【Page7】「SEROW 225/ 250」進化の変遷を辿る

掲載日:2010年02月17日 特集記事旅とアソビの250トレール    

2009年1月1日発行 月刊ガルル No.273より記事提供

250トレール スタンダードモデルの進化の変遷を辿る

今回のツーリングに参加したセロー250とXR250は、ともに1985年に元祖モデルが登場している。セローは「マウンテントレール」としてトレッキングというジャンルを確立し、XRは「プレイ&エンデューロ」を提唱して、ともに250トレールのスタンダードモデルとなった。いま一度、2台の進化の変遷を辿ってみよう。次期モデルの方向性が見えてくるかもしれない。

 

軽量コンパクトで登場
初代マウンテントレール

フロント225mm、リヤ190mmと当時でも抑えられたサスストロークが良好な足着き性を実現。XT200のエンジンを223ccに拡大し、低速から扱いやすい出力特性も獲得している。ハンドル切れ角は51度と、トライアルマシンの走破性とトレールバイクの乗りやすさを両立し、マウンテントレールという遊び方を提案してくれた。キック始動のみ。タンクに描かれた枝分かれしたカモシカの角は間違っていると指摘され、発売後数カ月で枝分かれを止めたというエピソードもある。

セルと8.8リットルタンクの
装備で使い勝手が向上

軽量コンパクトなセローは取りまわしやすく、女性ライダーからも支持されていた。また、低回転から扱いやすい出力特性は街乗りバイクとしても乗りやすく、セロー人気はさらに高まっていた。そうした流れを考慮しつつ、難所でのエンジン再スタートを容易にするために、セルスターターが装備された。タンク容量を7.6Lから8.8Lに拡大し、エアスクープ形状も変更された。テールランプが小型化されたのも、このモデルからである。225最終モデルの原型となるフォルムになった。

リヤディスクを採用し
車名もセロー225Wへ

リヤブレーキをディスクブレーキに変更し、リヤサスペンションをリザーバータンク付きにアップグレード。リヤまわりの操作性と作動性を大幅に向上させ、車名もセロー225Wへと変更された。またヘッドライト形状を小型化しつつ60W/55Wへと大容量化し、光量を確保している。しかし、セロー誕生10周年となる1995年までは、リヤがドラムブレーキのセロー225も継続販売されていた。セロー225Wはタマ数も多く、中古車市場でも未だに高い人気をキープしている。

リヤをチューブレス化
セロー225WEとなる

長らくライバル不在だったセローに、ホンダSL230という対抗馬が出現。これに対応するべく、リヤにチューブレスタイヤを採用し、セロー225WEと車名変更された。この他、タンク容量を10.に拡大し、エアスクープも追加。キャブレター口径を31mmに小径化することで、極低速域から中速域でのフィーリングも向上させている。フロントブレーキの2ポッド化やエキパイのヒートガードの大型化など細部に至るまで熟成が進められた。「225時代の完成型」と言えるほどの充実度。

新機構を採用して
排ガス規制をクリア

排ガス規制&騒音規制をクリアするために、排気ポートに新気を導入し、未燃焼ガスの燃焼促進を図るエアインダクションシステムを装備。キャブレターをスロットルポジションセンサー付きに変更するとともに、アルミ鍛造ピストンやメッキシリンダーを採用し、冷却効率を高めている。極低速域から扱いやすい特性はそのままだが、アクセルレスポンスがマイルドになったという声も聞かれるようになった。カラーリングを変更しながら、2004年まで販売された。

生誕20周年を迎えて
250へと生まれ変わる

生誕20周年を迎えて初となるフルモデルチェンジを受け、車名もセロー250となった。排気量を250ccへと拡大しながらも、ボディは225時代と変わらないコンパクトサイズをキープしている。この排気量拡大で高速道路での移動が大幅に楽になり、ツアラー性がかなり向上している。その反面、車重が重くなったことと、225時代のアイデンティティでもあったバックステップを廃したことで、トレッキング性がスポイルされたという意見も。また丸目ライトも好みが分かれるところ。

インジェクション採用で
新排ガス規制に対応

より強化された排ガス規制をクリアするために、新たにフューエルインジェクションを採用した。合わせて吸気ポート形状も変更されている。またフロントアクスルシャフト位置を5mm手前にオフセットし、トレール量を増やして乗り味を変更。フロントフォーク内部のセッティングも変えられた。これらの変更に合わせてフロントタイヤのコンパウンドと内部構造も変えられている。扱いやすさが大幅に向上し、フルサイズ250トレール並みの動力性能を発揮するまでに進化している。

 

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索