【ヤマハ トリッカー試乗記事】排ガス規制対応で扱いやすさがさらに向上

掲載日:2018年10月31日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/田宮 徹

一方で、じつは意外とスポーティにワインディングを駆け抜けられるポテンシャルを隠しているのも、トリッカーの魅力。車体は軽量スリムで、狭くツイスティな峠道で持て余すなんてことはなく、その自在感が気持ちよい。一般的な前後17インチホイールのロードスポーツ車とは異なるハンドリングだが、フルサイズホイールのオフロードモデルほどのクセはなく、中高速コーナーでもそれほどの違和感はない。ブロックパターンタイヤを履くので、アスファルトでのグリップ力は低めだが、軽さを武器に侮れないスポーツ性を発揮する。

ヤマハ トリッカーの試乗インプレッション

最高出力は20馬力なので、扱い切る楽しさもあり、シングルエンジンらしいスロットルレスポンスのよさに熟成されたインジェクション制御がプラスされたことで、キビキビ感も味わえる。フロントブレーキやフロントサスペンションは高速走行に対してはプアなので、トバシすぎには注意が必要だが、小排気量モデルならではの楽しさをいつでも堪能できる。

気軽さと扱いやすさが最大の魅力である反面、高速巡航は苦手。ツーリング派なら、一般道オンリーというような旅が中心となるだろう。しかし少し目線をずらすと、じつはトリッカーは長距離旅の相棒としても優れていることに気づく。車体は、250ccクラスとしては軽量スリムでコンパクト。だから、クルマへの積載性に優れているのだ。

ハイエースのような荷物積載を前提としたバンタイプではなく、3列シートのミニバンでも、クルマのシートをひとつも取り外すことなく安全にトリッカーを積める車種はけっこうある。バイクで走るのが気持ちよい場所まで車載で移動して、“おいしい場所”だけツーリング。こんな旅にも、トリッカーは最適だ。これまでのバイク遊びとは違う、新たな楽しさを提供してくれる。

ヤマハ トリッカーの試乗インプレッション

価格は従来型と比べて5万円ほどアップしたが、それでも46万7640円。車体の大きさやパワー感、あるいは走行性能だけでなく、予算面でも気軽さがある。エントリーライダーが乗る最初の1台や、ベテランライダーが狙うセカンドバイクの候補にも向くだろう。もちろん、シティコミューターとして活用したり、週末プチ冒険の相棒としたり、カスタムベースにすることもできる。

派手さはないが、魅力いっぱいのトリッカー。パワーユニット以外はなにひとつ変わっていなくても、復活してくれただけでうれしい。

ヤマハ トリッカーの試乗インプレッション

トリッカーの詳細写真は次のページにて

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