【Page5】 チャンバーに拘る職人がいるMARIO SPORTS

掲載日:2009年12月25日 特集記事2ストローク・フォーエバー    

2009年7月1日発行 月刊ガルル No.279より記事提供
取材協力/KTM JAPAN、亜路欧(GASGAS総輸入元)、力シック(SHERCO総輸入元)

2 Stroke FOREVER

チャンバーに拘る職人がいるMARIO SPORTS

 

マリオスポーツと聞いてピンとくるライダーはベテラン2ストライダーではないだろうか。以前はファクトリーマシンのそれを思わせる美しい仕上がりのMARIOチャンバーをレース会場で目にした。代表の秋元さんはモトクロス世界選手権を舞台に70~80年代にかけてメカニックをやっていた。オーストリアのKTM本社に籍を置いていたこともある。オフだけでなく、オンでも活躍していた経験を生かして現在ではチャンバー作りをしている。元従業員ということもあり、KTMに関しては本社から開発データを受け取っているほどだ。

 

KTM本社から受け取る設計図や開発段階で得たノウハウを細かく分かれた材料の形状に反映させていく。細かい分だけ、修理も部分的に可能

KTM本社から受け取る設計図や開発段階で得たノウハウを細かく分かれた材料の形状に反映させていく。細かい分だけ、修理も部分的に可能

重くて頑丈な治具に材料をセットして溶接していく。パーツを組み合わせていく度に、チャンバーとしての立体的な姿が表れてくる

重くて頑丈な治具に材料をセットして溶接していく。パーツを組み合わせていく度に、チャンバーとしての立体的な姿が表れてくる

なぜハンドメイドのチャンバーに拘るのか、秋元さんに聞いてみた。
「2ス卜に乗っているライダーはオフロードが本当に好きだから、目が肥えているんですよね。だからそんな人たちに満足してもらえる性能、そして精度や見た目を両立したチャンバーを作りたくて。4ストと違ってチャンバーは立体的だから、作るのは大変だけど、やりがいがあります。少し前まで体調を崩していて、最近になってやっと復業したんですよ。それでブランクが空いていたんです。現在はKTM125EXC/SX用(3万1500円)があります。あとKTM埼玉の古宅さんからKTM200EXC用のオーダーも受けているんですけど、けっこう要求がシビアなので難航しています。ノーマルの200用チャンバーは張り出しているから、転倒するとすぐ凹んでしまうんですよ。だから張り出しを少なくしつつ、パワーアップを図りたい。200EXCは125の車体を使っているので、ただでさえスペースに余裕がないですから、そのなかに収めるのがそもそも大変。でも求めているユーザーさんが多いみたいなので作り上げる予定です。あと、オープンエリア中島さんの依頼でハスクバーナWR用も開発中です」

 

2ストの現状と「これから」
現在、2ストをラインナップしているメーカーに現状と今後を聞いてみた

 

排ガス規制によって国産の2ストロークバイクが90年代末に新車市場から姿を消した。現在でも中古車が街中や林道を走っているとはいえ、今後数は増えない。

 

いまでも2ストを開発・生産しているのは、海外のいくつかのメーカーに限られている。ガルルではそれらのメーカーにいくつかの質問をした。

 

まず、近年まで125から300までの2ストを販売していたKTMに聞いてみると「現在では125EXCのみのラインナップです。日本の各メーカーが2ストロークの開発を中止したあとから、KTMは大きく販売シェアを伸ばしました。4ストロークに乗りかえたライダーたちも、ハイパフォーマンスな4ストを整備する費用の高さを経験して、2ストロークの良さを再認識したことかと思います。過去4、5年は生産台数を増やしたにもかかわらず需要が上回り、足らなくなったようです。ホモロゲーションに関しては、ユーロ3のエミッションをクリアするキャタライザーで対応しています」

 

さらに、興味深いコメントもある。「2ストロークのFIプロジェクトが進んでいます」という。

 

トライアル、エンデューロなどで多くの2ストをラインナップするGASGASはというと「来期のモデルはまだ発表されていませんが2ストロークに関しては現状と同じだと思います。レーシングモデルをのぞき、ユーロ3のホモロゲーションを取得しているモデルもあります。近い将来、2ストもFI化すると思います。GASGAS本社は2ストの開発、販売を続けると思います

 

同様のコメントをSHERCOの輸入元である力シックも返答している。

 

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