ズームしすぎると被写体が入らなくなったときはどうするか。ズームを戻すとぼけにくくなるので、できればご自分が後ろに下がりズームを保つようにしてください。ただズームによるぼかしには、注意点があります。実は『光学ズーム』のカメラでなければ、ぼかしは行えないのです。『デジタルズーム』の場合、ぼかすことができませんのでご注意ください。

 

次に、「遠くの背景を選ぶ」についてご説明しましょう。これはズームと同様の考え方です。普通、ズームを行うと被写体が手元に近づき、その分背景が遠ざかりますね。ぼけは、被写体と背景の距離差がでれば出るほど、強く出ます。となると、ズームで背景を遠ざけるだけではなく、もともと遠い背景を選べば…一層強いぼけが出るのは当然ですよね。

 

三分割法最後に絞りについて。これは初心者には理解しづらい概念かもしれません。絞りとは、人間の眼の中にある虹彩に相当するもの。カメラでは、レンズの光が通る穴のことを言います。近くのものを見るときに人間の瞳は大きくなり、遠くのものを見るときは小さくなっています。つまり近くを見るときには、ピントを狭めているのです。となると、どうなるでしょう。当然、背景にはピントがあいませんね。つまり、背景がぼけるというわけです。カメラもこれと同様で、”絞り”を開いたり、狭めたりすることで光量を調節しピントを大小させています(ちなみに、カメラの場合は絞りの開き具合をF値といいます)。少々強引な言い方になりますが、背景をぼかすためには絞りを大きくする(開放する)といいのです。

 

 

三分割法ぼかしを使いたい場合は、これら3つの条件を意識して撮影してくださいね。ただし、バイクのように大きなものを撮影する場合は、背景をぼかしづらくなります。そういった場合は、超望遠レンズが必要になってきます。ですから、最初は各パーツなどを撮影するときにこれらを意識してください。きっときれいなぼけ味を作ることができると思います。

 

長くぼけについて話してしまいました。

最後に、望遠の最後の特徴である「距離感を薄める」ことについてご説明しましょう。ちなみに、右の写真は望遠レンズで撮影しました。被写体と背景は実際かなりの距離がありますが、近くにあるように見えます(例えば、一番上の写真と3番目を比べてください。背景の柵の位置が望遠で撮影した下の写真では近く見えませんか?)。実際は遠いのに、あたかも近くまで来て撮影しているように見える…。それが望遠の効果の1つといえますね。

三分割法望遠と逆の特徴を持つ
広角レンズとは

広角という言葉に馴染みのない方もいらっしゃるかもしれません。簡単に言うなら、望遠と逆の機能を持っているレンズともいえます。一般的にはズームを使わない状態が、広角となります。近くから遠くまで、満遍なくピントを合わせてくれますから、大きな物や広大な風景を撮影するときに役立ちます。その他の特徴としては、手前にあるものほど大きく、奥にあるものほど小さく写ります(望遠が背景の距離感をなくすに対して、広角は距離感を感じさせるともいえます)。その分、被写体は歪んだり変形する場合もあるのでご注意くださいね。しかしこれらを上手く取り込めば、ユニークな写真が撮影できます。

 

また広角では、背景の距離感が望遠と違って「距離感を強める」効果があります。これは右の写真をご覧ください。上下で後ろの山の距離感がかなり変化しているのを感じていただけるのではないでしょうか。広角の場合は距離が遠く見える分、周囲の状況がわかり、旅先の雰囲気などを伝え対場合などに最適ですね(もちろん、望遠で構図を整えることによって背景を含めた写真を撮ることも可能です。ただ、同じ条件なら広角の方がより周囲の状況説明はしやすいといえます)。

 

さて、今回は望遠と広角の特徴をお話しました。前回の構図とレンズの使い分けを意識することで、さらに撮影の幅が広がるかと思います。ぜひ、いろいろと試してください。

カメラアングルとは

アングルは写真の重要な要素の一つです。アングルとは、被写体を撮影する位置やカメラの向きのことをいいます。低い位置から撮影する場合は「ローアングル」、目の高さで撮影する場合は「アイレベル」、高い位置から撮影するときは「ハイアングル」といいます。このほかにハイアングル以上に高い位置(例えば、椅子の上に立って撮影するなど)から撮影することを「俯瞰(ふかん)」、真上からの撮影を「真俯瞰」、ビルの上などから写す場合は「鳥瞰(ちょうかん)」といいます。

浪折 明良
講師
浪折 明良

カメラマン。続々と登場するカメラの新機種に財布の中身がついていかない750ライダーでもある。現在の愛車は10年もののGSF750。油冷エンジン最高! といいつつも、新型水冷エンジンが気になる今日この頃…

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