掲載日:2010年04月26日 バイク用品インプレッション
1954年にロイ・リヒター氏によって設立された名門ヘルメットメーカーBELL。ジェットヘルメットやフルフェイスヘルメットを世界で最初に開発し、数多くの名ライダーや名ドライバーが愛用。伝説的なヘルメットブランドとしてBELLはあまりにも有名だ。
今回は、そのBELLからリリースされたトラディショナルモデル「M3J」をテストした。こちらも最新作である「M5XJ」と同時にリリースされたジャパン・スペシャルだが、シャープかつスポーティなデザインでいかにも最新モデルといった雰囲気を漂わせているM5XJに対して、M3Jの魅力は何と言ってもBELLの伝統的デザインをストレートに継承した外観だ。顎を保護するチンガードが開口部に向けてほとんど絞られておらず、一歩間違うと野暮ったいデザインになりそうだが、あのロゴマークがアレンジされているだけでスタイリッシュに見えてしまう。「BELL」というブランドはやはり偉大だ。今回テストしたのはホワイト1色のソリッドカラーモデルだが、ファンをさらに喜ばせそうなホワイト/グリーンとホワイト/レッドのカラーリングもあるので、そちらもぜひチェックして欲しい。
さて肝心の被り心地だが、トップエンドモデルであるM5XJと同様、大胆にレッドの素材をあしらったスポーティーな内装はやや固めでコシがある設定。一部分が強く当たることがないように形状が吟味され、内装全体が頭部を均一にホールドしてくれるので非常に快適だ。走行中のぐらつきも上手く抑制されており、やや重めのヘルメットでありながら疲労感は少ない。ホールド感に並々ならぬこだわりを見せているのは、新生BELLの特徴と言えるだろう。取り扱い店ではオーナーごとに最適な内装を組み合わせて販売されるので、実際にはより高いフィット感が得られるはずだ。また、ルーズなチンガードはBELLらしいシルエットを決定づけているが、スムーズな着脱にも貢献。苦労せずに被れるのにホールド感が高いという、ちょっと不思議な感覚だ。デザイン上の理由から風切音を発生させるディティールが多く、走行中の静粛性についてはお世辞にも良好とは言えないが、これはこのヘルメットの「味」として許せる部分ではないだろうか。シールドの微開機構がないのもM5XJではひとつのウィークポイントだったが、伝統的な外観と雰囲気が魅力のM3Jであれば気にならない。額と口元にはクラシカルなインレットが、頭頂部には控え目ながら近代的なアウトレットが設けられ、ベンチレーションは見た目以上に効率的だ。特筆すべきは、UVカット&ハードコート仕様のシールドの出来栄え。安全性を考慮し3.2mm厚を確保しながら精度も高く、シールドを下ろしているのを忘れそうになるぐらいクリアな視界を実現している。
往年のBELLを思い起こさせる伝統的な外観と、近代的な内装やベンチレーション、シールドなどの最新スペックを投入した機能性。このコンビネーションこそがM3Jの魅力と言えるだろう。
クラシカルな外観を実現するために、ベンチレーションのインレットは昔懐かしい機構を採用。意外にも効果が高く、額を中心に涼しさを実感できる。
頭頂部には、雰囲気を壊さぬよう配慮した控え目なエアアウトレットを装備。考え方は近代的で、負圧を利用して積極的に排気する。
絞り込みが少ないチンガードには、クラシカルなデザインのエアインレットが設けられる。ただし、シールドの防曇には積極的ではないようだ。
3.2ミリ厚のUVカット&ハードコート仕様のシールドは非常に高精度で近代的な装備。それをシンプルかつ独特な機構のヒンジでマウントする。
新生BELLのこだわりとも言えるホールド感抜群のスポーティな内装。脱いだ時にも「BELL」を主張するデザインはファンの所有欲を刺激する。
デカールの上から丁寧にクリアを吹き、BELLのロゴは入念に仕上げられる。散りばめられたBELLらしいディティールを探すのも楽しみだ。
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