フサベル TE125 / TE250 / TE300
フサベル TE125 / TE250 / TE300

フサベル TE125 / TE250 / TE300 – 国内メーカーでは消えた2ストロークエンジン

掲載日:2012年10月30日 試乗インプレ・レビュー    

取材・写真・文/三上 勝久  写真・取材協力/HUSABERG

フサベル TE125 / TE250 / TE300の試乗インプレッション

フサベル TE125 / TE250 / TE300の画像

腕によってチョイス可能な
3モデルをラインアップ

さて、フサベルが2013年モデルとしてリリースしたのはTE125、TE250、TE300の3モデル。すべてKTMの2013年モデルをベースとし、KTMと同じメインフレームとエンジンを採用する。カラーリングやエクステリアパーツなどを除くと、KTMとの構造的な違いはリアフレームを樹脂製にしていること、フロントサスペンションにKTMではシックスデイズモデルのみが採用するWP製4CSサスペンションを採用していることだ。始動方式は125がキック、250、300がセル・キック併用となっている。

2ストロークモデルというと、エンジンの吹け上がりがシャープでピーキーというイメージを持っている人もいるかもしれないが、それはこのフサベルにはまったく当てはまらない。もちろん開けきった時のパワーは強烈だが、極低速から扱いやすい、ぶ厚いトルクを発揮する性格となっている。250、300についてはむしろ、昔の2ストロークエンジンのような『突き抜ける』爽快感に欠けると言えるほど。しかし、パワーやトルクが小さいというわけではない。あくまで、低中がぶ厚いのだ。

TE125は、4ストロークエンジン搭載モデルも含めたフサベル全モデルのなかで、エンデューロビギナーに最も安心してお薦めできるモデルである。その理由は、まずその圧倒的な軽さ。4ストロークエンジン搭載モデルも軽いのだが、それとは別次元の軽さで、4スト250ccモデルから乗り換えると「これは自転車か?」と言えるほど軽く感じる。

軽さが操縦性に与えるメリットは顕著だ。たとえば、岩がフロントにヒットしてバランスを崩した。木の根に当たってハンドルをとられた。ふいにアクセルを戻さざるを得ない、そうしたシーンで、ついアクセルを戻してグラっと来た時にも、足を軽く地面に当てるだけでバランスを取り戻せる。仮に転んだとしても、ラクに起こすことができる。

TE125のメリットはそれだけじゃない。仮にそうして止まらざるを得ないようなシーンでも、クラッチと低速の使い方を学んでいれば、そこからの再発進が容易だということだ。わずか125ccのエンジンでありながら、ドロドロとした極低回転から再発進することができるトルクを発揮するので、再び走り出せるのだ。

フサベル TE125 / TE250 / TE300の画像

TE250、TE300についても基本的に性格は同一である。4ストで言えば450、500ccクラスに匹敵するパワー、トルクをもっているのに車体は圧倒的に軽い。しかも極低速のぶ厚さが125ccの比ではなく、こうしたエンジンの特性は、特にマディなどの難所で生きてくる。スロットルをほとんど開けずに、アイドリングで深いワダチの中から脱出できるほど、豊かなトルクと優れたトラクションを発揮する。

250と300の違いは、ずばり懐の深さだ。250はどちらかと言えば高回転型で、競技でタイムを出したい、出さねばならないプロフェッショナルに向いた性格となっている。回せば回すほどパワーが出るが、逆に、そこまで回せないライダーにとってはかなりハードに感じる性格である。

300は250に比べわずかな違いではあるが、丸みを帯びた性格を持つ。その違いは同社4ストモデルのFE450とFE500の性格の差異と同じ違いで、限界まで回せるライダーは2スト250、多少まったりしたいライダーには300、となる。極低速の厚さが300のほうが優れるのはもちろんだが、それゆえに開けずに走れる性格となっているのだ。

しかし、ここで勘違いしないで欲しいのは、この250/300が軽くて扱い易いパワー感だから誰でも乗りやすいのか? 使いやすいのか? と言われればNOである点だ。過去に存在した市販2ストロークトレールとは異なり、これらのマシンにはオイルタンクなど存在しないので、ガソリンを補給するときには自分で混合ガソリン(潤滑用の2ストオイルを混ぜたガソリン)を作らねばならない。シートもスポーツ性を最優先したものだから、高速道路を長距離座ったままでクルージングするのには向かない。なにより、メインスイッチすら存在しないのだから、ツーリングバイクとしてこれらのマシンを使用するのはおすすめできない。

しかし、エンデューロという競技や、エンデューロで使うようなハードでタイトなトレイルでは最高の1台になる。エンジンの爆発一発一発で前に進むような4ストロークエンジン搭載車とは異なり、ヌルヌルした感触の2ストローク特有のトルクがどんな難所でも確実に越えさせてくれるのだ。しかも軽い。

特にフサベルの場合、車体の仕上がりが群を抜いて良いので、これらのバイクであればどんな難所も乗り越えさせてくれるだろう、という自信をライダーに与えてくれるのだ。

そんなわけで、ぜひ多くのライダーにこれらのマシンを使って、その素晴らしさを感じて欲しいと思っている。世界的に定評のあるオフロードメーカー、KTMのマシンをべースに造られた本格エンデューロマシン。悪いわけはないのだ。

フサベル TE125 / TE250 / TE300の詳細写真は次ページにて

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