
掲載日:2013年05月02日 エクストリーム › モトクロス
文・まとめ/宮本 将平
先週のラウンド15、シアトルではジャスティン・バーシア(ホンダ)がラウンド2以来の勝利を挙げた450クラス。シアトルが地元でポイントリーダーのライアン・ビロポート(カワサキ)もきっちりと僅差の2位に入り、残り2ラウンドでランキング2位のデイビー・ミルサップス(スズキ)に対し25ポイントのアドバンテージ。今週のラウンド16 ソルトレイクでビロポートが勝利した場合、ミルサップスが2位に入ったとしても28ポイント差となるため、ビロポートの3年連続のタイトルが確定する。もちろんランキング3位のライアン・ダンジー(KTM)もすぐ後に控えているため、ビロポートにとってはこのラウンドで勝利し、ファイナルラウンドへはノンプレッシャーの状態で臨みたいところだ。ヒートレース前に行われたプラクティスでは、ミルサップスがトップタイム、ダンジーが僅差のセカンドタイムを叩き出し、逆転のタイトル獲得へ気合いを見せる。さらにヒート1ではダンジーが、ヒート2ではミルサップスもビロポートに競り勝ち、それぞれトップでメインレース進出を決めた。
メインレース(20周)、ホールショットはヒートレースウィナーのダンジー。そのすぐ後にはビロポート、トレイ・カナード(ホンダ)、その後にミルサップスが続く。しかし2コーナー後のリズムセクションでダンジーに並びかけたビロポートは、続く180コーナーでダンジーをブロックスパス、1ラップ目からトップに立った。一方、ミルサップスも2ラップ目には3位までポジションを上げ、トップ2へと照準を合わせる。3ラップ目、ミルサップスはリズムセクションで、2位を走るダンジーをもパスし、ビロポートのすぐ後ろまで迫る。パスされたダンジーも5ラップ目にはベストタイムを叩き出すなど、前を走る2人に存在感をアピールする。10ラップ目、再びじわじわとミルサップスとの距離を詰めてきていたダンジーが、ついにサイドバイサイドのところまで詰め寄り、何度もブロックパスを試みるが、ミルサップスもなかなか譲らず、気が付けばトップのビロポートまで巻き込む3人のバトルが開始、どのライダーも1ミスで流れやポジションが変わるタイトル決定戦らしいドラマチックな展開へと発展する。そして、この頃からラップ遅れも数多く出始めるという、さらに複雑な状況へ。
16ラップ目、ここまで来てもトップ3の接近戦は続き、ワンミスでポジションが入れ替わるかもしれないレースは激しさを増していたが、ミルサップスがさらにペースアップし、トップのビロポートへと迫る。ここからはファイナルラップのラストコーナーまでウィナーを予想できないようなギリギリのバトルが続いたが、ディフェンディングチャンピオンはやはり強く、ビロポートが僅差で逃げ切り優勝。ファイナルラウンドを前にタイトルを獲得した。2位には最後までビロポートを追い詰めたミルサップス、3位にはダンジーが入った。
ファイナルラウンドを待たずしてビロポートがタイトルを獲得した2013シリーズ。最初の数ラウンドは不安定なレースが続き、3年連続のタイトルは難しいように思えたビロポートだったが、中盤戦以降は例年以上とも言える圧倒的な強さで勝ち続け、ランキングトップに立った後も、グングン後ろとのポイント差を広げた結果、ファイナルラウンドを前にしてタイトルを獲得した。3年連続でチャンピオンとなったのは、ボブ・ハンナ、ジェレミー・マクグラス、リッキー・カーマイケルの3人だけ。このレジェンドたちに肩を並べたビロポート。タイトル争いこそ決着した450クラスだが、まだミルサップスとダンジーによるランキング2位争いは激しさを増している。わずか3ポイント差の2位争いを制するのはどちらのライダーだろう。来週のラスベガスは絶対に見逃せないラウンドになる。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 1 | R・ビロポート | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 46.866 | |
2 | 18 | D・ミルサップス | Rockstar Energy Drink | Suzuki | 46.873 | |
3 | 5 | R・ダンジー | Red Bull KTM | KTM | 46.933 | |
4 | 41 | T・カナード | Team Honda Muscle Milk | Honda | 47.506 | |
5 | 51 | J・バーシア | Team Honda Muscle Milk | Honda | 47.506 | |
6 | 10 | J・ブレイトン | Toyota/JGRMX/Yamaha | Yamaha | 48.507 | |
7 | 75 | J・ヒル | RCH/Dodge/Suzuki | Suzuki | 48.606 | |
8 | 29 | A・ショート | BTOSports.com/KTM | KTM | 49.121 | |
9 | 46 | W・ペイック | - | Suzuki | 49.292 | |
10 | 22 | C・リード | TWOTWO Mortorsports | Honda | 49.434 | |
11 | 20 | B・ティックル | RCH/Dodge/Suzuki | Suzuki | 48.663 | |
12 | 57 | B・ラメイ | Rock River Yamaha | Yamaha | 49.727 | |
13 | 12 | J・ワイマー | Monster Energy Kawasaki | Kawasaki | 49.387 | |
14 | 39 | R・キナイリー | N-Fab TiLUBE Yamaha | Yamaha | 50.301 | |
15 | 49 | P・ニコレッティー | N-Fab TiLUBE Yamaha | Yamaha | 49.992 | |
16 | 42 | V・フリッシー | - | Honda | 50.530 | |
17 | 84 | C・ブルース | N-Fab TiLUBE Yamaha | Yamaha | 50.306 | |
18 | 374 | C・ギルモア | Yankton Motorsports | Kawasaki | 51.360 | |
19 | 722 | A・エンティックナップ | - | Honda | 52.141 | |
20 | 85 | K・パートリッジ | - | Honda | 52.274 |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 1 | R・ビロポート | Kawasaki | 346 | |
2 | 18 | D・ミルサップス | Suzuki | 318 | |
3 | 5 | R・ダンジー | KTM | 315 | |
4 | 51 | J・バーシア | Honda | 261? | |
5 | 22 | C・リード | Honda | 224 | |
6 | 41 | T・カナード | Honda | 220? | |
7 | 29 | A・ショート | KTM | 202 | |
8 | 10 | J・ブレイトン | Yamaha | 177 | |
9 | 7 | J・スチュワート | Suzuki | 174? | |
10 | 20 | B・ティックル | Suzuki | 165 | |
11 | 12 | J・ワイマー | Kawasaki | 139 | |
12 | 62 | M・ゴーキー | KTM | 139 | |
13 | 800 | M・アレッシ | Suzuki | 107 | |
14 | 46 | W・ペイック | Suzuki | 91 | |
15 | 75 | J・ヒル | Suzuki | 86? | |
16 | 39 | R・キナイリー | Yamaha | 57 | |
17 | 17 | E・トマック | Honda | 52 | |
18 | 49 | P・ニコレッティー | Yamaha | 48 | |
19 | 42 | V・フリージー | Honda | 45 | |
20 | 84 | C・ブルース | Yamaha | 44 |
ケン・ロクスン(KTM)が中盤戦以降ランキングトップに立ち、シリーズの主導権を握っている250クラス ウエスト。残りわずか2ラウンドで20ポイントのリードはとても大きく、何かトラブルがない限りイーライ・トマック(ホンダ)の逆転タイトルは難しい状況だ。しかし、今回のソルトレイクのトラックはスタートからファーストターン、さらには続く180コーナーまで非常にタイトなレイアウト。今年のAMAシリーズを見ている方はご存知の通り、とてもクラッシュ率の高いレイアウトのスタートとなった。ヒート1、スタート直後のクラッシュにトマックが巻き込まれ、ほぼ最後尾からのレースとなるが、タイトル獲得へ向け気合いの入っているトマックはそこから驚異的な追い上げを見せ、最終的にはわずか6ラップで5位まで浮上し、メインレースへと進んだ。一方、ヒート2にエントリーしたロクスンもスタート直後の2コーナーでクラッシュ、こちらも最後尾からの追い上げとなったが、3ラップ目に再びフープスでバランスを崩しクラッシュ。彼はここでヒートレースを諦め、LCQ(ラストチャンスクォリファイ)へ進む事となった。そのLCQで、またロクスンに悲劇が訪れる。ヒートレースをDNF(Did Not Finish リタイア)で終えたため、アウトサイドからのスタートとなったロクスンは、好スタートしたのにも関わらずインサイドから膨らんできたライダーたちに押し出され再び、クラッシュ。すぐにリスタートしたものの、わずか4ラップでトップ2まで追い上げる事は難しく、結局3位でフィニッシュ。タイトルがかかった大切なラウンドでまさかの予選敗退を喫してしまった。
ロクスン不在のままスタートしたメインレース(15周)、ホールショットはザック・オズボーン(ホンダ)。その後にトマック、さらにはジェイソン・アンダーゾン(スズキ)、コール・シーリー(ホンダ)らが続く。タイトルの可能性が再び見え、逆にプレッシャーのかかるトマックはミスを連発し、1ラップ目のフープスでアンダーソンに、2ラップ目にはシーリーに、それぞれ簡単にパスされてしまう。いつものようなアグレッシブなライディングが出来ないトマックは、後から迫ってきたマーティン・ダバロス(カワサキ)、カイル・カニンガム(ヤマハ)、マルコム・スチュワート(KTM)、ライアン・サイプス(スズキ)にもパスされ、6ラップ目にはポジションを8位まで落としてしまう事となった。一方、トップのアンダーソンは2位のシーリーに8ラップ目の時点で約5秒のアドバンテージを築き、余裕のライディング。もし勝てばキャリア初優勝という中、実に落ち着いた強さを見せていた。12ラップ目、一時は9位までポジションを落としていたトマックだったが、徐々にペースを取り戻し始め、6位までポジションをアップさせていた。ファイナルラップ、トップのアンダーソンは完璧なレースで2位のシーリーに6秒以上のアドバンテージを保ったまま余裕のチェッカーフラッグ、キャリア初優勝を達成した。2位にはランキング2位のシーリー、その後にダバロス、クリスチャン・クレイグ(ホンダ)、そして6位にトマックが入った。
今回のラウンド8 ソルトレイクでは、ポイントリーダーのロクスンがまさかの予選落ちを喫した。これにより一気にタイトル獲得の希望が膨らんだトマックもタイトルのプレッシャーからか、いつものアグレッシブなライディングは陰を潜め、結果は6位。来週のファイナルラウンド、ラスベガスをロクスンが5ポイントリードで迎える事となった。トマックとしては、ほぼ逆転不可能と思われた状態から奇跡的に訪れたチャンスを掴みたいところだが、ロクスンもポイントとは関係なく、全力で優勝を狙ってくるだろう。同じく大接戦のイースト同様、見所満載の250クラス。東西のチャンピオンが決定した後はシュートアウトも用意されているだけに、来週はこのクラスがアツくなりそうだ。
順位 | ゼッケン | ライダー名 | チーム名 | メーカー | ベストタイム | |
1 | 21 | J・アンダーソン | Rockstar Energy Drink | Suzuki | 47.971 | |
2 | 43 | C・シーリー | Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda | Honda | 48.330 | |
3 | 40 | M・ダバロス | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | 48.699 | |
4 | 32 | M・スチュワート | JDR/J-star/KTM | KTM | 49.542 | |
5 | 59 | C・クレイグ | Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda | Honda | 49.798 | |
6 | 1 | E・トマック | GEICO Honda | Honda | 50.067 | |
7 | 35 | R・サイプス | Rockstar Energy Suzuki | Suzuki | 49.898 | |
8 | 28 | T・ラトレイ | Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki | Kawasaki | 50.056 | |
9 | 176 | J・サバージー | JDR/J-star/KTM | KTM | 50.055 | |
10 | 31 | T・ベイカー | Valli Motorsports Yamaha | Yamaha | 49.913 | |
11 | 38 | K・カニンガム | StarRacing | Yamaha | 49.572 | |
12 | 338 | Z・オズボーン | GEICO Honda | Honda | 50.258 | |
13 | 72 | D・テッダー | Monster Energy/Kawasaki | Kawasaki | 51.364 | |
14 | 91 | T・インゲールス | Slaton Racing | Honda | 51.720 | |
15 | 78 | S・チャンピオン | 51fifty energy drink | Honda | 53.083 | |
16 | 653 | T・ベアマン | - | Kawasaki | 52.276 | |
17 | 149 | C・ヒンソン | - | Honda | 53.752 | |
18 | 239 | R・ジョンソン | - | Honda | 52.218 | |
19 | 76 | A・ポリテリ | - | Honda | 50.881 | |
20 | 792 | B・ホール | - | Honda | 51.861 |
順位 | ゼッケン | ライダー名 | メーカー | ポイント | |
1 | 94 | K・ロクスン | KTM | 163 | |
2 | 1 | E・トマック | Honda | 158 | |
3 | 43 | C・シーリー | Honda | 135 | |
4 | 21 | J・アンダーソン | Suzuki | 124 | |
5 | 40 | M・ダバロス | Kawasaki | 114 | |
6 | 338 | Z・オズボーン | Honda | 111 | |
7 | 38 | K・カニンガム | Yamaha | 96 | |
8 | 59 | C・クレイグ | Honda | 87 | |
9 | 28 | T・ラトレイ | Kawasaki | 87 | |
10 | 176 | J・サバージー | KTM | 87 | |
11 | 32 | M・スチュワート | KTM | 74 | |
12 | 76 | A・ポリテリ | Honda | 74 | |
13 | 31 | T・ベイカー | Yamaha | 70 | |
14 | 36 | J・ネルソン | Honda | 60 | |
15 | 35 | R・サイプス | Suzuki | 59 | |
16 | 74 | M・アンスティ | Suzuki | 38 | |
17? | 205? | J・カヒア | KTM | 29 | |
18 | 23 | J・カナダ | Honda | 28 | |
19 | 78 | S・チャンピオン | Honda | 23 | |
20 | 992 | J・ラモス | Kawasaki | 21 |
WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。
愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!