BELLと言うと、往年のレーシングシーンやクラシックなイメージを思い浮かべる方も多いのでは? 現在、日本で正規販売されているモデルは、2009年に二輪用品メーカー 『アクティブ』 がプロデュースし、日本人の頭の形に合わせた新設計のヘルメットとなっている。
ベースのモデルは2型あり、スタイリッシュな流線型フォルムが “今風” な 『M5XJ』 と、古きよきレーシングシーンを彷彿させる丸みをもった 『M3J』。どちらも米国ブランドならではのデザインと豊富なグラフィックが好評で、国産メーカーから乗換えならぬ “かぶり換え” を行なっているライダーも多いようだ。
この日本人のために作られた M5XJ と M3J は、インターネットなどの通販は行なっていない。直接店舗に足を運ばないと購入できないのだが、その際、1人ひとりに適したフィッティングを行なってもらえるのが特徴だ。今回は愛知県日進市にある 『しゃぼん玉』 本店で、そのフィッティング・サービスを体験してきた。
ヘルメットの型は前述のとおり2型しかないのだが、豊富なグラフィックで悩むことになるだろう。迷うことなく “ビビッ!” とインスピレーションが働けばそれに越したことはないが、傾向としては、M5XJ はスーパースポーツやネイキッド系、M3J はクルーザーや旧車系のユーザーに人気だそうだ。価格は M5XJ の方が少し高めの設定となっている。
購入したいモデルが決まれば、アドバイザーである店舗スタッフさんとフィッティングをはじめる。まずは頭部の周長を計測してもらう。意外と正確な周長は知らないもので、いままでかぶってきたヘルメットのサイズが、実は間違っていた、なんてことが発覚することもあるのだとか。
BELL の基本サイズは、S(55?56cm)/M(57?58cm)/L(59?60cm)/XL(61?62cm)/XXL(63?64cm)の5段階で分けられている。帽体はS/M/Lが兼用、XL/XXLが兼用となる。筆者は頭部の周長が58.7cmだったので、Lサイズを試着してみた。首を振ったり、手でゆすってみたりして、かぶり心地を確認する。フィッティングにより調整できるのは頭頂部のセンターパッドと頬のチークパッド。それぞれ前述した5段階のサイズに加え、「ハード」と「ソフト」といった硬さの違うパッドが2種類ずつ用意されている。筆者の場合、頬の部分は初期状態でちょうど良かったが、頭頂部にわずかな空間を感じたので、センターパッドをMサイズ(ハード)に変更した。すると隙間は埋まり、がっちり全体を包み込んでくれるような印象を受けた。頭頂部はMサイズ、頬部はLサイズにすることで、MとLの間のサイズを作り出したわけだ。
このフィッティングサービスでは「自分はLサイズ」など、これまでの経験で得た情報は一度忘れることが肝心。既存サイズにとらわれず、オーダーメイドの「自分サイズ」を作り出せるいい機会である。しかもこのフィッティング・サービスおよび交換したパッド代金は、購入時に限りすべて無料なのだ。
ただ、注意点がひとつ。フィッテングはかなり微妙な差で調整を行なっていくため、フィッティングの経験が無いと「フィットしているのかしていないのかが分からない」ということもあると思う。フィッテングのコツは、今回担当してくれたしゃぼん玉の今村拓未アドバイザーが教えてくれた。
「内装は使っていくうちに、どうしても徐々にやれてくるので、ゆるく感じるよりはきつめに感じる方がおすすめです」とのこと。
長く乗られている方なら経験があるだろう。また「音」も判断基準になる。フィットしていくにつれて外の音が小さく聞こえる。もちろん、まるで聞こえなくなるわけではないので安心してほしい。いずれにしても、大事な頭部を守るアイテムなので、ここはアドバイザーの方に甘えて、何度も調整し、フィッティングを行なうことが賢明だ。
M5XJ と M3J の開発を担当したアクティブの小山博由来さんは「インターネットでヘルメットを買うのは危険な面もあります」と話した。そんな時代だからこそ、このフィッ ティングサービスを思いついたとのこと。この日本向けモデルは、シールドを極厚の 3.2mm にするなど、本国で販売されているものより安全性を確保するように心がけている。本国製品を輸入販売しているサイトもあるが、SG 認証ではない点や、こういったフィッティングサービスが実施出来ない面からも、正規国内販売店での購入をおすすめしたい。取り扱いを行なっている用品店は 全国約 80 店舗まで拡大しているので、まずはお近くのショップを検索してみてほしい。
新しいBELLは、ライダーの安全を常に第一に考えるポリシー“YOUR BEST PROTECTION”に基づき、購入の際はBELLヘルメット取扱代理店へ行くことを推奨している。スタッフがユーザーと相談しながらフィッティングを確認し、最適な内装に変更したものを用意する。